魔石の力
すみませんタグにチートをつけます。
チートにしない、チートにしないよう心掛けてましたが、
やってしまいました……。
俺達はやっとのことで地上に戻ってきた。
「お前ら大丈夫か!?」
そう言いながら、先生が走ってやって来る。
「大丈夫です先生。二人とも無事です」
俺たちの代わりに北条が答えてくれた。
「で、何があったんだ?他の生徒から悲鳴が聞こえたと聞いたぞ?」
先生は俺たちの方を向いて訪ねてきた。
「モンスターとの戦闘時、ホーンラビットの角が盾に刺さりビックリして叫んでしまいました。そしたら叫んだことで近くにいたモンスターが集まってきて……」
俺が答える。
「まぁ、今日は初めてのダンジョンだった。しかも君たち二人は非戦闘スキルだからな……仕方がないと言えば仕方がないんだが、もしそれで自分や仲間が死んだらどうするつもりなんだ?」
「すみません……」
自分でも質問の返事になっていないことぐらいわかっているのだが、今はそれしか言えることができなっかた。
「まぁいい、無事でよかった。次はこんなことがないようにな」
「はい……」
その日、俺は家に帰ると泥のように眠った……。
朝、俺はいつもよりかなり早く起きた。
外はまだ朝焼けで、赤く、紅く、そして……暗かった……。
と、暗い感じはこのぐらいにして……実際、昨日の事はもうどうでもいい……。
俺は寝たら大抵のことは忘れてしもう人だからな!
「おはよう、美聖!」
「お兄ちゃん!?昨日の事は……まぁ、お兄ちゃんだもんね……。寝たから大丈夫だね」
美聖は呆れ笑いを浮かべた。
「お兄ちゃん、今日朝ご飯食べる?」
「朝ごはん……お前いっつも食べていたのか?」
「うん。お兄ちゃんはいつも寝坊してたからわからなかったと思うけど……」
「あぁぁ……食べようかな」
俺と美聖はご飯を食べたあと、学校に行った。
「お兄ちゃん」
「なんだ美聖」
なんかこのやり取り彼氏彼女のようだなぁ……。
「私昨日ダンジョンの一層試験受かったから、今日から一緒に行こうね」
「あぁ……」
ん?
「え、お、おま、え?」
こいつなんて言った?
「どうしたの?お兄ちゃん」
「お前今、なんて……」
「どうしたの?お兄ちゃん……?」
「そうじゃなくてその前!」
「ダンジョンの一層試験受かったこと?」
不思議な顔をするだけで何もなかったかのよう振る舞う妹の姿に俺はどうすればいいのか、わからなかった……。
「今日も怪我なく頑張りましょう!」
今日のダンジョン学が集まった。ペアと組んだ後、次々にダンジョンの中に入って行った
「俺たちも行こうか……」
「そう、ですね……」
「よし、行こうかお兄ちゃん!」
「よし行くか……」
「ちょぉぉぉおおおと、待とうか!?」
皆、俺の方を見る。
「なんでここに美聖と北条がいるんだ?」
「朝から言ったじゃん」
「昨日のこともあり、心配だからな……」
なるほど……北条の理由は納得できる。が、……
「お前は帰れ!」
俺は美聖を指差し、いつもは使わない少し強い口調で言った。
「なんでさ!」
「お前は若すぎる!それにダンジョンは危ないんだ!」
「非戦闘スキルのお兄ちゃんには言われたくない!」
「ちょ、お前は……、兄に言ってはならないことを言ったな?」
壮大な兄弟喧嘩が始ま……
「お前ら早く行け!」
「「「「はい!」」」」
らなかった……。
「もういいや、行こうぜ」
「うん…」
俺たちは仕方なく四人でダンジョンに入ることにした。
「皆、とくに影野くん、注意して下さい。ホーンラビットです」
北条が注意して来てから少しした時、ホーンラビットが俺たちの前に現れた……。
「うわぁ、何この数……」
ちーちゃんが呟く……。
それもそうだ。だって俺たちの前にいるホーンラビットは五体いたのだから。
「影野くんと玉原さんは逃げて下さい!」
ちーちゃんはすぐさま逃げる……
それに対して俺は逃げない。
昨日はビックリしたけど俺がモンスターを倒したことにはかわりない!
「スキル、創造!」
作る物は大きな魔石。
大きさは一センチ程度の魔石。
材料は生きたホーンラビット。
俺はスマホイメージを固めていく。
しかし……
「早くにげろ!」
北条が叫ぶ。
今は美聖と北条がホーンラビットを押さえているが、今にも抜かれそうだ。
その時、俺は昨日と同じ感覚に陥いった。
恐怖。そして体に不思議な力が流れ込んでくる感覚。
昨日は無意識でその力を使ったが、今回はちゃんとわかる。
この力の源……
それはリュックに入っている魔石だ。
「なるほどな……。」
俺はさっきと同じように集中する。
作る物は大きな魔石。
大きさは一センチ程度の魔石。
材料は生きたホーンラビット。
「ま、まずい!」
北条が逃してしまったホーンラビットの一匹が俺に突っ込んできた。
「お兄ちゃん避けてぇぇぇぇ!」
美聖が叫ぶ。
しかしその願いは叶わなかった……
彼らは思った。
彼が人類初の死亡者になってしまうと……。
しかしそれは大きく異なる事実となった。
「こ、これは……」
「凄い……」
「何?これ……」
北条が確信したような声で言った。
ちーちゃんが唸るように言った。
美聖が何が起きたのか、わからないような声で言った。
北条たちが戦っていたはずのホーンラビットや俺に向かってきたホーンラビット。すべてが白目を向き、胸の所から血を出して死んでいた。
そして俺の前には一センチ程度の魔石があった。
「お兄ちゃん!大丈夫?」
美聖が昨日のちーちゃんみたいなことを言ってくる。
「今日こそは話してもらいますよ、影野くん」
「昨日は本当にわからなかったが、今回のことで大分わかったよ……」
「教えてくれ。さっきのは一体何なんだ?」
「さっきのは俺のスキル、創造だよ」
「創造?Eランクスキルの?」
「あ、あぁぁ……多分……」
「まぁいい。今回のダンジョン探検はこの位にしとくか?」
「いや、まだやります。」
「大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ、行きましょう!」
強引に北条たちを連れていく。
その後の冒険はゴブリンとホーンラビットの虐殺だった。