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第十二章 第八話 魔神花との戦い

「魔神木じゃない」


 魔物に変化する液体を飲んだガーベラを見て、俺は言葉を漏らす。


 今までは木の化け物だったが、今回は花の魔物だ。ガーベラの上半身は残っているものの、下半身は太い茎になっており、無数の棘が付いている。地面から飛び出した根っ子は触手のように蠢いていた。


 これまでとは液体の種類が違うのか? それとも性別によって変化するものが変わってくるのか?


 いや、今はそんなことを考えている場合ではない。今やるべきことは、巨大な花の魔物と化したガーベラを倒すことだ。


『さぁ、魔神花と化した私があなたたちを葬ってあげましょう』


 茎から生えている棘が飛ばされ、俺たちに飛んでくる。


「ライトウォール」


 魔法で光の壁を生み出し、仲間たちを覆って敵の攻撃を防ぐ。


『あははははは、この連続攻撃には、さすがのあなたでも防戦一方のようですね』


 魔神花の飛ばす棘は、飛ばした瞬間に次の棘が生まれて装填時間が短い。


 しかも最初から全力で攻撃しているのにも関わらず、やつは疲れて隙を見せる素振りがない。


 咄嗟(とっさ)に皆んなを守るために、防御壁を使用した。けれどこの魔法は、範囲が広ければその分だけ強度がなくなる。


 そろそろ、防御壁が壊されるかもしれない。


「そろそろ光の壁が破壊される。自警団の人たちは身を低くしながら町に避難してくれ」


「今のシロウの言葉を聞いたか! お前らは建物の中に避難していろ」


「アニキは!」


「俺は自警団の団長としてここに残る。余所者のシロウたちを頼りきるのは自警団のプライドが許さねぇからな」


「なら、俺たちだって」


「お前らは足手纏いだから避難しろと言っているのが分からねぇのか! 無駄死にしたくなければ、さっさと逃げる準備をしておけ」


 荒っぽい口調でベオは部下たちに言うが、彼なりに一人でも多くの部下を助けようとしているのだろうな。


「防御壁が破壊されたと同時に俊敏の魔法をかける。上手く切り抜けてくれ!」


 次の行動を伝えると、光の壁にヒビが入って防御壁が破壊される。


「スピードスター」


 全員に俊敏の魔法をかけ、俺は飛んでくる棘を次々と躱しながら魔神花に近づく。


『早い!』


「素早く動けばこっちのものだ」


『近づくな!』


 茎から伸びた花から粉のようなものが舞う。


『エアー』


 魔神花が呪文を唱えると風が吹き、俺たちに粉が飛んでくる。すると、俺の身体は動かなくなった。。


 身体が痺れて思うように動くことができない。これは毒か。さすがに小さい粉を躱すことはできないな。


「デトックスフィケイション」


 直ぐに解毒の魔法を唱えて、身体の自由を取り戻す。


 毒と解毒を繰り返してはイタチごっこになる。どうするかな。


「シロウ! ここはワタクシに任せてください」


 マリーが飛び出し、魔神花に近づく。


『近づくなと言っているだろうが!』


 魔神花が先ほどと同じようにマリーの動きを止めようとする。しかし彼女は動きを止めることなく、距離を詰めた。


 そうだったな。この状況下で唯一動くことができるのはマリーだけだ。


 彼女のユニークスキル【抗体】は、一度受けた状態異常を二度目以降は無効化する。デバフを受ければ、その分だけマリーの障害はなくなる。


「さぁ、喰らいなさいな」


「エンハンスドボディー」


 マリーが鞭を振るったタイミングで肉体強化の呪文を唱え、彼女の攻撃力を上げる。


 鞭は触手のような根っ子に当たり、衝撃波で切断した。


『がああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』


 花の魔物であっても痛みを感じるようだ。魔神花となったガーベラが悲鳴を上げる。


「その花が邪魔ですわ! どうせ花を咲かせるのでしたら、次からはバラにしておくことをおすすめしますわよ」


 今度は毒の粉を撒き散らした花に鞭を当て、根っ子と同様に破壊する。


『私の花が!』


「マリー、よくやった。これで毒を気にすることなく戦うことができる」


 俺は彼女を褒めると、マリーは笑みを浮かべる。


 よし、これから反撃とさせてもらおう。


『ワウーン!』


 これから攻撃に転じようとしたとき、キャットが遠吠えをした。


 すると、山の方から何かがやって来る。


『チュウ、チュウ、チュウ、チュウ、チュウ、チュウ、チュウ』


 目を凝らして見ると、それはネズミだった。ネズミたちは群れとなってこっちにやって来る。


「どうしてネズミなんかが来るのですの!」


「いやー、こっち来ないでよ!」


「シロウさん助けてください!」


 ネズミに驚いた彼女たちが俺に駆け寄る。そして我先にと言わんばかりに三人が俺に抱き着く。


 俺の身体にしがみ付き、地面に足を付けないようにしていた。


「しまった。私もどさくさに紛れてシロウに引っ付けばよかった」


 カーミラの声が耳に入るが、俺は唖然としていた。


 ネズミたちは魔神花となったガーベラに向かって走って行く。


『くそう、来るな! 薄汚いドブネズミが!』


 ガーベラは触手のような根っ子でネズミを叩き潰す。


 犠牲になったものもいるが、残りのネズミが前歯で魔神花の根っ子や茎に噛み付く。


『やめろおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ』


 根っ子や茎が噛みちぎられ、魔神花は苦しむ。


 そうか。植物である以上は、根っ子から水分と栄養を吸収する。


 それが切断されて供給が断てば、やつは元気を失う。


 まさか、キャットが機転を聞かせてこんなことをするとは思わなかった。敢えて名付けるのなら小動物呼びか? 流石にネズミ呼びはネーミングセンスがなさすぎる。


『止めろ! 力を失って行く』


 しばらく様子を見ていると、ネズミたちは山に帰って行く。


 魔神花の根っ子や茎はボロボロになっていた。


『よくも! 私にこんな屈辱を与えてくれたなああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』


 魔神花となったガーベラが叫ぶ。


 水分と栄養が絶たれたガーベラは、花が枯れるように、上半身の彼女も枯れていた。


 顔に無数の皺ができ、老婆のような見た目になっている。


「同じ女として同情するよガーベラ、そんな姿になってしまうとはな」


『カーミラ!』


「シロウ! 彼女にトドメを」


「分かった。これで終わらせる。デスボール」


 上空に巨大な火球を生み出し、俺は魔神花となったガーベラに当てる。


『がああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』


 灼熱の炎に焼かれ、ガーベラの身体はよがり、彼女は苦しむ。


『私を倒しても、もう我々の計画は最終段階に入った。あと一つ、あと一つの玉を見つければこの世界から人間共を排除することがああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』


 叫び声を最後に、魔神花は燃やし尽くされて灰となった。


「さよならだ。ガーベラ。君も人間の素晴らしさに気づけたのなら、こうはならなかった」


 灰を見つめながら、カーミラは呟く。


 彼女の顔は悲しげに俺には見えた。

(この後書きは、時雨先生の提供でお送りします)


後書き コラボ キルケー視点


「最後まで読んでいただきありがとうございますわ! マリー・オルウィンですわ!」


「クロエだよ! 今日はコラボと言うことでこの方に来てもらいました『オートスキル【人生ダイス】の導きにより、敷かれたレールの上を歩く人生を送っていた俺は、おっさん勇者ファミリーから追放されるが、異世界少女に技を教えてもらい、サイコロ無双で世界最強に至る』からお越しいただいたキルケーさんです! どうぞ」


 名前を呼ばれ、私は二人の間から顔を出した。


「ども、ども! キルケーだよ! 今日は私が登場する作品の宣伝に来たんだ!」


「それにしてもキルケーって変わった名前ですわね」


「ああ、これはニックネームと言うやつだ。本名は別にある。そんなことよりも早く始めちゃおう」


 私はマリーに視線を送ると彼女は事前に用意したボードを見せる。


「と言う訳で! 第一回、時雨先生の新作は他とはここが違うを始めるよ! クロエ、次のボードを持って来て」


「はい」


 ボードを前に出し、私は書かれてある内容を読む。


「では始めよう! 新作の主人公は他の作品とはここが違う!」


「どこが違いますの?」


「もちろんタイトルのとおり、この物語は追放ものだ。主人公が不遇でパーティーから追放され、後に最強となってカタルシスを得られると言う定番主人公であることは自信を持って言う! しかし、他の主人公とは違うところはなんと! 彼の武器はサイコロなのだ!」


「サイコロですって!」


「そんなのでどうやって戦うの!」


 うん、うん。二人とも驚いてくれている。


「ネタバレになるからここでは話せないなぁ。気になったら本編のほうを読んで!」


 自然な形で本編を読むように二人を誘導すると、私は次のボードを前に出す。


「新作の追放サイドが違う!」


「どこが違うの?」


「もう一つの主人公とも言える追放サイド! ギルドから追放されたり、パーティーから追放されたり、家族から追放される作品は数多くあれど、この作品の追放サイドは、タイトルのとおり、勇者の家族から追放されるけど、その勇者がおっさんなんだ!」


「おっさんなの!」


「ダメですわ。おっさん勇者のイメージが全然できませんわ!」


 うん、うん。二人とも驚いてくれている。いい感じだ。


「しかも、このおっさんは主人公の伯父なのだ。『おっさん』『勇者』『身内切り』の三要素が揃っている作品は、作者調べではこの作品しかない! もしあったごめんね」


 続いて私は最後のボードを掲げた。


「最後は新作のヒロインが違う!」


「どんな娘が登場しますの?」


「どんなヒロインなのか! それはタイトルにも書かれてあるとおりだ!」


「異世界少女だね」


 クロエがタイトルを見ながらポツリと言葉を漏らす。


「そう! ヒロインの一人はなんと! 異世界転生者なんだ! 現地主人公追放ものに異世界転生のヒロインが乱入するのだ! しかも、このヒロインは現代社会の知識でボケたりツッコミを入れたりして主人公を困らせるのだけど、彼の困った顔がまた可愛いんだよ」


「キルケー、話しが逸れていますわよ」


「おおっと、そうだった。その他にも未来予知の能力を持つ、竜と妖精の半竜半妖であるフェアリードラゴンの女の子も登場するよ! 私の次に可愛いから、興味を持ってもらえたら読んでもらいたい」


「キルケーさん。そろそろお時間ですよ」


 クロエが時間になったことを告げる。


 マジか。もうそんな時間なの。時間が経つのは早いなぁ。


 そろそろ最後の締めに入らないとね。


「と言うわけでいかがだったでしょうか? 最後に後書きを読んでくれたあなただけに特別な情報を教えるよ! あなたはこんな経験をしたことがありませんか? なろう作品の新着欄から面白そうな作品を見つけたけれど、いつの間にか更新がなくなって、気がついたときにはエタっていたことが!」


「それはよくありますわね」


「私もある! せっかく面白い作品を見つけたのに、結局エタっていて、これまでの時間を返してよって思ったもの」


 うん、うん。やっぱり、好きな作品がエタっていたときのショックは大きいよね。


「なんと! 全四作品、合計百六十万文字以上を書いた実績を持つ時雨先生が、五年、十年保証ならぬ七万文字保証を私の登場する新作にお付けするぞ! 最初から保証されてある作品はこれだけだ!」


「これは安心して読むことができますわね」


「七万文字が読めれば、例えエタってしまってもそれなりに満足感はあるよね」


「本当は十万文字を書き上げてから投稿したかったらしいのだけど、ついに我慢ができなくなったみたいなんだ。だけど十万文字書き上げるまでは、新作を打ち切り完結にはしないから安心してくれ!」


 よし、とりあえずは作者に言われたことは変わりにやってあげた。だけど、これで興味を持ってもらえるのかが不安だ。


 私、ちゃんとプレゼンできたのかなぁ?


「よし、これもオマケで付けちゃおう! あらすじもここに載せるので、もし読んでみたいと思ってくれた人は、広告下にある作品のタイトルをクリック、またはタップしてもらえると新作を読めるようにしてあるからね! 本編で私に会いに来てくれたら嬉しいな! それじゃあ本編で会おう!


「最後まで後書きを読んでくださり、ありがとうですわ!」


「私たちの冒険は、第四部に突入するよ! 楽しみにしていてね!」


(この後書きは、時雨先生の提供でお送りしました)




オートスキル【人生ダイス】の導きにより、敷かれたレールの上を歩く人生を送っていた俺は、おっさん勇者ファミリーから追放されるが、異世界少女に技を教えてもらい、サイコロ無双で世界最強に至る


あらすじ


ウルク・アビスは幼い頃に両親を亡くし、伯父に引き取られた。


彼の持つユニークスキル【ダイスロール】は、全ての魔法、特技が使える代わりに、ダイスの出目に左右されるというギャンブルせいの高いものだったが、裏で伯父を支えて勇者となるように導く。


だが、それは彼の意志ではなく、オートスキル【人生ダイス】の指示だった。


そんなある日、彼は伯父の家族である勇者ファミリーと討伐依頼を受け、いつものように伯父たちをサポートしていたが、彼が攻撃に転じると魔法に失敗する。


それをきっかけにウルクは侮蔑され、勇者ファミリーから追放された。


その後、ウルクのサポートがない勇者ファミリーは、これまでどおりに戦っていたはずなのに、クリティカルが出ない、バフの効果が薄いなどの強化不足に陥る。


戦闘力が大幅にダウンした勇者ファミリーたちは、王様の依頼を失敗して王や国民たちからの信頼を失い、失墜していく。


逆にウルクは、異世界からの転生して来た少女からダブルヒットという技を教えてもらい、それによりクリティカルを連発して魔物から囚われのお姫様を救い、王様や国民たちから一目を置かれるようになった。


これはオートスキルに振り回されるウルクが、異世界少女や竜と妖精の混血児などの美少女たちと出会い、ちょっとしたハーレムを作りながら最後は幸せになる物語!


まだあなたの知らない無双が幕を開ける!


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