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異世界と無能

「こちらに座ってくれたまえ」


俺たちを生きていると断定した男はそう声をかける。


「まずは色々説明する前にお互いに自己紹介が必要だな。儂はシイ国の国王、シイ7世である。儂ら王は戴冠の時にそれまでの名を捨て国の名前に世代を付けるのが通例なんだ。家来がここにいないのは今回の儀式、儂ともう一人しか知らぬからだな。許せ。」


自称王の男が自己紹介する


「シイ国?聞いたことないな・・・。」


「まぁ、それらの説明はおぬし等が自己紹介した後に必ずする。まずはお主、名と歳を聞かせてくれぬか?」


シイ7世は美形の方の顔を見る。


「・・・僕は中村ひかり、18歳です。」


ひかるは不安そうな表情で答える。


「ふむ・・・。ヒカリ殿だな。そしてそちらは・・・。」


シイ7世は俺の方を向いて尋ねる。


「・・・俺は山下義隆ヨシタカ、16歳。」


「なるほど。ヒカリ殿、ヨシタカ殿。お主等は日本と言う国の者、間違いないな?」


シイ7世の言葉に俺らは頷く。


「よく聞いて欲しい。ここはお主等の知っている日本でも地球と言う惑星でもない。儂の先祖シイ1世によるとお主等からすれば異世界と呼べる世界らしい。」


ん?急に胡散臭くなってきたぞ。


「ひかりさん・・・。」


俺はひかりが年上だったので敬語で相談する。



「どうしたの?」


「怪しくないですか?」


「うん、僕もそう思う。拉致されて急に異世界と言われてもねぇ・・・。」


そしてひかりはシイ7世に向く。


「ここが異世界と証明できる物はございますか?」


「あるぞ、この世界は魔法がある。シイ1世曰くそっちの世界ではなかったらしいな。」


シイ7世は人差し指を目の前に出して「灯れ」と呟く。


すると指の先に火がともった。


それを見て俺もひかりも目を丸くする。


その様子を見てシイ7世は満足そうに頷き


「これが魔法だ。シイ1世が作ったとされる」


「あの・・・そのシイ1世と言うのは・・・。」


ひかりは何度も出てきた名前、シイ1世について問う


「シイ1世はこの国の建国者であり、魔法の基礎を確立された方とされている。その子孫が儂ら王族だ。この世界では26の国に分かれておる。すべての国が仲良く出来ればいいのだが、場所によっは作物が育たなかったり、海産物が取れなかったりする。最初は貿易で上手くまとめられていたが需要のある特産品のある国は儲け、需要が無い国は輸入費ばかりかさみと貧富の差が出てきた。次第に貧しい国は輸入する金銭がなくなり暴力に頼り略奪や領地拡大を図ったのだ。」


シイ1世はもう一度「灯れ」と唱えて指先に火を灯した。


「シイ国は特産品・・・と言うものはない。だが建国者シイ1世が魔法を確立したこの国は土地自体に含まれる魔力も多くそのせいか生まれる者の保有魔力も普通の者より多いのだ。シイ1世が世界に魔法を広めたおかげで世界中で今、儂がやっているような魔法位ならば世界中の一般人でも使える。だが威力が高い魔法は呪文も長くなり消費魔力も多くなる。しかしこの国ならば少しならば呪文も短く出来るし消費魔力も他の国よりも少なくて済むのだ。」


これは・・・とシイ7世が1冊の本を取り出す。


「シイ1世が残した日記だ。シイ1世も実はお主等と同じようにここに転移した者でな。何かと寂しい事もあったらしく日記に色々記していた。」


ペラペラと日記を捲る7世。


「1世はこの国の魔力の関係を『他の国ではただの自転車だが、この国では電動自転車になるように色々楽になるような物だ。ただ電動自転車も漕がなくてはならないように完全に呪文を無くす事はできないし、充電しなければ鉄の塊と化し普通の自転車よりキツいように魔力切れを起こしてしまうとその反動は他の国よりも大きい様だ』と記されている。自転車と言うものがこの世界には無いので意味は全て理解はしていないが、1世の理論通り呪文を完全に無くしたりは出来ないし魔力切れが他国より反動が多く他国が気怠さを感じ魔法がしばらく使えないだけなのが、この国では気絶や最悪命を落とすこともある。」


そういい「ここまで良いか?」と7世は日記を閉じてこちらを見る。


俺たちは頷き、それに満足した7世は立ち上がる。


「ついてきてくれ。見せたいものがある。」


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