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呪いの小瓶


「リーファ様はニールとアーサー様を助けたいらしい」

「それはいいと思いますが、リーファ様の呪いはいいので? ニール様から聞いてキャシー嬢の邸に行きましたが、かなり怪しげな薬を作っていましたよ」

「呪いの解き方は聞いた。そのキャシーという女の所に呪いに使ったお茶が残っていればいいのだが……」

「それならありますよ。呪いを調べるためにと、少々頂いてきましたから。でも、今さら役に立つのですか?」

「ぬ、盗んだのですか?」

「拝借しただけですよ。キャシー嬢の邸の薬を作っていた部屋は全て排除しましたからもう作れませんが……」


まさか、逃げる時も合流してなかったからなにをしているのかと思えば、ロウさん……本当に何者ですかね?


「こちらの瓶ですが……」


ロウさんは腰のバッグから、小瓶を三つだした。

一つは可愛いピンクで、もう二つは茶葉が中にある。


「なんで色が違うんだ?」

「さぁ? 置いてあった小瓶はこれだけでした」

「沢山作れる能力はないということか?」


旦那様たちの会話の中、小瓶を見ながら、あのお茶会を思い出していた。

お茶は、香りは良く色は普通の透き通るようなきれいな茶色だった。

こんなピンク色のお茶ではなかった。


「旦那様、多分こちらの茶色の瓶です。どちらかはわかりませんが……あの日のお茶はピンク色ではありませんでした」


ピンク色の小瓶も気になるが、この呪いのお茶をどうするのか。

調べて呪いの解毒薬でも作るのだろうか。


「どっちが、アーサー様が飲んだ対のものかわかるか?」

「そこまでは……どうする気ですか?」

「アーサー様と同じものを俺が飲めば、リーファと対の呪いを飲んだことになるはずだ。そうすれば、アーサー様に呪いを解いてもらうことはない」


胸が熱くなるようだった。

私の為に旦那様は呪いのお茶を飲む気なのだ。

アーサー様と同じものを飲んで、私と対のお茶を飲んだことにして、私と交わってくれるのだ。


「旦那様……でも、もし間違えて私と同じものなら、旦那様も日中に寝てしまうことに……そうなれば旦那様までアーサー様じゃないと解けなくなってしまうのでは? もっと調べてからのほうが……」

「やめろ。恐ろしい想像をしないでくれ」


アーサー様と旦那様が交わることは想像したくないらしく、冷や汗がでたように旦那様は小瓶を握りしめた。

でも、その可能性は捨てられない。そもそも、二つとも私が飲んだものと同じ眠ってしまう呪いのお茶の可能性だってあるのだ。


「どうしますか? ガイウス様」


ロウさんはそう聞くけど、旦那様は迷わず飲むことがわかっているように聞いた。

旦那様は、小瓶を見ながら一つ選び、もう一つをロウさんに渡した。


「リーファ。あの夜会の日はニールたちに呼ばれて城に行っていたんだ。でも、陛下は王妃を魔法で送ることをしないでくれ、と言ってきた。そのまま王妃といると……何日もいたが、諦めてヘルハウスに帰ることになった時に、ニールから夜会の招待状をもらってたまたま夜会に出席したんだ。ニールは俺への労いのためもあったのだろう。アーサー様にも、息抜きにでも行って来いと言って……俺にとって、あの日にリーファに会えたことは幸運だった。俺は運がいいらしい。だから、この呪いも間違えることはない」


私にとっても旦那様と会えたこと幸運だった。

でも、同じ日にアーサー様に出会ってしまった。

そして、こんなことになってしまったのだ。

それでも、旦那様を信じたかった。旦那様なら間違えないと……。



旦那様は小瓶を開けて、迷わずに一気に飲み干した。


それを、私とロウさんは静かに見ていた。



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