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#90 上位魔人への調査依頼

僕達は戦後処理をしているとホゥからチェリスの事を聞く。


「やっぱりバレてたかー」


「どうしてバレたのかなー?」


「ん? たぶん予想だと思うよ。僕らが大人しくし過ぎているから何か一発逆転を狙っていると思ったんじゃないかな? そしてこの戦力差を一発逆転させる方法は暗殺か奴隷達の解放しかない。ボグと戦って上位魔人の強さを知っている僕達が暗殺を狙うとは考えられないからね」


「なるほどー。でも、これでカナタ君の心配事は減ったねー」


それは本当に良かった事だ。その代わりに宣戦布告されたし、向こうもこちらが奴隷の解放を進めているという確信を得たからにはこちらの動きに合わせて何時でも戦える準備を整えるだろう。そして他にも気になる報告がたくさん来る。


「冒険者の人間が巨大な赤ちゃんのモンスターに変貌した?」


「おう! 何か飲んだら、魔毒が身体から噴き出してな。椅子に座っている奴が実験とか何とか言ってたぜ。アニキ」


チョコネからも報告を受けて、予想する。


「話を聞いた感じだと人間を魔人にしようとした感じかな?」


「え? 魔人って元人間ということですか?」


「それは分からないけど、普段の見た目が人間だからなくもない気がしている。それよりも気になるのは実験の方だよ。何を狙っているやら」


「何をするかは知らねーが助けると言っちまったからな。あいつの事は俺に任せてくれ。アニキ」


全員がガロロの言葉で静かになる。


「な、なんだよ……」


「いや、何でもないよ。ガロロがそう言うならガロロに任せるね」


「おう!」


嬉しそうにしているガロロにチョコネに僕は耳打ちする。


「後でガロロに何があったのか教えてくれる?」


「はい」


「おい! 何アニキに話そうとしているんだよ!」


「私はカナタさんの副官でもありますから報告はちゃんとしないといけないんです」


チョコネもだいぶ板について来た。サクニャちゃんもチョコネちゃんの様子を見て、嬉しそうだ。次に僕が気になったのは上位魔人が魔王メイルに忠誠を誓っていないという所だ。この言い方だと別に忠誠を誓っている存在がいるように聞こえる。


『黎明、前に教えてくれたボグとの戦闘でボグが死ぬ時に魔王様って言ってたって教えてくれたよね?』


『はい。確かにそう言って死にました』


『もしこの魔王様がメイルの事じゃないとしたら、ボグにも忠誠を誓っている別の魔王がいるってことになるよね?』


『そうなりますね』


魔王は沢山いると聞いている。だからチェリスとボグが忠誠を誓っている魔王が同じである可能性と別々の可能性がある。ボグからすると本気でメイルに忠誠を誓っていたのかも知れないしな。


ただこれを聞いた僕にはどうしても僕達がこの世界に呼ばれる原因となった魔王の存在が過ってしまった。僕達が呼ばれてからもう二年になる。それなのに僕達が呼ばれる原因となった魔王の話は全然聞かない。そして僕は魔人に一番詳しそうなエクリスさんに今回の戦闘で得た情報を伝える。


『人間が魔人になるという話は聞いたことがありませんね。定説では魔人は通常の悪魔召喚より多くの生贄を捧げる事で召喚が可能だとされています』


『それには適正などあるのでしょうか?』


『無いはずですね。基本的に悪魔召喚は生贄の数が重要です。魔人がそんなことを言ってたんですか?』


『仲間からはそう聞いています』


チョコネから聞いた話を全て伝えるとエクリスさんは仮説を話してくれた。


『話の流れからすると謎の薬に適性が無かったという事になりますね。その薬に魔毒と他の何かが入っていたことは間違いでしょう。これは私の予想ですが魔人達は人間からディザスターモンスターを作ろうとしたのではないかと思います』


確かにガロロ達が戦った敵は姿こそ赤ん坊だったが力からするとディザスターモンスターと呼んでいい存在だ。これが事実ならとんでもない話だな。人間をモンスター化する薬を使って、何を考えているのか想像したくない。


次に魔人と魔王の関係について話す。


『私としてもその話は初耳で驚いています。普通なら悪魔召喚された悪魔は召喚主に忠誠を使い、配下に入るものですから』


『でも上位魔人は違うそうです』


『これは確かに気になる情報ですね……メロディアは忙しそうですから私の方で調べさせて貰います』


『一人では大変では無いですか? 僕の方から援軍を送りますよ』


というわけで本好きの癒夢ちゃんと魔法の本を読みまくったと教えてくれた美友ちゃんに連絡を入れた。


『……わかった。上位魔人について、調べればいいんだね?』


『うん。それが僕達の召喚に関わっていそうな気がするんだ』


『つまり星空君は上位魔人達が忠誠を誓っている魔王が私達が召喚される原因となった魔王の可能性が高いって言いたいわけだね』


『ただの勘だけどね』


『……一応魔王については色々調べていたんだけど、カナタ君が言う魔王に当てはまるような魔王は一人しかいないと思う。ただその魔王はとっくの昔に死んでいるはずだけど』


癒夢ちゃんが言っているのは初代勇者が倒した魔王の事だと理解する。確かに話の流れはこれで通るけど、これはこれで大問題が発生する。


『もし最初の魔王が生きているならどうして倒したことになっているんだ?』


『……そこは私も気になっている。物語だけじゃなくて正式な国の歴史書でもこの魔王は初代勇者に倒されているから生きているとはちょっと考えられない』


『それに生きているならとっくに復活していても可笑しくないよ』


『つまり生きていると仮定するなら何処かに封印されている可能性が高くなるのか?』


『……もし生きているとするならその可能性が一番高いと思う。でもそうなると封印の事が全く無いのが不自然になるね』


結果、僕達はこの世界の歴史も詳しく調べる事にした。一度過った不安は解消しないといけない。これで僕達の仮説が不発するならそれでいい事だし、もし証明されてしまうなら対策を講じられるからだ。


それから僕達は戦後処理を済ませつつ、奴隷の解放を進めて、同時に魔王メイルとの決戦に向けての準備もして、遂に秋。奴隷可能の準備がほぼ完了し、問題だった人質の解放に動く日を迎えた。

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