表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

138/191

第十五章 第五話スカイドラゴンとの空中戦

 うーん、これは困ったな。


 事故とはいえ、今の俺はマリーたちに押し倒され、身体中から女の娘の柔らかい感触が伝わっている。


 落ち着け俺、変に意識してしまっては、俺のムスコが反応してしまう。


 ここはなるべく冷静を装って、普段どおりの俺を演じなければ、気まずい空気にしてしまう。


「あいたた。ワタクシはいったい何にぶつかってしまったのですの?」


「あれ? 何か硬いものが当たっているような?」


「まさか雲の中を直行するなんて、運転が荒いじゃないか」


「どうやら、わたくしたちはお互いにぶつかってしまったようですわね」


 どうやらみんな気がついたようだな。彼女たちの口振りからして、まだ俺を下敷きにしていることに気付いていないみたいだ。


「みんな、悪いけれど離れてくれないか?」


「「「「!」」」」


 彼女たちに声をかけると、ようやく状況を理解したようだ。四人は慌てて俺から離れる。


「シ、シロウ! すみませんですわ。気付かなかったとは言え、あなたの上に乗っかっていたなんて」


「ごめんなさい! シロウさん!」


「あはは、まさかこんなことになるなんて凄い確率だね」


「申し訳ありません。何と謝罪すればよいのか」


「いや、別に気にしなくていい。事故だったのだから仕方がないよ」


 あ、危なかった! あともう少し遅かったら、完全にムスコが戦闘態勢に入るところだった。


 俺たちは互いに苦笑いを浮かべ、しばらくの間沈黙が流れる。


 ど、どうしようか。どっちにしても気まずい空気になってしまった。


『ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォン!』


 この空気をぶち壊すかのように、何者かの雄叫びが真上から聞こえてきた。


 俺は顔を上げると、目を大きく見開く。


 で、でかい。


 真上を飛行している生き物は、全長三十メートルはあるのではないかと思うほどの巨大な竜だった。


 翼は生えてはいないが、蛇のように長い胴体には肢体があり、口元の髭はナマズのように長い。


 この特徴を持つ竜は、確かスカイドラゴンと呼ばれる竜種。空の王者とも呼ばれる竜が、飛行船の真上を飛んでいる。


 スカイドラゴンは飛行船に気付いているようで、顔を下げていた。


 ドラゴンと目が合うと、やつは突っ込んで来る。


 キャプテンモネが縄張りに侵入した者を襲うと言っていたけれど、こいつが討伐対象か。


 俺は瞬時に作戦を考える。


 どうする? 普通なら結界魔法のライトウォールで船を包み込むのが一番だけど、それではキャプテンモネの操縦を邪魔することになる。だからと言って、あれだけの大きさなら、ちょっとした攻撃魔法では効かないはずだ。


 スカイドラゴンは大きく口を開けた。


 口を開けたか。それならこいつを食いやがれ。


「アイシクル!」


 魔法を唱え、巨大な氷柱を作り上げると、ドラゴンの口に向けて放つ。氷柱はスカイドラゴンの口を塞いだ。


 いきなり口に入ってきた氷柱に驚いたようだ。竜の動きが止まり、その間に飛行船はとおり過ぎる。


 ひとまず回避することに成功したか。だけど、次はどのようにして倒すのかを考えないといけないよな。


「私が矢を放つよ」


 クロエが弓を構えて矢を放つ。射出された矢はスカイドラゴンの歯に当たるが、弾かれた。


「全然効いていない!」


「サイズに差があるね。これではいくら攻撃しても、殆ど効果がない」


 カーミラの言うとおりだ。俺の魔力で、どうにか対等に相手ができるほどのドラゴン。彼女たちがいくら頑張ったところで、微々たるダメージしか与えられないだろうな。


 うん? そうか。問題なのはサイズだ。なら、コンパクトにしてあげれば問題ないじゃないか。


「セルリワインド」


 俺は生物限定で効果を発揮する、時の魔法を使う。すると、スカイドラゴンの細胞分裂が巻き戻り、やつの身体はどんどん小さくなっていく。


 よし、今のあいつは三分の一のサイズになったはずだ。


「これでみんなが攻撃してもダメージが入るはず」


「さすがシロウですわ! 鞭が当たる範囲まで近づいたら、攻撃しますわね」


「それまでの間、私が攻撃をするよ」


「私も遠距離魔法で攻撃するとするか。ファイヤーボール!」


「わたくしも魔法で攻撃するとしましょう。ウォーターボール」


『ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!』


 ドラゴンが退化したことで、やつの肉体にダメージが入るようになった。三人の攻撃を受け、スカイドラゴンは苦しむ。


 よし、これなら倒すことができるはずだ。


 そう思ったとき、急に飛行船が揺れ、足場が悪くなる。


 気流が乱れている場所に入ってしまったのか? これでは狙って攻撃を当てることが難しくなる。


 自然も敵に回っている状況の中、ドラゴンは好機だと思ったのだろう。尻尾を使い、船を攻撃してきた。


 だが、キャプテンモネが操縦を頑張ってくれたのだろう。敵のテールアタックはスレスレで当たることはなかった。


「このままではスカイドラゴンにダメージを与えられない」


 乱れた気流から離れることが一番だ。


 やつを倒すにはそれがもっとも効果的となる。それなのに、どうして彼女はこの場から離脱しようとしない?


  もしかして!


 俺の脳内に、とある可能性が思い浮かんだ。


 確かに彼女の立場からすれば当然のことだ。だけど、これはあまりにもやり過ぎている。


 マリーたちも、揺れ動く甲板に立っていられない状況だ。


「きゃあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


「クロエ!」


 バランスを崩したところに強い風が吹き、クロエが吹き飛ばされる。


 俺は急いで駆け寄り、飛行船から落ちそうになったところを助けた。


「シロウさん。ありがとう」


『ワンワンワン!』


 今度はキャットが吹き飛ばされる。


 俺は片手でキャッチすると、飛ばされないように抱き締めた。


 くそう。これ以上は好き放題にさせるわけにはいかない。こいつで終わらせる!


「ハートラプチュア」


 即死魔法を唱え、スカイドラゴンの心臓の壁に穴を開けて破裂させる。


『グオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!』


 心臓に穴が空いたドラゴンは、断末魔の声を上げながら落下して行く。


 討伐対象がいなくなると、飛行船は荒れた気流から離れ、そのまま海に着地した。


 海にはスカイドラゴンの死骸が浮いている。


「いやーお見事、まさか本当にあのスカイドラゴンを倒すとはね。君たちの実力は認めよう」


 扉が開き、キャプテンモネとエリザベートが甲板に顔を出す。


 ドン!


「シロウさん! 何をやっていますの!」


 俺の行動を見たエリザベートが驚く。


 俺はキャプテンモネに壁ドンしたのだ。


 最後まで読んでいただきありがとうございます。


 ブックマーク登録をしてくださった方ありがとうございます。


 小説家になろうとは関係ないですが、カクヨムにも投稿している『Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る』ですが、初日にランキング入りを果たし、現在ファンタジー部門で308位までランキングを上げています。


 フォローしてくださった方も昨日よりも多くなりましたので、明日の更新ではさらに上に昇っているかもしれません。


 果たして明日は何位になっているのか、更新が楽しみです。


『面白かった!』


『続きが気になる!』


『今後の展開が気になる! 次はいつ更新されるの?』


 と思いましたら


 広告の下にある☆☆☆☆☆から、作品の応援をお願いします。


 面白かったら☆五つ、つまらないと思ったら☆ひとつでも大丈夫です!


 あなたの感じた評価をしていただけると、作者のモチベーションが上がり、今後のパフォーマンス向上にもつながります。


 右下にあるブックマーク登録もしていただければ嬉しいです!


 広告の下に、作者の作品一覧があります。


 作品のタイトルを、クリックかタップをしていただくと、その物語を読むことができるようにしてありますので、気になった作品があれば是非読んでいただけると幸いです。


 何卒よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ