表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界防衛白書  作者: Luciferius
第1章 海風間島探索
2/4

陸軍基地の少年

北方向へ前進してから数分後、我々は切り開かれた道と木で作られた看板を発見した。その看板は蔦で覆われ文字が掠れていたが、辛うじて読むことが出来る。

看板には異世界の言語ではなく日本語で「如月村」と書かれていた。日本語で書かれているなら恐らくこの村に行けば言葉が通じる人が住んでいるかもしれない。俺はそう思いながら、そのまま分隊を引き連れて村の方へと進んだ。

人工的に切り開かれた道を真っ直ぐ進み、まず1件目の建物が現れた。しかしその建物には人が住んでいる気配はしなかった。2階建ての木造建築だが所々蔦に覆われ、窓ガラスはほぼ割れてしまっている。割れた窓ガラスから中を覗くと、植物に侵食され土や砂埃で煤けた湯船が見えた。


「1件目がこれだとこの先誰も住んでいないかもしれないな。」


俺は隣で一緒に見ていた赤城にそう言った。


「廃村ですかね。」


「うーん・・・もう少し探索してみよう。」


1件目が廃屋なだけであって他はもしかしたら人が住んでいるかもしれない。そう考えながら村の奥へと歩を進めた。


そしてしばらく歩かないうちに2件目に辿り着いた。どうやらこの建物は駐在所のようだ。

コンクリート造りの頑丈そうな建物だが入口の扉が少し錆び、下の部分には蔦が絡み付いていた。ここも人が住んでいないようだ。


「宮本3尉、中に地図があるみたいですよ。」


赤城はそう言いながら、駐在所の中を指差した。他の隊員も駐在所の中に注目した。

その方向にはピンボードに画鋲で貼り付けられた地図があった。


「あれ欲しいな。」


「とりあえず写真で撮って、帰ってから地図を描き写しましょう。」


「そうするか。」


赤城は駐在所の扉を開け、中に入りカメラを取り出した。そしてフラッシュと共に4回に分けて地図を撮影し、上手く撮れているか見た後外に出てきた。


「どうやらここら辺一帯の地図みたいですね。」


赤城は俺に撮った写真を見せてきた。

写真にはこの村の公共施設や村近辺の地名が書かれていた。


「ん?ちょっと待て。」


俺は3枚目の写真に書かれている地名に目が留まった。


「海風間陸軍基地・・・?」


「陸軍基地なんてあるんですか!?」


背後で写真を覗き見ていた島村3曹が驚きの声をあげる。


「なんだお前見ていたのか。」


「いやぁ~ちょっと気になりまして・・・」


「そうか。まあ、時間的に行けそうだから行ってみるとしよう。もしかしたら誰か住んでいるかもしれないしな。」


俺はそう言いながら赤城にカメラを返した。


「ですよね!やっぱり行かないわけにはいきませんよね!あぁーこの世界の陸軍基地ってどんなのだろう・・・」


島村3曹が目を輝かせながら期待の言葉を口にし、隊員の列に入っていくのを確認した後、分隊を前へ進ませた。



結局、如月村に住んでいる人は誰一人おらずその日は午前中の段階で陸軍基地へ向かうことになった。

如月村から陸軍基地への道のりは差ほど遠くなく、30分も経たずに到着してしまった。


「ここが陸軍基地か。」


陸軍基地の前に到着した分隊は厳重に施錠された門の前で立ち止まった。島村3曹は相変わらず目を輝かせながら陸軍基地の中の様子を見ようと門にへばりついて中を覗き込んでいた。

俺はそんな彼を尻目に双眼鏡で陸軍基地の敷地内を見た。建物自体はかなり新しく、駐車場に停まっている装甲車は手入れがされているようで泥汚れが全く付いてなかった。


「門閉まってますね。乗り越えますか?」


赤城が門に手を掛けながら聞いてきた。


「人が住んでそうだからなぁ・・・勝手に入って何かあったら嫌だから今回は止めておこう。とりあえず陸軍基地の周辺を調査して帰るぞ。」


そう言いつつ俺は外柵沿いを辿って分隊の先頭を歩いた。

周囲は生い茂る草木以外に特に何も見当たらない。基地の中を注視しつつ、10分程かけて外柵沿いを半周するかしないかの場所まで辿り着いたが人っ子一人見当たらなかった。ただ、一つだけ人が住んでいると確信できる物があった。それは隊舎らしき建物の横にある物干し竿に男物のパンツが1枚と黒いタンクトップが干してあったことだ。

俺達はそれを見た瞬間、希望を抱いた。


「やっぱり人住んでるみたいですね。」


「うーん・・・ここは・・・」


俺は少し考えた後、思い切り胸一杯に息を吸い込み


「おーい!!!!!誰か居るかーッ!!!!!」


と腹の底から叫んでみた。

それを見た隊員達が隊舎に向かって口々に叫ぶ。


「誰か居ませんかー!!!」


「居たら返事して下さーい!!!」


「おーい!!」


すると隊舎の2階部分の窓に人影が現れ、勢い良く窓が開かれた。


「うるせーっ!!昼寝中に起こすな!!」


彼は怒りを込めた表情で俺達を睨みながら怒鳴った。

年齢は15か16ぐらいだろうか。遠くからでも顔立ちが整っているのが分かるくらいの美少年だ。しかも日本語を喋っている。


「こんなところに日本人?」


「まさか・・・ここは異世界の日本か?」


隊員が口々に騒ぎ始める。

俺は構わず少年と会話を交わそうとした。


「ちょっと話聞きたいんだけど、中に入れてくれないかなー!!」


声が届く範囲で声量を抑え、彼にお願いした。


「正門まで回って来い!!」


少年は一言だけそう言うと窓を閉め、立ち去ってしまった。


「これは・・・いいって事なのかな?」


「ま、まあとりあえず正門まで行きましょうか。」


俺達は正門まで戻るため隊列を組み直し、そして前進した。

先程の少年は一人でここに住んでいるのだろうか。だとしたら駐車場に何台も停まっている装甲車は誰が手入れしているのだろうか。どの装甲車も新品同様、赤錆1つ付いていない状態だった。一人では流石にここまで整備は出来ないはずだ。恐らく中隊規模で他に誰か住んでいるはず。そう考えを巡らせていると正門が見えてきた。正門の中央付近には先程の少年が待っている。初対面の時には全体像が見えなかったが彼は迷彩のズボンに黒いタンクトップ、そして黒い軍用ブーツを履いていた。


「早く来いよー!」


少年は俺達の姿を見るや否や手を振り、大声で俺達を呼んだ。

正門の前まで来ると少年は門の鍵を開けた。

ふと、少年の左腕を見てみると赤い鳥のような生物を象った刺青が彫られていた。これは不死鳥だろうか。赤い色が彼の少し日焼けした肌にぴったり似合っていた。

少年は重そうな門を人が通れる位まで押して開けてくれた。

俺は門の中に入る直前に立ち止まり少年に聞いた。


「ねぇ、君。そんなに容易く俺達を入れて大丈夫なの?」


「ああ、構わないさ。ただし、敵意があると判断した場合は容赦はしない。」


「つまりそれは・・・」


「貴様らの命は無いと思え。」


少年は声を低くしてそう言うと前方から1歩退き、道を開けた。

そして全員入ったのを確認した後、また重そうな門をゆっくりと押して閉めた。正門の真ん中には片手サイズの南京錠が少年の手で掛けられた。


「んじゃ行くか。」


少年は近くに建っている警衛所の様な建物ではなく、正面に建っている本部庁舎の様な建物を差した。

その建物は7階まであり、日本の近代的なビルの様なデザインで正面玄関には1台のマウンテンバイクが停まっていた。


「あんなところに自転車が・・・」


赤城が列の後ろでそう呟くと、聞こえてたのか少年が笑いながらそれに答えた。


「あれは俺の愛車だ。」


「あそこに置いて怒られないのか?」


俺は少年に尋ねた。すると少年はさらっと返してきた。


「怒られないさ。ここには俺一人しか住んでないもん。」


「「「一人!?」」」


隊員達が口を合わせて驚きの声を上げる。

こんなところに一人で住んでいるなんて...

彼は一体何者なんだ?


「この島には俺一人しかいない。ここに来る途中にある如月村には行ったか?あの村はこの基地が閉鎖されると同時に住民が他の国に移動したんだ。」


「この基地はいつ閉鎖したんだ?」


「あれは今から36万・・・いや、100年前だったかな?多分それぐらいだったと思う。」


「100年前だって!?それなのにこの基地は全然老朽化が進んでないが。」


「それは魔法で老朽化しないようにしてあるだけだ。まあ、この世界は魔法以外にも色々あるからね。じっくりこの世界を楽しむと良いよ。」


青龍はそう言いながら正面玄関の扉を開ける。

ガラス張りの扉は駐屯地にあるのとそっくりだ。


「とりあえず応接室に案内するから付いて来て。」


隊員が全員建物に入ったのを確認した彼は扉を閉めつつ言った。

隊員達は興味津々な表情で彼に付いていく。

正面玄関ホールの左右には奥まで真っ直ぐ続く廊下が広がり、等間隔にドアが備え付けられていた。

彼はその廊下を左に進み、一番奥の部屋まで案内してくれた。

部屋に入ると長めのソファーがテーブルを挟んで2つ設置されていた。流石に全員は座れそうにない。


「どうぞ、座って。」


彼はソファーを指差しながらそう言った。


「と、とりあえず俺達は立ってるので宮本3尉がお座り下さい。」


島村が遠慮した様子で俺に言う。


「うーん・・・じゃ、お言葉に甘えて。」


俺は島村に小銃を預けてソファーの真ん中に座り、続いて彼が対面するように目の前に座った。


「お茶も出さずにすまんな。丁度切らしてるもんで。」


「いや、お構い無く。」


「で、何から聞きたい?」


彼は微笑みながら言った。


「先ずは自己紹介からしようか。」


「あ、そうだ忘れてた!俺は綺羅青龍って言うんだ。よろしくな!」


綺羅青龍・・・珍しい名前だ。


「俺は宮本陽一3等陸尉だ。俺達は地球の日本という国から来た。よろしくな。」


そう言い、俺は握手のつもりで右手を差し出した。


「なんだ異世界から来たのか。まあ、よろしく。」


彼は躊躇せずに右手を出し、握手を返してきた。


「で、後ろの方達は・・・名札付いてるからいいか。」


そう言うと彼はソファから立ち上がった。


「資料取ってくるからちょっと待ってて。」


彼が部屋から出ていくと、隊員達がざわつき始めた。


「あの子超不思議君じゃん。」


「異世界人だもの仕方無いじゃないか。」


「あの子結構タイプだわー」


「止めておけ。手を出したら殺されるかもしれんぞ。」


「お前らちょっと黙れ!」


俺は騒いでいる部下達に一喝した。

すると一瞬で静まり、俺はその後深い溜め息を吐いた。


しばらく待っていると廊下から足音が近付いてきた。その足音がドアの前で止まるとノックをする音が聞こえた。

空かさずドアの側に立っていた赤城がドアを開ける。

そこには分厚い本を顔が見えなくなるまで重ねた青龍が立っていた。

彼はよろけながら部屋に入り、机の上にドサッと本を置いて元のソファに座った。


「いやー、重かった。」


彼はそう言いながら額に滲んだ汗を手の甲で拭い、積み重なった本を1冊ずつ机の上に並べていった。


「えーっと、これが惑星の歴史で、こっちが現代社会の成り立ち、法律書、これが種族図鑑で・・・」


異世界の言語で書かれたタイトルの本が1冊ずつ綺麗に並べられていく。


「これが薬草図鑑、これが生物図鑑、魔導書、そしてこれがエロ本。」


「エロ本・・・」


彼が最後に置いたエロ本の表紙には猫耳が生えた巨乳美女があられもない姿で掲載されていた。


「あらららら・・・これはこれは・・・」


俺は真っ先にそのエロ本を手に取った。


「貸してやらなくもないが・・・その際どいのを抱えて帰るのか?」


「リュックの空き!」


俺は後ろに立っている隊員達に振り向き、言い放った。


「「「なし!」」」


やはりそう上手くはいかない・・・

全員が一斉に「なし」と答えた。


「残念だったな。これはお預けだ。」


青龍は俺の手からエロ本を取り上げ、自分の横に置いた。


「そんなぁ~」


俺はガックリと肩を落とし、心が悲しみに包まれるのを感じた。


「そんな残念がるなよ。これ100年前のだし。」


「100年前のでも見たい!見たい!見たい!」


俺は足をばたつかせて小さい子供の様に駄々を捏ねた。


「仕方無いなぁ・・・ちょっとだけだぞ?」


そう言いながら彼はエロ本のページを捲り、俺に開いて見せた。


「音読は必要か?」


「あ、いや、結構です。」


彼が開いたページには筋肉ムキムキな男性が2ページにも渡り精力増強剤と大人の玩具の宣伝をしていた。


「はい、おしまーい!」


「「「えええええっ!?」」」


「待って待って!さっき開いたページ、全然エロくなかったよ!?精力増強剤と大人の玩具の広告ページだったよ!?」


「一瞬肌色が見えたからエロいページかなーって思って見せたんだけど?」


彼はいかにも面倒臭そうな顔で答えた。


「確かに肌色があったけどさ!でも男でした!」


「いいじゃん!肌色見れたんだし!」


「エロ本ごときで揉めないで下さい!宮本3尉!俺がいるでしょ!」


赤城が空かさず俺達の会話に割って入ってきた。


「確かに、お前は女装させると可愛い。だが、男だ!」


「男でもっ!出来ることはあります!」


赤城は凄い目力で俺に訴える。


「赤城。俺はな・・・丸みと柔らかさが欲しいんだ。お前の様なゴツゴツ筋肉ムキムキ野郎なんて抱きたくないんだ。分かるか?」


「・・・はい。」


赤城はしょんぼりした顔で他の隊員の後ろに下がった。


「はぁ・・・すまんな。で、話の続きだが・・・」


「エロ本?」


「じゃなくてだな。その話もしたいが。じゃなくて、この世界の話を聞きたい。」


「分かったよ。じゃ、まずは現代社会の成り立ちからだな。」


そう言いながら彼は現代社会の成り立ちについての本を手に取り、3ページ程開いて見せた。

そこには迷彩服を纏い重装備をした軍人達が戦車と共に歩いている写真が載っていた。


「まず、この世界について説明しよう。この世界はメインワールドと呼ばれる世界でパラレルワールドの元になる世界だ。で、そのメインワールドの治安維持とパラレルワールドの監視を行っているのが宇宙連合軍。」


彼はその写真を指差しながら説明を始めた。


「この宇宙連合軍は世界最強と謳われている。俺もこの宇宙連合軍に所属してるから、機密情報以外なら何でも教えられるよ。後、この世界の情報とか。ちなみにこの世界の言語はゲンティア語が主流だけど、俺の使ってる言語は大和語。だから君達と話が通じるわけだ。」


彼はそう言いながらページを数枚捲った。


「大和って国があるの?」


「あるよ。大和帝国っていう国が。和風な造りの建物が多いけど最近西洋化が始まったんだ。」


「日本みたいだな・・・」


「日本・・・ね。」


彼は急に視線を下げ哀しげな表情になった。


「あ、ごめんごめん。話の続きだけど、宇宙連合軍はシェイドって人が取り纏めてて、その人は世界の創造を司ってる。所謂創造神ってとこかな。」


彼が先程捲ったページにはまだ10代位の少女が軍服を着てどこかの国の国王らしき人と会談している写真が掲載されていた。彼女は神ではなく普通の人間のように見える。


「本当にこの子が軍を率いているのか?」


「まあ見た目は俺と同じぐらいだし、そう思われても仕方無いか。彼女はこう見えて数億年も生きてる。いや、数億年じゃ足りない。もっとだ。」


俺はその言葉に驚きながらシェイドの写真を眼に焼き付けた。可愛い子だ。20代くらいの姿になったら美人になりそうだ。


「何にやけてんの?次いくよ次。」


しまった。つい、顔に出てしまった。俺はそう言われ咄嗟に真顔に戻した。

そんな俺を彼は冷たい目で見ながらページを捲った。


捲られたページには紫と黒を基調とし、真ん中に金色のドラゴンの紋章が入った国旗が左端に載っていた。そしてその下には魔王らしき人が玉座に座っている写真があった。


「この国は・・・?」


「闇の国。彼は6代目魔王アルシエル・ニア・レーヴァテイン。説明文があるんだが、事実と若干異なることが書いてあるから俺の口から説明させてもらう。」


彼はそう言い、本を閉じた。


「彼は魔王だが悪い奴ではない。俺を救ってくれたし、世話もしてくれた。今も彼に世話になっていると言っても過言ではない。恐らくこれから彼と接触する機会があるかもしれない。その時は色々聞いてみるといい。俺よりこの世界をよく知っているしな。」


彼が話し終えたところで俺は空かさず質問をした。


「アルシエルにはいつ会える?」


「うーん...アルシエルは気まぐれで神出鬼没だからいつ会えるかは分からないな。」


彼はそう答えるとソファーから立ち上がった。


「とりあえず話はここまで。」


「そうか。色々聞かせてくれてありがとう。」


俺はソファーから立ち上がり、彼と握手を交わした。


「あ、そうだ。あんたら異世界から来たんだろ?あっちとこっちの世界の出入口ってどこにあるんだ?」


「如月村の近くだ。」


「その出入口、見に行ってもいい?」


「それは構わないが・・・」


俺の返事を聞いた青龍は嬉しそうに笑った。


「よし、そうとなれば日が暮れる前に見に行こうぜ!」


青龍は机に並べた本をある程度まとめ、机の端に置いた後、部屋から出ようとドアの前で立ち止まった。


「車出すから玄関前で待機してて。」


「き、君、免許持ってるの!?」


赤城は上擦った声で青龍に聞いた。


「持ってないけど、アルシエルに教えてもらったから大丈夫だ。」


「そ、それはちょっと心配。」


島村は顔をしかめて青龍に言った。


「じゃあ運転する?」


彼はそう言いつつ島村に鍵を差し出した。


「俺は助手席に乗るから。」


島村が鍵を受け取ると青龍は玄関前の駐車場に1台だけ停まっているOD色のトラックへと歩き出した。

隊員達もそれに続いて付いていく。

自衛隊で使用している3t半と呼ばれる車両とほぼ同じ形状をしているがこちらのトラックの塗装の方は緑が強い。座る場所はやはり木製か・・・


荷台に全員乗り込むと同時にエンジンがかかり車両が前進し始めた。

しばらく進み、停止すると正門を開ける音が聞こえた。誰かが正門を開けたのだろう。

再び車両が動き出し、正門を通り過ぎていく。そして車両が通り過ぎると勝手に閉まっていった。


正面に視線を戻すと赤城がもう目を閉じて眠っている。

拠点に着いたらまずは隊長へ報告しなければ・・・

俺はポケットに入っていたスマホを取り出して電波の状況を見た。

やはり圏外か・・・仕方が無い。

課金ゲーが出来ないのは惜しいが。帰ったら浦島太郎状態だったなんてことは教育隊時代にも経験した。今回はどのような浦島太郎状態になるだろうか楽しみだ。

俺はそんなことを考えながら、荷台の窓から見えるビニールで霞んだ景色を眺めていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ