スマホ禁止令
その日、その瞬間、地球上の全人類の頭の中でチャイムが鳴り響きました。
ピン ポン パン ポン♪
「地球の皆さん、こんにちは。今、頭の中に直接話しかけています。突然のことで申し訳ないのですが、これからあなた達はスマホに一秒触れるたびに、寿命が一年縮まります。冗談ではありませんよ。もう一度だけ言います……」
おそらくテレパシーのようなもので正体不明の存在から唐突に伝えられた宣言。信じがたい内容ではありましたが、実際に全世界の人間が一人残らず同時に、それぞれの言語でメッセージを受け取っていることから、簡単に否定できないのも確かでした。
ただ、忠告に素直に従うには、あまりにも人類は、その小さな電子機器に生活の全てを依存しすぎていました。
謎の警告に怯えながらも「仕事をしないわけにはいかない」「とりあえず家族の安否を確認したい」「まずはニュースを確認しよう」「ライバルが減った今ならアプリのランキング上位を狙える」「呪いが怖くて携帯ショップ店員が務まるか!」……それぞれ思い思いの理由でスマホに触り、多くの人々が息絶えました。
そして、たった一週間で、いとも容易く、地球の人口は半分にまで減ってしまったのです。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ということで、正解は『半数が我慢できずスマホを触ってしまう』でした~。見事、答えを当てたギナヤロクさんが3ポイント獲得して、優勝となりました! おめでとうございます!!」
「まあ~地球人という生き物は本当に変わっているんですねえ。わたくし、冗談半分でこのフリップに殴り書きしたんですけれども、本当に正解して自分が一番驚いています。どうもありがとうございます」
優勝賞品であるトロフィーと宇宙旅行券を受け取りながら、早口でまくしたてるギナヤロク。最近、コンプライアンスが厳しくなっている異星人のテレビ番組には、小さな文字でテロップが表示されていたそうです。
「この惑星は後でスタッフがきちんと侵略しました」