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第八章 第六話 なぜかデンバー国では、俺は嫌われ者のようだ

 〜シロウ視点〜




 子爵のバカ息子が、国外追放という予想外な形で終わりを告げた翌日、俺たちはデンバー王都に向かうため準備していた。


 依頼の延長のような形ではあったが、エリザベートとはここでお別れだ。


「みんな準備はできたか?」


「もちろんですわ」


「はーい!」


「既に準備は完了している。いつでも出発できるさ」


「よし、それじゃあ馬車に乗ろうか」


 先にマリーたちを乗せ、最後に俺が乗ろうとしたときだ。


「英雄殿待ってくれ!」


 騎士爵様の声が聞こえ、俺は振り返った。彼の隣にはエリザベートもいる。


 もしかして見送りに来てくれたのだろうか。


「よかった。どうにか間に合って」


「まったく、今朝出立するのなら、教えてほしいものだ」


「すみません。親善試合も近いので、急いで王都に行かなければならなかったので」


 そう、最初の予定ではただエリザベートを送り届けるだけの日程を立てていた。けれど美少女コンテストを見守ることになった分、予定に遅れが生じてしまったのだ。だからあえて二人には出立日を教えてはいなかった。


「そうか。ならばあまり時間を取るわけにはいかないな。手短にするとしよう」


 そう告げると、騎士爵様は俺の肩に手を乗せた。そして俺に笑顔を向ける。


「もちろん、責任を取ってくれるのだよな」


 彼の言葉に、俺は苦笑いを浮かべた。


 昨日のコンテストで、エリザベートはウッシーナを厭らしい食べ方をしたのだ。それを見た彼は激怒し、俺に説明責任を要求してきた。だけどそれは俺の知らないことだ。


 嘘偽りなく事実を語ったにもかかわらず、騎士爵様は怒った。そして責任を取るように言ってきたのだ。


 その責任の取り方というのが困ったことに、エリザベートとの婚約というものだ。


 どうやら彼も、オルテガやスパルタクスのように、俺を義理の息子にしたいらしい。


 マリーたちが娘を利用するのはどうかと言って、彼を説得してくれたのだが、どうやらまだ諦めてはいないようだ。


「昨日もマリーたちが言っていたじゃないですか? エリザベートの意志を無視して、親が勝ってに決めるものではないと」


「ああ、わかっている。だから、エリザに相談してみた。そしたら、当然拒否されたよ」


 彼の言葉に、俺はそれもそうだろうと思った。何せ彼女は、俺に対しての好感度が低いのだから。


「だけど、俺もよく意味がわからないのだが『お父様の力は借りません。ライバルを蹴散らして実力で勝ち取ってこそ、意味があります。ですので、わたしはシロウさんと共に冒険者になります』と言い出したんだ」


 騎士爵様の言葉を聞いた俺もよく意味がわからなかった。だけど、彼女が冒険者になりたいという意志があることだけは伝わってきた。


「つまり、エリザベートは俺たちと一緒に冒険者をやりたいと?」


 エリザベートに尋ねると、彼女は無言で首を縦に振る。


「わかりました。彼女を仲間にすることで、責任を取る形でいいのでしたら、俺のパーティーに加えます」


「ありがとうございます! シロウさん! わたし、頑張りますね」


「時間を取らせて悪かった。俺はもう帰るとするよ。エリザ、頑張るのだぞ」


「おまかせください、お父様!」


 親子で別れを告げると、エリザベートは馬車の中に入っていく。


 とりあえずは、ギルドで正式に手続きをしないうちは、仮加入といったところか。


 そんなことを思いつつも、俺は馬車に乗り込むのであった。




 数日が過ぎ、俺たちはようやくデンバー王都に着いた。


 馬車から降りた俺たちは、早速宿を取るために城下町を歩き、宿泊できる場所を探す。


「思っていたのとは違って寂れているな。ブリタニアとは大違いだ」


「本当だね。もっと賑やかな場所だと私も予想していたよ」


「クロエ、全世界が同じように平和だとは限りませんわ。場所によっては、国同士が争っているようなところもありますのよ」


「私たち魔族は、全世界の人間に対して常に戦争紛いなことをふっかけているが、ここもその影響を受けているのだろうか?」


「それはないと思いますわ。だって、子爵様が収めている土地はあんなに豊かでしたもの。魔族の影響を受けているのでしたら、あの土地だって寂れているはずです」


 みんながそれぞれ町の感想を口にする中、俺は宿屋を見つける。そして彼女たちと一緒に中に入った。


「いらっしゃい。この町では見かけない顔だね。旅のものかい?」


「はい、俺はブリタニア代表として親善試合に来ました。なので、それまでーー」


「出ていけ!」


「はい?」


 突然、出ていくように言われ、俺は困惑してしまう。


「お前、ブリタニアのシロウだろう! ブリタニアの選手なんかこの宿屋に泊めてやるものか! さっさと出ていけ! でなければ衛兵を呼ぶぞ!」


 すごい剣幕で宿屋の店主は言葉を連ねる。


 どういう訳なのかわからないが、彼は俺たちを宿屋に泊めさせたくはないようだ。


「ちょっと、それはどういうことなのですの!」


「そうだよ! いい大人なんだから、説明もなしに追い返そうとしないでよ!」


 マリーとクロエが、店主の言葉に納得ができなかったようで、説明するように要求した。


「お前の対戦相手は、この国で一番の強者だ。どうせお前が負けるに決まっている。ザコを停めた宿なんて噂が立ってみろ? 風評被害もいいところだ」


「なんだ。そんなことですの?」


「だったら、泊めても何も問題ないよ。だって勝つのはシロウさんに決まっているもの」


「クロエの言う通りだね。つまらない理由でシロウを泊めなかったとしよう。間違いなくここの宿屋の風当たりは悪くなる」


「そうですわ。シロウさんはブリタニアの英雄ですもの。絶対にシロウさんが勝つに決まっていますわ。恥を掻きたくないのであれば、早く泊めることですね」


 ここの宿屋に泊めさせない理由を店主が言うと、マリーたちは俺が勝つから宿屋に泊めろと再度要求を試みる。


「寝言は寝て言え! そんなヒョロヒョが勝てる訳がない! わかったのならさっさと出ていきな! 本当に衛兵を呼ぶぞ」


 あまりにもしつこかったからか、店主はカウンターを叩いて怒鳴りつけるように声を荒げた。


 このままここにいても時間のムダだ。別の泊まれる宿を探したほうがいいだろうな。


「マリー、クロエ、カーミラ、エリザベート。これ以上店主に迷惑をかけるわけにはいかない。一旦外に出ようか」


 仲間たちに外に出るように言うと、彼女たちは納得できないと言いたげな表情をしながら、宿屋から出ていく。


 リーダーの命令は絶対という、エグザイルド内でのルールがあってよかったよ。それがなければ、もしかしたらカーミラあたりが、何かをやり始めていたかもしれないからな。


 まぁ、俺が認識阻害の魔法を店主に使って強引に泊まるという選択肢もあったけれど、そんなくだらないことにできれば使いたくはない。


「さて、とりあえずはぶらつくとしますか」


 別の宿泊施設を探しながら城下町を彷徨(うろつ)いていると、俺たちのほうに向けて一人の男性が歩いてきた。


 彼と目が合うと、男は俺のところに駆け寄ってくる。


「シロウ! ようやく見つけたぞ。中々城下町で目撃情報がないので、心配していた。さすがに依頼を放棄するような男ではないから、親善試合までには来てくれるとは思っていたがな」


「スパルタクス、遅くなってすまないな。色々とトラブルみたいなことが起きて、到着が遅くなった」


「そうだったのか、王様も心配している。よければ顔を出してくれないか?」


 王様は俺のファンだからな。到着が遅くなって心配するのもムリもないだろう。だけど俺たちは先に、今夜の寝床を探さないといけない。でも、王様を無下に扱うわけにも行かないよな。


「いいけど、俺たちはまだ宿屋を探している途中なんだ」


「それなら王様がデンバー王に話して部屋を用意してくれるはずだ」


「わかった。それなら、今から会いに行こう」


「よかった。では、城までは案内しよう」


 スパルタクスの後ろを歩き、彼についていく。十分ほどかけて歩くと、デンバー城の前にきた。スパルタクスが門番たちに俺を連れてきたことを告げると、城内へと通される。


「王様がいるのは、二階にある客間だ」


 階段を登り、二階の廊下を歩いていると、二人組が俺たちのほうに歩いてきた。


 一人は頭に王冠を被っている男だ。デンバー王で間違いないだろうな。もう一人はローブを着て、フードで頭を隠しているので容姿が分からない。


「スパルタクス、その者たちは?」


「はい。こちらの男は、我が国の代表であるシロウです。ブリタニア王がお待ちなので、案内しております」


「ほう、そのものがあの男の対戦相手か? ブアッハハハハ!」


 デンバー王は俺を見るなり、一人で笑い声を上げた。


「見るからに弱そうではないか。こんな男がブリタニアの代表とは笑わせてくれる。此度の戦い、せめて無様に負けないように努力をすることだな。開始早々気絶してしまっては、面白くない。まぁ、特別に親善試合の日までは好きな部屋に泊まるがいい。ハハハハ」


 再び俺をバカにするような笑い声を上げると、デンバー王は歩き去っていく。


「宿屋の店主といい、デンバー王といい、ここの人間は本当に見る目がないですわね。シロウがどれだけすごい人なのか、全然気付かないなんて」


「本当ですよ。私ムッとしました」


「今のうちに言わせておけばいいさ。どうせ最後に勝つのはシロウなんだから。自分たちが信じていたものに裏切られる絶望感は半端ないからね。シロウの対戦相手はご愁傷様だ」


「寧ろ、シロウさんの対戦相手が秒殺されないか、そっちの方が心配ですわ」


「シロウは仲間に信頼されているな。俺もお前が勝つと信じているぞ……おっと、着いた。ここだ」


 ブリタニアの王様がいる場所に案内され、スパルタクスが扉をノックする。


「スパルタクスです。シロウをお連れしました」


「シ、シロウだと! 早く通せ!」


 扉越しに王様の声が聞こえ、扉が開かれる。


 客室の椅子に、ブリタニア王が座っていた。


「久しぶりだな。シロウよ」


「ご無沙汰しております」


「堅苦しい挨拶はよい。ワシとそなたの仲ではないか。スパルタクス、しばらく二人っきりにさせてくれないか?」


「御意。では、マリーお嬢たちは隣の部屋に案内させておきます。デンバー王の許可はもらっておりますので」


 王様が二人っきりになりたいと言うと、スパルタクスはマリーたちを連れて部屋から出て行く。


「到着早々で悪いのだが、到着が遅くなった理由を話してくれないか?」


「わかりました」


 遅くなった理由を話すように促され、俺は騎士爵様からの依頼に起きたできごとを話す。


「そうか。そんなことがあったのか。ワシはてっきりデンバー国の妨害にあっているのかと思っておった」


「妨害?」


「そうだ。久しぶりにデンバー王とあったのだが、何やら様子がおかしい。シロウに対して冷たくするように国民に言っているようだし、そなたの評判を下げようとしておる。此度の親善試合は何が起きてもおかしくないと思っておったほうがいいだろう」


「わかりました。肝に銘じておきます」


「そなたも疲れているであろう? 今日は部屋に戻って休むがいい」


「はい。そうさせてもらいます」


 王様に背を向け、俺は用意されている部屋に向かうのであった。


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