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基礎ダン〜基礎から学ぶダンジョン学〜  作者: 一宮 カエデ
フロアボス編
23/28

初めて覚えた罪悪感

こんちゃ。どぞ、読んでいってください。

「たのもう!」


「たのも……」


俺とちーちゃんは思いっきりドアを開ける。


「び、びっくりした……」


そう言って椅子から転げ落ちたのは誰もがイケメンだと言うだろう、北条の部屋だ。

北条はおれたちと同じ年なのだが既に海外で大学を卒業し、高校卒業過程のダンジョン学も全て終えた超エリートでもある。

だからこいつは学校では臨時教員扱いであり、部屋を与えられている。


「君たちが僕の部屋に来るなんて、初めてじゃないか?」


「そりゃ、できるだけ会いたくないからな」


「影野くん、僕が泣いていいなら話続けていいよ……」


「あ、すまん……」


素直に言いすぎた……。


「本題……」


ちーちゃんから怒られた……。

確かにこの話は関係ないな……。


「そもそも、女の子にそんなこと、言っちゃダメ……」


ちーちゃんがそう言った瞬間北条が顔を青くして、ちーちゃんを連れて部屋を出て行った。ちーちゃんもハッとしたような顔をしていた。

しばらくして二人とも戻って来たかと思うと、下手な芝居をしているかの様に元の位置に戻った。


「イヤダナ……ボクハレッキトシタお、オトコノコだよ?」


「そうだった、ネ。ごめんなサイ……」


確かに北条のイケメンは可愛い系の方だ。いわゆる男の娘という奴だ。間違えるなんてことあり得るのか?


気まずい空気が続く……。


「そうだ!本題、ここにきた本題って何かな?」


何かを濁す様に北条が話し始める。でも本当はここにきた理由なんだが……。


「あ、ごめんな。それは…………」


俺は北条に事の始まりを説明した。


「なるほどね……それは大変だね……」


「何かやめさせるいい案はないか?」


「それなら先生に言ってみるとか……?」


俺とちーちゃんは同時に軽蔑の目を北条に向ける。


「先生に話すとか……ないわ〜」


「ないわ〜……」


俺に続きちーちゃんも追い打ちをかける。


「え、えぇぇ……」


北条は少し、戸惑っている。


「先生に言ったってイジメはエスカレートしていくだけだし、変に悪目立ちするし……。逆にイジメを止めようとしている奴を恨むな……」


「私も……」


「じゃあ、どうするんだよ……」


「それを聞きにきたんだよ」


うわ〜、メッチャ納得してない顔だ……。


「納得できないけど……まぁ、あとは……ごめん、流石に思いつかないや……」


「そうか……イケメンのイケメンのお前でもダメか……」


ん?イケメン?


「ちーちゃん、女子ってイケメンに弱いよな?」


「うん……」


俺は自然と悪い顔になっているのが自分でもわかった。


「お前は僕に何をさせるつもりだ……?」


何かに気づいたのか、ほうじょうの笑顔が消える。


「お前、女子全員を惚れさせろ」


「そ、そんなの無理だろ!」


「じゃあ女装して男子供を落とせ」


「あんまりふざけると僕も怒るよ?だいたい僕に女装が似合うわけないだろ?」


「いや、俺は結構可愛いと思うぞ?」


俺がそういうと北条が怒って歴代最高と言えるほど顔を真っ赤にさせ、「ばか……」っと言ってきた。確かに今さっきのは言いすぎた……。反省しておこう。実行はしないが……。


「それよりどっちがいい?」


「僕は絶対にやらないぞ!」


「なるほどね。女装がやりたいと」


「誰がそんなこと言ったぁぁああ」


「じゃ、女子決定だな……」


「へ……?」


「行こっかちーちゃん」


「うん……」


「ちょ、ちょっと待って」


「今日中によろしくな。じゃあ、俺たちは他の人にも頼まないといけないから」


「だからまってって……」


ーーーーバタンーーーー


無慈悲に扉は閉められた。


後に残されたのは男性用の服を着た女の子が泣きながら、服を着なおしている姿だけだった。




「よし、それじゃあ、帰るか……」


「ちょっと待って……」


ちーちゃんが俺を止める。ちーちゃんが俺を止めるなんて珍しい。


「清水さん誘ってみよう……」


「でも今は修行中だったろ?」


今俺たちは寮に住んでいるが、清水さんはどこかに行って一人修行をしているらしい。だから最近はクラスで顔を合わせるだけになってしまっていた。だからか今話かけずらいんだよな……。


「でも、もうそろそろ行かないと危ないかも……」


ちーちゃんが物騒なことを言う。


「危ないって何が?」


「主にひーくんの命の安全……?」


「清水さんと俺が合うのと俺の命がどう関係しているのかな!?」


ちーちゃんがおかしくなっているが、日頃の恩もあるので一応清水さんにも頼んでみよう。としてももう帰っているかもしれないしな……。

と良いながらも清水さんはいたって簡単に見つかった。


「どうしたの?相談って……」


俺達は清水さんに北条に説明したのと同じ言葉で説明した。


「なるほどね……それはきっとクラスのまとめ役がいないからだよ」


「なるほど……」


さすが清水さん……北条とは大違いだ。素晴らしい回答に完成を上げてしまいそうだ。


「それでまとめ役は?」


「影野くん?」


「ひーくん……」


あれれ?おかしいぞ?二人して俺をおちょくっているのかな?


「とりあえずそう言うことで……ありがとう……」


「ちーちゃんちょっと待とうか……今この話が終わると、俺がまとめ役になっちゃうじゃないか……」


「決定……」


「いやでも……」


「決定……はい。は?……」


「はい……」


クソなんだこれは!


「とりあえず今日のところは寮に帰ろうか」


「いいよ……」


「私もそろそろ修行の時間だから……」


「そうか……。それじゃあ、また明日」


「うん……」


そう言いながら顔を赤らめ、それを隠すように走り去っていった。


「俺たちも帰るか……」


「うん……」


という事で帰ってきたわけだが、寮の玄関で北条が倒れていた。


「何やってんだよお前……」


「君が、君が勝手に、決めたんだろ!?」


「あぁ、あれか?どうだった?」


「どうもこうもないよ!教室行くまでに23回、教室について37回、帰ってくるのに25回、合計85回告られたんだよ?」


「ご、御愁傷様です……」


イケメンって辛いんだな……

今日は少し自分の行動に責任を感じてしまう1日になってしまった。


責任って怖いですよね?

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