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ミノタウロスじゃありません!  作者: name


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箕輪家

「名前?」

「ユニオンの名前ですよ」

 合格の際ホーガンから魔蛇の件を聞いたカイトたちは、世話になった恩を返したいとユニオンに加入することに決めた。

 ホーガンとの戦いで強くなっていると実感したことが自信になったのか、魔蛇とのユニオン戦にも臆することなく全員がミノワの力になると決断した。


 剣闘王の舘に戻ってきたカイトたちは出迎えてくれたみんなに合格したことを報告した後、ホーガンとのやりとりを伝え、ミノワのユニオンに加入すると申し出た。

 ミノワもまたカイトたちがワーカーになったら協力を仰ごうと考えていたこともあり快く承諾した。

 そこでカイトは自分の所属するユニオンの名を訊ねたのだ。


「今回だけのユニオンだし適当でよくないか?」

 マイから今回限りでよければ一名当てがあると聞いていた。

 今回は魔蛇とのユニオン戦のための結成だ。人数も最小限、ユニオン戦が終われば人数不足で解散になるだろう。

 そんなユニオンの名前なんて考えておらず適当につけても変わらないと思っていたが、他のメンバーは思いのほか真剣だった。


「だめですよ。名前はユニオンの顔、カッコいい名前にしなきゃアニキ」

 訓練の成果に感銘を受けたカイトはミノワを「アニキ」と呼ぶようになった。


「ピンクラビットなんてどう? エンブレムもピンクの可愛いウサギで」

「おまえいつもピンク、ピンクって、格好よくねえし、頭悪そうなんだよ」

 名案と言わんばかりのサクヤに呆れるカイト。

「カイトのアルティメットドラゴンだってダサいわよ。男はすぐドラゴン、ドラゴンって、子供じゃないの? ミノワさんを慕ってるのなら牛ぐらい言えないの!」

「サクヤだってウサギじゃねーか」

 自分の案が一番だと思っている二人は互いの案にダメ出しを始めた。


「まあ、まあ落ち着いてよ」

「……だな」

 ヒートアップするカイトとサクヤをリーヴとオモスが宥める。


「おまえ(アンタ)たちはどっちがいいんだ(のよ)

 今まで言い争っているたとは思えないほど、息の合った二人の言葉。


「個性的でどっちも良いと思うよ」

 争いを好まないリーヴは両者を立てるように答えた。

「「これだから主体性のない良い子ちゃんは」」

 またも息がピッタリなカイトとサクヤにリーヴは涙目になる。


「「オモスは?」」

「……月華」」

「「月華?」」

 二人は蔑むような視線をオモスに向ける。

「なんだそのキザったらしい名前は」

「普段無口なのも格好いいと思ってるんじゃないの」

「ムッツリか」

「ムッツリね」

 好き放題言われ、体をらわなわなさせるオモスの額には血管が浮かんでいた。


「……コロス」

 自分の案以外は貶しまくるカイトとサクヤ、泣いているリーヴに、キレるオモス。

 突然の解散の危機、栄光の箱船に思わぬ抗争が勃発した。


「静かにしなさい!」

 マイラの一喝に四人は大人しくなった。


「師匠は何かないですか?」

「特にはないが、マイラは何かあるのか?」

 何か言いたげなマイラの表情に気付いたミノワは訊いた。


「師匠が嫌じゃなければ『ミノワ』はどうでしょう」

「ユニオン『ミノワ』か、変じゃないか?」

「ミノワさんのユニオンってすぐにわかっていいと思います」

「そうか?」

「そうですよ。アニキあってのオレたちですから」

 ミノワは乗り気でなかったが他のメンバーは賛同する。


「それにファミリーネームって家族みたいだし」

「家族……」

 その言葉にアズサも反応した。

 アズサもマイラも互いに出会うまで家族と呼べる存在はなく、ずっと独りだった。そんな二人にとって家族というのは特別な言葉だ。

 家族の象徴であるファミリーネームをユニオンの名にすることで拠点に集う皆が本当の家族になれる気がしたのだ。


「えっ?ミノワさんて貴族なの?」

「アニキ、スゲーぜ」

 ファミリーネームと聞いて貴族だと勘違いする四人にミノワは自分の国では誰にでも名字があることを説明した。


「アニキは外からきんすか!」

「外の国ってこっちとは違うんですか?」

 驚くカイトと興味津々のサクヤ。

「だいぶ違うぞ。サクヤのような魔法使いはいないし」

「本当ですか、周りに魔法を使えた人は?」

 ミノワの答えに一早く反応したのはリーヴだった。

「おらん」

「だから魔法のことを知らなかったのですね」

 以前話をしたときミノワが魔法のことを知らなかったことに納得した。

 ミノワは自身の天職を「プロレスラー」だと言った。

 プロレスラーなる天職をリーヴは聞いたことがない。

 おそらくこの国と外であるミノワの国とでは天職の種類が大きく異なっているのだろう。つまりミノワのいた国には魔法職はいないか、いても希少で一般人は知らないのであろう。

 リーヴがプロレスラーのスキル「ジャーマン(スープレックス)」や「アルゼンチン(バックブリーカー)」を知らないように、ミノワも魔法を知らなかったのだ。

 

「考えたんだがこういうのはどうだ」

 ミノワはマナミから紙とペンを借りると『箕輪家』と漢字で書いた。

「アニキ、これは何ですか?」

「オレの国の文字だ。箕輪家つまり家族って意味だ。ちなみにこれがオレの名前だ」

 続けてミノワは『箕輪弁慶』と書いた。


「この形カッコいいですね」

「カクカクしてて可愛い」

 初めて目にする漢字に興奮するカイトたちを見て、日本にきた外国人レスラーが漢字を気に入り意味も分からず『肉』や『米』など額にタトゥーを入れていたのを思い出した。


「当然、マナミやアズサも箕輪家の一員だ」

 マナミやアズサはワーカーではないので、紹介所が認めるワーカーのメンバーにはなれないだろう。しかし家族というのならマナミやアズサも箕輪家の一因だ。


「ミノワさん」

 ミノワの言葉にマイラとアズサは涙を浮かべ、マナミは丁寧にお辞儀をするのだった。


お読みいただきありがとうございます。

次話もご一読いただければ幸いです。

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