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基礎ダン〜基礎から学ぶダンジョン学〜  作者: 一宮 カエデ
日常編
6/28

気になっていること

茶番続きです。

「お待たせしました」


「いや、別に待ってはないけど」


聖母かと思うぐらいの優しい笑みでこちらを見てくる清水(きよみず)さん。


昨日の告白のこと……それは『(明日買い物に)付き合ってください』と言うことだった。

放課後までの緊張はなんだったのか……。俺の少しの緊張を返してくれ……。


「それで、今日は何をするんだ?」


昨日の放課後事情を話してもらった後、俺は待ち合わせ場所しか聞いていなかったのでどこに行くかでも知りたい。


「洋服とか……かな」


なるほど……


「俺いらなくないですか!?」


家で『けい◯ん!』見たいんだよ!

もう心がふわふわしているよ……。


影野(かげの)くんに、決めて貰いたい、かな……」


なんでそこで赤くなるんだよ!


清水さんの頭はトマトの様に真っ赤だ。

多分俺も清水さんと同じ位顔が赤いだろう。顔が熱い……。


「でさ……」


不思議そうに俺に指を指す。


「後ろの二人は誰かな?」


「ふた、り?」


嫌な予感がする。後ろを向いてはいけない!そう直感が危険を知らせてきた。


「お兄ちゃんが心配だから付いてきました」


「面白そうな、心配なので付いてきました……」


クソッ、1人本心を隠しきれてない人がいるぞ!


後ろにはいつもの普段着の美聖(みせい)と制服姿のちーちゃんがいた。

というか……


「お前らがなぜ此処にいる……」


「さっき言った通り……」


「面白そうだから……」


だからなんで1人はオブラートに包まないかな?


「行こうか、影野くん」


あれ?清水さん、いつも通りの笑顔なのになんかちょっと怖いぞ?


「あ、はい」


俺はなぜか敬語で答えながら、清水さんの後をついて行った。

美聖たちも俺の背中をついてくる。

はたから見れば、アヒルの親子だろう……。


「最初はここだね」


そう言って清水さんが立ち寄ったのは洋服屋だった。


「じゃあ、さっさと決めてくれ」


「何言ってるの?影野くんも一緒に行くよ?」


マジですか……


「お兄ちゃん私のもお願いします!」


「私もお願い……」


なぜ俺なんだぁぁああ!そんなの女子同士でやっとけよ!

俺にはファッションセンスの欠片もないから!





この後しっかり強制的に選びました。


「俺、頑張ったよ……」


洋服選びは合計3時間にも渡る壮絶な戦いだった。

コミュ障ぼっちにしてはとても頑張った方だろう……。

そして俺には本来の仕事がある。それは……


「お、重い……」


そう。荷物持ちである。


いや、別にいいんだけどね……。俺は今日そのつもりで来てたし。


「お兄ちゃん、少し持とうか?」


「いや、大丈夫だよ。」


「じゃあ、次はここだね」


清水さんが立ち止まる。次は……


「下着じゃねぇか!」


そう。下着ゾーン。


「だめ、かな?」


「当たり前だ!」


そんな捨てられている猫のような顔で見てきても無駄だ。


「というかその前にご飯食べよう……」


ちーちゃんナイス。いいこと言った。


「そうだな。もうご飯食わないとな……」


「そうですね……すみません。それじゃあ……あそこなんてどうでしょう?」


清原さんが指をさす方向にあったのは高級料理店。

いや、超高級料理店。


「確かあそこって一食十万はかかるよ……」


ボソッと美聖がつぶやく。


「じゃあ、行きましょうか」


「ちょっと待て!」


なんで?今、美聖が言ったこと聞いていたよね?


「もしかして……」


「もしかしてですね……」


ちーちゃんも一緒に同意する。


「「超お嬢様じゃん!?」」


「どうしたんですか?影野くん。早く行こう!」


「俺、金持っていなくて……」


いや、実際そんなお金ないよ?


「いいよそんなの。お金なんて気にしなくて、ね?」


「いや、そういうわ……」


「ね……?」


クソォお、めっちゃ押してくる……。実際食べてみたい……、けど……


「ごめん、俺は美聖達と一緒にどっか安いファーストフード店にでも行ってくるよ」


「ううん、大丈夫だよ……」


清原さんはそういい、笑いながらも悲しそうだった。


「それじゃあ、行きましょう皆さん!もうお腹と背中がくっつきそうです!」


ちーちゃんが壊れてきた。コミュ障の人があまり話したことがない人がいる前で大声を出すなんて珍しい。

もう行ってあげよう。それに俺もさすがにお腹がすいた。


「清水さん、ごめんな」


「いいよ、気にすることじゃないよ。もともと私がわがまま言ったのが原因なんだし」


清川さんはすかっりいつも通りの笑顔に戻っていた。


最終的に俺たちは某ハンバーガーショップに落ち着いた。


俺たちは食べ終わり、次はなにをするか話し合った結果、ゲームセンターに行くことに決まった。


「お兄ちゃん、一緒に小太鼓の達人しよう!」


「あぁ、いいよ」


美聖と一緒に小太鼓の達人をした後は、ちーちゃんとカーゲームをやった。


「清水さんは何かしないのか?」


何もしないで立ち尽くしている清水さんに声をかける。


「ゲームセンターに来たことがなかったから、何をすればいいかわからなくて……」


「じゃあ一緒にゲームしようぜ」


「うん」


清水さんはとてもう今日一番の笑顔でうなずいていた。

そうこうしている内に夕方になってしまっていたので、家に帰ることにした。


「ありがとうね影野くん、今日はありがとう」


「楽しんでもらえて、俺もうれしいよ」


「じゃあね……」


「あ、あぁ、また学校で……」


清水さんは去っていく。


そういえば、ずっとわすれていることがあったんだった…


「待って、清水さん!」


清水さんは不思議そうにこちらを見る。


「どうしたの?」


「き、清水さんの名前を教えてくれ」


俺がそう質問すると、清水さんは今日一番の笑顔を更新して答えた。


海奈(うみな)、清水 海奈です」


なるほど清水さんっていうのか……。


「じゃあね、影野くん。またね」


「あ、うん……」


その夜、家に帰ってきた俺は、気になっていたことがわかりぐっすり眠れたのだった。


次回から真面目にモンスターと戦います。


※ちーちゃんが制服を着ていた理由ですが、コミュ障の人が外に出るのはほとんどなく、それぐらいなら制服でいいや、ファッションとかめんどくさいし…的なものです。

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