表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

追放されたおじさん冒険者は楽して稼ぎたい

作者: 作原しえり

「その、さ……ジェフリー…すっごく言いにくいんだけどさ……」


「ライアン?ど〜した〜?珍しく真面目な顔してんなぁ?いっつもニコニコしてるお前が〜。なんでもいいぞぉ?言ってみろって〜」


「…そりゃどうも………ジェフリー。すっごく感謝してるんだ。成人したばっかりで、何にもわかってない俺たちを拾ってくれて、冒険者としてのイロハを教えてくれて。」


「懐かしいこと言うなぁ!11のガキンチョが4人、木の棒持って冒険者ギルド入ってきたんだよなぁ〜。それに比べて、随分立派になったなぁ!」


「あれが無謀だったとは思ってるよ…あそこでジェフリーが、『俺が組んでやるよ〜、ちょ〜どフリーのお兄さんが組んでやるから感謝しろよぉ?』って声かけてくれなきゃ、すぐにやられてたと思う。感謝してる。」


「そんな事言ったっけぇ?そうかぁ、早10年、す〜ぐ死んじまいそうだったお前らが、あの時の俺と同い年かぁ〜…おい、信じらんねぇな!」


「うん…それでね……ジェフリー……恩を仇で返すようで本当に申し訳ないんだけど……」


「お〜、追放かぁ〜?わかったわかった。お前らもでっかくなったからなぁ〜。お守りも要らねえだろ〜。明日にでも出て行くわ〜…3人は…お前ならもう相談済みか〜?ひでぇなぁ、俺抜きで酒盛りしてたのかぁ?混ぜてくれよぉ〜」


「え、ちょ、ちがっ…!いや、その通り…その通りなんだけどさ…!?もうちょっと色々ないの…!?せめて送別会くらいやらせてよ…!お金だって…!」


「わりぃなぁ、そ〜いう湿っぽいの苦手だからな〜金くれるんなら、その分でいい酒、次会った時に奢ってくれよ〜?じゃ、荷物片付けてくるわ〜……わり、ゴミから荷物の発掘、ちょっと手伝ってくんね?」


「ジェフリー……」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「さ〜てと!ど〜すっかなぁ〜」


ぶっちゃけ、あいつらがいずれ俺を追放するのは分かってたんだよな〜…上を目指すあいつらは、こう…なぁ…なるべく楽して稼ぎたいし、あわよくば働きたくない俺とは違うからなぁ〜


「今すぐにどうこう…あ〜…やる気が…」


だってなぁ…これでもCランク冒険者、Bランクパーティーに昨日まで所属してたもんだからなぁ…そこそこ貯金あるんだよなぁ〜…働きたくね〜なぁ〜!


う〜む……田舎に帰るかぁ?冒険者もいいけどなぁ…1人でやるのは限界があるし…って言うか、1人だとやる気がでねぇからなぁ〜…何より、疲れるからなぁ〜こう、疲れなくて、楽できて、稼げる仕事ねぇかなぁ…?


「あ」


そーじゃん!あいつらみたいに、ガキンチョ捕まえて組みゃいいじゃん!裏から頑張れ〜なんつって、酒でも飲みながらやってりゃいいじゃん!


「そうと決まったらギルド行くかぁ……明日、明日な…」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「え…!?ジェフリーはもうチェックアウトした…!?」


僕たちは冒険者だ。ジェフリーは昨日、パーティーから抜けた。だから、いつ出発しようとジェフリーの自由だ。うん。だからって早くないか…!?


「どーしたんだよ、ライアン。そんなに慌てちゃってさぁ。」

「そうだよ、ライ。ジェフ兄ならどーせ隣の酒場で寝てるって。」

「同意。ジェフがこの時間に起きてたことないだろ…徹夜以外で。」


「みんな…!……昨日、ジェフリーと話をしたんだ。ほら、前に話し合った件。僕たちはAランクを目指すって。でも、ジェフリーは…なんていうか…Cから上がる気が無さそうだろ?だから、これまで育ててもらった恩人ではあるけど、袂を分かつのもアリなんじゃないかって。言おうとしたんだ。言おうとしたんだけどさ…」


「なんだよ、お堅いライアンの事だからな。言い出せなかったのか?」


「その方がよっぽどマシだよ……ジェフリーは、『追放かぁ〜?わかったわかった。』って、話も聞かずに荷物を纏め始めちゃって…」


「ライ…相変わらず、ジェフ兄の真似上手いね…!」

「じゃなくて!兄貴が!?マジで居なくなっちゃったのか!?」

「そりゃリーダーも慌てるわ…」


「…ジェフリーはなんだかんだ、勘が鋭いからなぁ。…ジェフリーならどこでもやって行けるさ!切り替えて、僕たちは僕たちの事を考えよう。Aランクになる為に…!」


Aランクはみんなの憧れだ。冒険者にはランクがある。


Aランク…上位1%、一流の冒険者。地方じゃ、1人いたら良い方で。僕たちはここを目指す。いや、必ずなる。

Bランク…上位10%、僕たちはここだ。指名依頼なんかも増えてくる。自慢じゃないけど、努力も才能も必要だ。

Cランク…上位60%、フツーの冒険者。結構幅が広い。ジェフリーはここ。絶対そんなことないと思うんだけどなぁ?

Dランク…上位90%、半人前。副業にしてる人とかも居るから、結構多く見えるけど、普通なら半年くらいで上がれる。

Eランク…残り10%、新人。どっちかって言うと、ギルドが信頼できる人か見てる感じかな?って思う。

Fランク…11歳以上、16歳未満の子供用。採取しかできない。ジェフリーに拾ってもらったのはこの頃。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「よ〜、綺麗なねーちゃん居る〜?特に爪が!」


「冒険者ギルドはそういう場所じゃありませんってば…!何回言わせるんですか!」


「お〜お〜、そう怒んなって〜。久しぶり〜……メリッサちゃん!」


「残念。メアリーです。ライアンさんから、パーティーから抜けたって聞いたんですが、ソロの依頼で良い感じのお出しします?」


「いんや〜、なあなあ、相談なんだけどさぁ〜」


「モテる方法は、その軽い感じを治すのが一番です。」


「酷いなぁ〜!メイちゃんには俺はどう見えてんのさ〜!こう見えて一途だよぉ?」


「はいはい。それで、ご用件は?」


「なんかさ〜、最初来たばっかのライアン達みてぇなパーティー居なぁい?……メーガンちゃん若いから、初期のあいつら分かんねぇか!ジェネレーションギャップだなぁおい!」


「…ご用件は?」


「採取のガキンチョ…いや、EとかDの若い子が組んでるパーティ、どっか紹介してくんない?純粋だと良いなぁ〜…楽だから…あ、今のナシね?」


「はぁ…ジェフリーさんはCランクですよね?同じランクの方と組まないんですか?」


「の〜んびりガキンチョ育てる方が性に合っててなぁ〜。ほら、ちょちょっと教えてやって、『実践あるのみ!』なぁんて言ってやらせといて、後ろで眺めて収入ゲット…!」


「ソウデスカ…まぁ、若い子に色々教えてくださるのは、こちらとしてもありがたいので…人数とか年齢とか、何か希望ありますか?」


「そうだなぁ〜…若い女の子はおっかねぇからなぁ〜……そんな目で見るなよぉ!3、4人くらい、輩が多いパーティーで、素直そうでやる気がありゃ実力はなんでも〜」


「そうしますと…」


「メアリーさんただいまぁ!」

「みてみて!ゴブリン倒せたの!」

「3体もだよ!」


「あら、丁度いいところに。あの子たちはどうでしょう?前からFで頑張って来た子たちで、全員16歳、あと少しでDランク…って所ですね。3人とも、やる気があって良い子ですよ。」


「そりゃいいなぁ、おーい、坊主ども!」


「なんだよ、おじさん。」

「私は女の子よ!おじさんったら失礼ね!」

「よくライアンさん達の後ろ歩いてるおじさんじゃん。」


「おじっ…!?…じゃなくて!お前ら、強くなりたいんだろ?ライアン達みたいになりたいんだろぉ?」


「なりたい!」

「ライアンさん達って、すっごい強いよね!」

「憧れだよなぁ!」


「よしよし。そんなお前らに朗報だ。ライアン達の育て親、あいつらの恩人。そんな俺がパーティー組んでやんよぉ」


「…新手の詐欺?」

「一緒にいるのは見たことあるけど…」

「怪しくなぁい?」

「そもそも強いのかなぁ…」

「でも、メアリーさんが何も言ってこないよ?」

「…メアリーさんに聞いてみる?」

「あんな酒臭いおじさんだよ?」

「危なそうだよねぇ…!」


「お〜い、お前ら。聞こえてるぞぉ!」


「「「ひぃ!」」」


「ジェフリーさんの実力は、Cランクでも上位ですよ。ライアンさん達と組んでいたのも事実です。私がギルドに入る前なので直接見てはいませんが、ライアンさん達がFランクの頃から組んでいたみたいです。」


「…メ、メアリーさんが言うなら…?」

「信じても良いのかな…」

「とりあえず、組んでみる?」


「さっすがぁ、メア…メレディスちゃん!」


「ちょっと?名前、絶対わざとじゃないですか!」


「まぁまぁ、メイベルちゃん。ほ〜れ、ガキども、そうと決まったら実力見せてみろ〜?」


「…僕は、剣使ってる!ライアンさんと一緒なんだよ!ゴブリンなら負けないよ!」

「えっと、私は、弓がメインで、2人の後ろから基本は援護してる。」

「俺は薬草とか見つけるの得意なんだ。戦う時はこいつと同じく剣使ってる。」


「ほぉん…じゃ、明日な!9時…いや10時にギルド集合な〜」


「え!?それだけ?」

「ジェフリーさん…?は何が得意なの?」

「まだお昼だし、今から早速教えてよ!」


「はいはい…また明日なぁ〜」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「お〜、お前ら早いなぁ〜」


「「「ジェフリーさんが遅刻なんでしょ!!!」」」


「はっはっは!」


「……ねぇ、やっぱりこの人大丈夫かなぁ…?」

「「うーん…」」


「おじさんは忙しいんです〜。お前ら、あと依頼2、3個やればDランクの昇級資格ゲットだろ〜?今日中にDランクな〜」


「え?」

「今日中!?」

「スパルタ!」


「ライアン達は文句言わずに着いてきたのになぁ〜?」


「ぐぬぬ…」

「それはずるい!」

「……!」


「さ、森に行くぞ〜、ゴブリン5匹とコボルト3匹、ついでにそこら辺で薬草も採取して帰るだけだから余裕だな〜。おじさんが優しくて良かったなぁ」


「優しい…??」

「今日帰れるかなぁ…」

「そんなに見つかんないよ…!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ほれほれ、そこに足跡あんだろ〜?」


「えー…?言われてみればそんな気が…?」

「むっず…!」


「おんなじようなの辿ってけば見つかるぞ〜」


「足跡…足跡……」

「あ!これっぽくない!?」

「ほんとだ!こっちに行ったのかなぁ?」




「ほ〜れ、ついでに薬草も拾った拾ったぁ」


「嘘、薬草なくない?」

「見当たらないんだけど…」

「…これ…?」


「お〜、言うだけあって見つけんの上手いなぁ〜。偉い偉い!」


「…へへっ!」

「ね、コツ教えてよ!」

「これひょっとして、同じ?」

「そうそう、影っぽいとこによく生えててね…」




「…シッ!ほら、あそこにゴブリンが居るの見えるか〜?」


「ほんとだ!なんか集まってる!」

「ちょうど狙ってた5体じゃない!」

「早く逃げないうちに倒そうぜ!」


「お前らバカだなぁ〜。そこの女子、こっちから弓で威嚇しとけ〜。坊主ども、俺と一緒に反対側で逃げて来たの倒すぞ〜」


「えっと、みんなが向こうに着いたのが見えたら、ゴブリンに向かって撃てばいいの?」


「そ〜そ〜、そんな顔すんなってぇ、ゴブリンはビビリだからなぁ、こっちには来ねえから〜、な?」


「う、うん…」


「じゃ、坊主どもは反対側で頑張れよ〜。女の子頑張らせて、逃しました〜なんて言わないよなぁ?」


「「が、頑張る!」」




「よく全部倒せたなぁ〜。頑張った頑張った。」


「5、5体も倒せた…!」

「こっち来なかった…良かったぁ…」

「…死ぬかと思った…」


「お、あそこに薬草あんじゃ〜ん。休んでないで取ってこ〜?」


「えぇ…!ちょっと休憩…」

「忙しすぎ…!」

「薬草…!?どれ…???」


「あそこに見えるか〜?あの赤い実〜。あれ結構レアなんだぞぉ?」




「さ、採取で休憩したろぉ?ちゃちゃっとコボルト狩って帰るぞ〜」


「休憩…?」

「木に登ったり、土掘ったりが…?」

「めっちゃ疲れたんだけど…!」


「あんま暗くなると危ねぇしな〜。足跡も見えねぇだろ〜?さぁさぁ、ゴブリンとやるこたぁ同じだからなぁ〜」


「コボルトの足跡…?」

「これとかそうかなぁ?」

「あ、めっちゃぽいじゃん!


「残念だったなぁ〜、そりゃただのウサギ〜。魔物なんだからもっとデカいし、爪の跡があるはずだぞ〜」


「なぁんだ!自分で見つけられたかと思ったのに!」

「ヒントヒント!」

「…うーん…爪痕……」


「見ててやるからなぁ〜!頑張れよ〜」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「……嘘でしょ…」

「昇級資格、取れちゃった…」

「死ぬかと思ったけどね…!」


「喜んでる場合じゃねぇぞ〜?Dの方が儲かるからなぁ、さっさと全員、昇級試験クリアしてもらうな〜?」


「試験って…あれだよね?ランク毎に決まった魔物の中から、指定されたやつを指定された数倒す〜…てやつ」

「そうそう、申請とか、実績の確認とかで、1週間くらいかかるって聞いたけど…」

「待って……今からもう1回、狩りに行くの…!?」


「こんなんで悲鳴あげるとはまだまだだなぁ〜?喜べ〜?申請はしといてやったぞ〜。あとはメグちゃんにお題聞いて狩りに行くだけだぞ〜」


「「「だけって何…!?」」」


「ついでにちゃぁんと、薬草拾ってこいよぉ?」


「鬼…!」

「悪魔…!」

「魔物より酷い…!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「お〜、これで全員揃ったなぁ〜。怪我してねぇか〜?」


「僕がビリかぁ…」

「おかえり!」

「早く帰ろう…?」


「よ〜し、ちゃんと魔石、持って帰ってきてんなぁ、偉い偉い。」


「コボルトの魔石が2個、スライムの魔石が2個、ゴブリンの魔石が2個…確かに確認しました。これにて、3人はDランクとなります。こちらのプレートをどうぞ。」


「なれちゃった…Dランク…」

「今月中にって話してたのに…」

「それよりも疲れたよ…」


「よ〜し、帰るかぁ〜。ほれ、今日の分の稼ぎだぞ〜。高めの薬草が採れたから1人当たりなんと、2万イジ!」


「2万!?」

「そんなに!?」

「昨日なんて、7000イジだったのに…」


「じゃ、また明日、今日と同じ時間になぁ〜。ちゃんと休めよ〜。」


「休むよ…疲れたもん…」

「体が重い…」

「でも、Dランクだぜ!」

「ね!ほんとに今日中になれちゃった!」

「スパルタだったけどね…」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「よぉ〜し、Dランクなんだから、今日はオーク倒すぞ〜」


「いきなり過ぎない!?」

「オークって、ゴブリンの上位種じゃない!」

「い、1体…だよね…?」


「オークは多分、1匹だけだな〜。部下にゴブリン何匹か連れてるから、頑張れよ〜」


「えぇ…?」

「ゴブリン5体で昨日あんなに大変だったのに…?」

「オーク……死んじゃうよ…」


「まぁまぁ、ぶつくさ言ってないで足跡探せ〜?」




「あそこに居るの分かるかぁ?弱い所はゴブリンと同じだし、でっかいだけだから緊張すんなってぇ〜」


「でっかいだけって何…!?」

「力も強いじゃん、オークって!」

「言われるとより緊張が…」




「魔石拾い終わったか〜?んじゃ、そこにちょ〜どスライムの群生地があっから、狩りまくれ〜。ラッキーだなぁ?」


「ギブミー休憩…!」

「群生地…?って多!」

「あ、薬草あった!拾っちゃお〜」




「今日はちょっと遠くまで薬草採取な〜」


「え!やったぁ!」

「今日は休憩ね!」

「…洗脳を感じる…」


「沼地に生えてるやつでなぁ〜。その沼に住んでる大蜘蛛と戦いながら採取だぞ〜」


「蜘蛛…!?虫嫌い…!」

「それって結局、討伐じゃんか!」

「ジェフリーが採取だけなんて優しいわけなかった…」




「上達度チェックな〜。今視界の中に、魔物の跡がいくつ、薬草がいくつ見つかる?」


「えっと…魔物が3、薬草が2!」

「私は、魔物が4、薬草は1…」

「え?魔物が2、薬草が4なんだけど…」


「んじゃ、どれが見えてなかったのか確認しつつ、薬草は採って、魔物は確認、できたら討伐してこ〜」


「あ、そこにも薬草あったのかぁ!」

「その傷、確かにワーウルフっぽいかも!」

「この足跡、ホーンラビットかなぁ?角を擦り付けた跡もあるし…」

「じゃあこっちに逃げたのかな?」

「ちょっと待って!薬草だけ先に採っちゃうね。」




「ほーれ、ゴブリンの巣だぞ〜。頭使って逃がさないようにしろよぉ〜」


「これ、何体いるんだよ…」

「反対側から逃げないか、見てくるね!」

「罠とか仕掛けらんないかな…?」




「今日は個人戦な〜?16時までに帰ってこいよ〜。何イジ稼げるか勝負だから、本気出せよ〜?俺はここで待ってるから、怪我とかしたらすぐ帰ってこいよ〜」


「ジェフリーも競争しようよ!」

「そうだよ!」

「そうよ!」


「俺は強いからなぁ〜。俺が優勝しちゃったらつまんねぇだろ〜?さぁ行った行った〜」


「…はぁい。」

「お金勝負なら…ホーンラビットがいいかな…」

「俺は薬草いっぱい拾って稼ごうかなぁ?」




「お、キラービーじゃ〜ん。お前らが持ってるその実、大好物だからなぁ〜。頑張れよ〜?キーラービーも、その実も、高く売れるから全部回収な〜」


「え!?実を食べてる間に…とかダメなの!?」

「いやぁ!虫嫌いなんだってばぁ!」

「俺たちがこれ、怒らせてんじゃん…」


「針で刺されると毒で麻痺るから気ぃつけろよ〜」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「お前らすげぇな〜。半年が相場なのに、3ヶ月でCランクに上がるとは〜」


「誰かさんがスパルタなおかげでね…!」

「半分でなれちゃった…才能ある…?」

「…ひょっとして、もっと毎日ヤバくなるんじゃ…」




「お、レッドベア。毛皮が高く売れるからな〜、一撃でやれよ〜」


「え?3mくらいない?」

「一撃って…届かないんだけど!?」

「目!目にとりあえず矢射れない!?」


「毛皮に傷付けたらその金額分、薬草採取な〜?」




「今日から暫く、海行くぞ〜」


「急すぎない!?」

「ちょっと楽しみかも…」

「どうせ討伐地獄なんだ…」




「んじゃ、ここで待ってるから〜。他の人に迷惑かけんなよ〜?」


「え?何この船?」

「他の人って何?」

「ジェフリー着いてこないの?」


「何って、クラーケンだよ、クラーケン〜。海といえばだろぉ?いくつかのパーティーが合同でやるんだよ、さ、頑張れよ〜」


「クラーケンってあの!?」

「海初めてでクラーケン!?」

「ジェフリーも参加してよ!」


「他の人から習うのも新鮮で良いぞ〜?俺はの〜んびり、海の幸で美味しく飲んでるさ〜」




「ユニコーンが森に出たらしいぞ〜。あいつの角、ちょ〜高く売れるんだよ〜。ほれほれ、早く行くぞ〜」


「今さっき、依頼から帰ってきたところなのに!」

「ユニコーンって実在するのね…」

「もう夕方なのに…今日は早く帰れると思ったのに…」




「足速いやつの対処法ぅ?そんなん、罠か寝てる時だな〜。教えてやっから、罠今から仕掛けに行くかぁ〜」


「今から罠づくり…?」

「ジェフリーったら、何捕まえるつもりなのかしら…」

「罠ってそんなすぐ作れるの?」


「なぁに、ちょっくら、グリーンホースとかユニコーンとか、捕まえらんねぇかなって思ってな〜」


「お金になるやつばっかり…」

「罠で捕まるの…?」

「そもそもレアすぎるよそいつら…」





「オーガだ。逃げるぞ〜」


「え?逃げるの?」

「1体だけだし…」

「オークと似てるじゃん、ダメなの?」


「オーガはダメだ。まだ早い。目ぇつけらんない内に、とんずらするぞ〜」


「え〜…」

「はぁい…」

「ちぇっ!」




「ハーピー退治、行くぞ〜」


「そんなノリなの?強くなかったっけ?」

「弓の出番ね…!」

「出来ることあるかなぁ…?」


「あの羽で作った枕は最高だからな〜」




「オークが群れてるっぽいからな〜、森から出てこない内に殲滅するぞ〜」


「オークが!?危なっ!」

「ゴブリンも多そう…やだなぁ…」

「あのオークが、群れてるのかぁ…」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「うわぁぁ!!」

「きゃーーー!」

「…………………」


「お〜、サイクロプスかぁ〜。ギルドで注意喚起してたやつだな〜。」


「早く!逃げよう!」

「何呑気にしてんのよ、ジェフリー!」

「今日が命日かぁ…」


「な〜に言ってんだよぉ、今のお前らなら、アレくらい余裕だろ〜?オークはゴブリンよりデカいだけ。つまり、サイクロプスもオークよりデカいだけ〜。」


「何言ってんの!?」

「デカいって危ないんだよ!?」

「ジェフリーの腕の見せ所!」


「お前らのがもう俺なんかより強いからなぁ〜。ほれほれ、行ってこ〜い」




「……勝てちゃった…!?」

「私たち、強くなってる…!」

「何回か死を覚悟したけどね…」


「おつかれさ〜ん。サイクロプスはBランクパーティーが標準だからな〜。頑張った頑張った。これでお前らも、全員Bランクだな〜」


「え?どゆこと?」

「昇級試験は?」

「昇級資格も達してないよ…?」


「ん〜?大物倒すと、試験免除で上がれるんだよ〜。だからお前さん達は、晴れて帰ればBランク…ってこったなぁ」


「え?もう?」

「まだCに上がってから2年も経ってないのに…!」

「ついに憧れのBランク…!」


「よかったなぁ、ほれ、魔石取って帰るぞ〜。帰り道もちゃ〜んと薬草採取忘れんなよ〜?」


「こういう時くらいいいじゃん…!」

「薬草探してる余裕なんて無いわよ…」

「Bランクかぁ…嬉しいなぁ…」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「サイクロプスの魔石を確認しました。おめでとうございます。これで3人は、Bランクとなります。」


「「「ありがとうございます!!!」」」


「でも、無茶しないでくださいね。格上の魔物なんですから。きちんと今後も、無理だと判断した際は撤退してくだい。」


「だって…」

「ねぇ…」

「行けって…」


「よぉ〜、お前ら、おめでとさん。強くなったなぁ〜」


「ジェフリー!」

「言われたとおり、Bランクになれた!」

「報酬山分けしよ!」


「お前らさ〜、もう俺より強いからなぁ〜。教えることも無くなっちまったし。今日で俺は追放な〜?」


「え?」

「ん?」

「は?」


「もう教えることもないしな〜。2年ちょっとでこんな育つとはなぁ、頑張ったなぁ。よく逃げ出さなかったなぁ〜。俺は、後ろで『頑張れ〜』なぁんて口出して眺めてたいからなぁ〜。今日で追放だ。またガキンチョでも捕まえて、楽しくやるさ〜。」


「そんな急に!」

「待ってよジェフリー!」

「もっと教えてよ!」


「お前らとの2年ちょい、楽しかったぞ〜。ありがとなぁ。これからも怪我しないで、たっぷり稼げよ〜」


「行っちゃった…」

「絶対近くの飲み屋探せば居るけど…」

「ジェフリー…」

「「「最後まで名前で呼ばれなかったね…」」」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ってことで〜。メ…メ…メイシーちゃん、またなんか、良い感じのガキンチョ居なぁい?」


「メアリーですってば…で、またあの子たちみたいな、Eランクくらいで、男の子多め、やる気のあるパーティー…でしたっけ?」


「そ〜そ〜。さっすがぁ、よく覚えてんねぇ〜」


「あんな変な質問、印象にも残りますよ……そうですねぇ、ライアンさん達と同じ孤児院からの子たちが、ちょうど先月、全員が16歳なったのでEランクに、そして先週、Dランクに上がってますね。」


「ライアンかぁ〜。懐かしいねぇ〜。あいつら元気〜?」


「えぇ。あと半年もすれば、Aランクへの昇級資格が得られると思います。本当に努力されているのが、受付の私にも伝わってきますよ。」


「そりゃ〜良かった。Aかぁ〜…あいつら出世したなぁ〜。次会ったら約束通り、高い酒奢って貰お〜」


「それで、どうしますか?とりあえず、さっき話した子たちと会ってみますか?」


「じゃ〜そうするわぁ〜。今日帰って来たら、明日の10時に受付に〜って言っといて〜」


「受付は伝言板じゃないんですけどね…まぁ、分かりました。伝えておきますね。」


「ん〜。あと、爪が綺麗なねーちゃん居たら、イケメンなジェフリーが隣の酒場で待ってるって言っといて〜」


「モテないの、そういう所ですよ。」


「うっ……んじゃ〜、また明日な〜」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ジェフリーの噂を聞いた。Eランクだったパーティーに何故か入って、たったの2年足らずで僕たちと同じ、Bランクに押し上げたらしい。


やっぱりジェフリーは強い。でも…


「ライ、どうしたんだ?」

「そうだよ、浮かない顔しちゃってさ。」

「今日の討伐も余裕持って出来たじゃないか。何悩んでるんだ?」


「みんな……いや、なんでもないよ。」


「そんな顔してないけどー?」

「リーダーはすーぐ顔に出るからなぁ。」

「悩みなら言ってみろって。」


「ほら、数日前に、サイクロプスを倒してBランクに上がったパーティーが居ただろ?」


「あー、聞いた聞いた。みんな18歳なんでしょ?凄いよねぇ!」

「なんだ、それで焦ってるのか?」

「俺達だって着実に強くなってる。遅くとも今年中には、目指していたAランクに上がれる。だから大丈夫だ。」


「そうじゃなくてね……実は、そのパーティーに、ジェフリーが居たらしいんだよ。」


「ジェフリーって、あの?」


「そう。僕たちと組んでた、あの。」


「そっかぁ!ジェフ兄も、やーっとBランクになったんだ!」


「違うんだ。ジェフリーは、『居た』んだよ。Bランクに上がる際に、追放されたらしくて…」


「「「え!?」」」


「みんなもさ、ジェフリーがすっごく優秀だって、抜けてから気づいたろ?」


「実は色々、裏でやってくれてたよなー。」

「そうそう。弱かった頃とか、ぜーったい、強いのに出会さないようにしてくれてたよね!」

「『今日は気分が乗らないからショッピング』なんて言って、鍛冶屋に行くタイミング、今考えたらメンテ時期にぴったりだしねー。」


「強い魔物の目撃情報が入ったら、反対側のエリアの討伐とか採取を選ぶよう誘導されていた気もするしね…」


「ジェフ…」

「ジェフ兄…」

「兄貴…」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「よっ、わりぃわりぃ、ちょ〜っと遅れちった〜。敷地内には居ました〜、な〜んてね〜」


「ジェフリーさん…初対面の時くらい、もうちょっと繕いましょう…?」


「お〜お〜、そこに居るのが、ライアン達の後輩か〜?」


「ライアンさん知ってるの!?」

「ってかおじさん誰?」

「ライアンさんみたいに強くなれるって聞いたけど…」

「でもこのおじさん、弱そうじゃない?」


「もうおじさんじゃ傷つかないぞ……ジェフリーって呼べな〜。メッチェンちゃんから聞いてるだろ〜?」


「ライアンさん達みたいに強くなれるって聞いた!」

「サイクロプス倒したあのパーティーもジェフリーから教わったって聞いた!」

「めっちゃ無茶やらされるって聞いた…」

「いっぱいお金稼げるようになるって聞いた!」


「元気だなぁ〜。んじゃ、組むってことで良いか〜?」


「「「「うん!」」」」


「もうお前ら、Dなんだよな〜?そんじゃ、ちょっくらスライムの巣でも突撃するか〜」


「巣に!?」

「いきなり!?」

「今から!?」


「ライアン達は文句言わずに着いてきたのになぁ〜?」


「くっそぉ…」

「やっぱりライアンさん達って凄いなぁ…」

「スパルタすぎる…死んじゃうよ…」

「お金には…なりそう…?」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「お、オークじゃ〜ん。頑張れよ〜」


「オーク!?強いじゃん!」

「死んじゃうよー…!」




「ほれ、あの木の上にも、あそこの影にも、全部薬草だからちゃ〜んと回収しろよ〜」


「採取って聞いたから楽かと思ったのに!」


「お、ホーンラビットだ。あれもしっかり狩れよ〜?」


「「「「鬼ー!!!!」」」」




「ファングディア見えるか〜?鹿のくせに肉食だから食われんなよ〜」


「何それ!怖すぎでしょ!」




「ゴブリンの群れか〜。レッツゴー!」


「最近なんか雑じゃない!?」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「毎日が…怒涛すぎる…」

「宿までの記憶が毎日無いよ…」

「でも、もうCランクになっちゃった…」

「やばすぎるよ…2ヶ月半でしょ…」


「よぉ〜、Cに全員なったな〜?今日からはもっと頑張れよぉ〜?」


「「「「デスヨネー…」」」」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「お、キラービーの巣、見えるか〜?中の蜂蜜が高級品だから、全部外に誘き出してから倒せよ〜」


「なんかデカくない!?」

「一網打尽は禁止かよ…!」




「ハーピー飛んでんなぁ〜。ついでに落としとけ〜」


「ハーピーってそんな軽いノリ!?」

「ワイルドボアと戦闘中!」




「こっちに生えてるのと、そっちの、そっくろだろ〜?さぁ、どっちが薬草でしょう!」


「え〜?分かんな…」


「食ってみれば分かるぞ〜?」


「片方毒あるってことじゃん!」

「怖すぎ!」




「あ、ハーピー!」


「ば〜か、あの影はロック鳥〜。逃げるぞ〜」




「お、2匹もレッドベア居るじゃ〜ん!番っぽいなぁ〜。子供も居るだろうから、全部毛皮傷めないように一撃で倒せよ〜」


「繁殖期って気性荒いんじゃ…!?」

「めっちゃ怒ってる…!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「おはよう。メアリーさん居る?」


「ライアンさん達お揃いで。おはようございます。今日も早いですね。」


「そうだね。いよいよ今日が昇級試験だと思うと、眠れなくて…」


「受かればAランクですから当然ですよ。」


「ねぇ、ジェフリーって今どうしてる?」


「ジェフリーさんですか?あの人は、あなた方と同じ孤児院出身の子たちと組んで、Cランクパーティーとして活動されてますよ。」


「ふぅん…その子たちって、Bに上がりそう?」


「そうですね…ジェフリーさんが3度目で慣れたのか、最高効率で成長してますよ。あと1、2年したら上がるんじゃないでしょうか。」


「…すごいスピードだね……サイクロプス倒した子たちが特別に才能があるのかと思ったけど、やっぱりジェフリーが凄いのかな?」


「どうなんでしょう…厳しくはありますが、的確にその人の長所を伸ばしていると思いますよ。性格さえもっと……こう……でしたら……」


「僕たちもそう思うよ…。ありがとう。それじゃあ、昇級試験の内容を聞かせてくれるかな?」


やっぱり、ジェフリーは凄い。気遣いも、観察眼も、教える力も、それを表に出さない所も。

僕たちは絶対にAランクになってみせる。そしてジェフリーに恩返しするんだ。Aランク冒険者の推薦、更に2組もBランクに育てた実績があれば、ギルマスも頷いてくれるだろう。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「おっはよ〜、メリンダちゃん、元気〜?」


「おはようございます。夕方ですけどね。」


「Bへの昇級資格ゲットしたからさ〜。あいつらの分、申請しといて〜」


「早いですね…Cランクに上がってから、まだ1年半じゃないですか…」


「毎日たっぷりしごいてるからなぁ〜」


「分かりました。試験はいつが希望ですか?」


「試験前くらい、しっかり休ませてやりたいしな〜…。んじゃ、3日後っていける?」


「大丈夫ですよ。準備しておきますね。」


「サンキュ〜、メイミーちゃん!」


「もう…」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「よ〜、全員ちゃぁんと帰ってきたな〜。無事が1番だからなぁ〜。んで、どうだったよ〜?勝てたか〜?」


「「「「うん!!!!」」」」


「魔石の確認を…………ありがとうございます。これにて、4人はBランクとなります。」


「「「「ありがとうございます!!!!」」」」


「良かったなぁ〜。ライアン達よりも早いぞ〜?」


「ほんとに!?」

「ライアンさん達より…!?」

「Bランク…Cでもあんなにヤバかったのに…」

「上級冒険者だね!ライアンさん達みたいに、Aランク目指しちゃお!」


「強くなったなぁ〜。もう俺よりも強いぞ〜?だから、今日で俺は追放な〜?」


「え?」

「追放?」

「ジェフリーを?」

「何言ってるの?」


「ほんとだぞ〜?俺はガキンチョにやらせて眺めてたいからなぁ〜。Bランクのおっそろしい魔物なんて怖ぇからなぁ」


「その事なんですが、ジェフリーさん、ちょっと宜しいですか?」


「ん〜?どったの?メラニアちゃん?」


「ギルマスの部屋までお願いします。」


「ギルマスぅ?俺なんかしたぁ〜?」


「皆さんをお待たせしてる状態なので…。とりあえず来てください。」


「はいはい…あれ、メルバちゃん爪きれ〜…!付き合っちゃう?」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「う〜っす……ってライア〜ン!久しぶりだなぁ〜。元気にしてたかぁ〜?」


「ジェフリー!やっと君に恩返しができるよ!」


「恩返しぃ?」


「僕たち、知ってると思うけど、Aランクになったんだ。11歳の頃からジェフリーに育ててもらったお陰だよ。それに、サイクロプス倒して、試験免除でBになったパーティーも、今さっき、17歳でBランクになったパーティーも。ジェフリーが育てただろ?」


「育てたなんてもんじゃねぇけどなぁ〜。後ろからちゃちゃ入れてるだけだぞ〜?」


「その人に合った強さの魔物に会うように行動したり、こっそり下見したり、武器の手入れの時期に買い物に誘ったり…色々やってるだろ?アドバイスだって的確だし。だからね、ジェフリー。この功績をもって、ギルマスに推薦したんだ。」


「直接話すのは初めてだな。ここの支部でギルドマスターをさせてもらっている。アランだ。」


「Cランクのジェフリーです〜。」


「早速だが、本題に入らせてもらう。君を、ギルド公認の指南役に指名する。仕事は今までとそう変わらないだろう。演習場で実技を鍛えたり、座学も頼みたい。外に実習も行くことになるだろう。報酬は日当にすると3万イジだ。悪くないと思うが。」


「ごめんなぁ〜、ライアン。俺は教えたいのでも、稼ぎたのでも無いんだぞ〜?楽して収入が欲しいんだよぉ…!だからなぁ、毎日毎日、せっせと教えなんかしたくないんでなぁ〜」


「ふむ…ジェフリー君の意見は分かった。だがこれは、ギルドとして、冒険者に対する指名依頼の様なものだ。拒否は原則として出来ない。」


「ん〜…じゃ、冒険者辞めるわぁ〜」


「ジェフリー!?」


「冒険者以外でも楽して稼げる仕事くらいあるだろ〜。良い感じに見つけるさ〜。あ、美味い酒奢ってくれる約束は忘れてないからなぁ?」


「それは勿論、守るさ……そうじゃなくて…!」


「そ〜ゆ〜事で…すいませんねぇ、マスター…。じゃ〜なぁ〜、また会おうなぁ、ライアン、メアリーちゃん」





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「よぉ〜、Aランク冒険者様の金で今日は美味い酒、浴びるほど飲むぞ〜」


「私まですいません、ライアンさん。」


「気にしないで。ジェフリーの言うとおり、それなりに稼ぎはあるからさ。」


「さっすがぁ!太っ腹だなぁ!立派になってぇ〜!」




「くぁ〜!やっぱり良い酒はうめぇなぁ〜!」


「そりゃ良かったよ……ところでジェフリー、冒険者辞めてからは何してるの?」


「ん〜?メローラちゃん口説いてる〜!なぁ〜?」


「ソウデスネ…口説かれてます…。」


「そっかぁ…。で、何してるの?」


「ん〜?お馬さんしか居ない動物園やってる〜」


「馬しか居ない動物園…?」


「そ〜そ〜、何頭か同時に走らせて、どの馬が勝つかってな〜」


「そっかぁ…」


「ハマる奴はハマるからなぁ〜。ライアンもみんな連れてこいよぉ〜。楽しいぞ〜?」


「…遠慮しておくよ……まぁなんだ、ジェフリーが楽しそうで良かった。」


「お馬さんは貸し馬車屋で暇なの借りてるからな〜。世話も要らねぇし〜。楽だぞ〜?冒険者より働かないで、冒険者より稼げる〜!ビバ不労所得だなぁ!」


「ジェフリー…君って人は…」

「もう、らしくて良いんじゃないですかね…」


「はっはっは!人の金で飲む酒はうめぇなぁ〜」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ