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基礎ダン〜基礎から学ぶダンジョン学〜  作者: 一宮 カエデ
日常編
2/28

ダンジョン学始まりました

「体がダルい」


入学式の次の日、あぁ、なぜこんなに眠たいのか…

どうすればこのだるさが取れるのだろう…

俺、影野 孤(かげの ひとり)はこの疑問の答えにたどり着く。


「よし、もう一回寝よう」


簡単なことだ。疲れをとるには寝れば良い。


「お兄ちゃん、今日こそは学校に遅刻しないよう行こうね」


ムムッ、今なにか聞こえたぞ?


「お兄ちゃん……」


聞こえない聞こえない!俺は惰眠を貪るんだ!


「起きろぉおお!」


布団を奪われた。


「おい、お、お前早く返せ!」


クソッ、なんか妹の美聖(みせい)はやってやったぞと言わんばかりの超どや顔である。


「でもお兄ちゃん、もうそろそろ起きないと遅刻するよ?」

「妹よ、お兄ちゃんにはな、寝ることは大切なことだと思うんだ……」

「なに馬鹿なこといってるの?」


若干妹が引いている


「とりあえず、もうそろそろ起きないと電撃流すよ?」

「おい、お前!大好きなお兄ちゃんをスキルで殺す気か!?」


スキルとは3年前に突如として発生した一人一個ずつ持っている特殊能力のようなもので、SからEランクまで別れている。


ちなみに美聖のスキルはAランクの電撃である。この電撃、要するにとある○○のレール○ンの様なもので電撃をまともに食らえば、死ぬ可能性も……。


「こんな可愛いくて、大好きな妹から殺されても本望だよね?お兄ちゃん」

「マジすいませんでした」


妹にガチで謝罪する兄の姿がそこにあった。

命あっての物種だ。俺にプライドはない!


「もういいや、お兄ちゃん私玄関で待っているから早く来てね」

「わかりました」


俺は急いで支度をして、外に出た。


「やっときたか」


俺の唯一の友人日向 朝日(ひなた あさひ)が挨拶をしてくる。


「おはよう日向」

「お前昨日も言ったと思うがあんまり妹に迷惑かけるなよ?」


なんでお前がそんなこというんだよ!保護者かよ!


「本当にお兄ちゃんには困らされてばっかりです」


お前も乗るなよ!

クソッ、どいつもこいつも俺で遊びやがって!

泣くぞ?通学路で高校生が号泣するぞ?


「もういこうぜ二人とも……」


心が折れながら俺はさらなる追撃を避けるために話を折ることにした。


「そうだな……時間もないし行くか」


よかった。ありがとう日向……原因はお前だけどな……。

それから学校に行くまでいじられ続けた。

ちゃんと妹と一緒に帰る約束もした。


学校に着いた。今日は珍しく遅刻しなかった。


「お、影野。今日は遅刻しないんだな?」


教室に入るなり神代(かみしろ)先生が俺を茶化してくる。最近茶化す頻度が多いような気がする。


「おはよう」


クラスメイトの清水(きよみず)さんが俺に挨拶をしてくれる。


「おひゃよう」


うん、噛んだ……コミュ障だからな仕方ないだろ!


「ははは、影野くんって面白いね」


「ははは……」


よし、明日死のう。

でもその前に心残りを聞いておきたい……。


「そういえば、清水さんの下の名前ってなん……」


ーキーンコーンカーンコーンー


現実はそう甘くないらしい。

朝のホームルームが始まる。


「全員席につけぇ」


神代先生から号令がかかる。薄々気付いていたが、神代先生が今年の担任らしい。


「今日から本格的なダンジョン学が始まる。浮かれないで、しっかり学ぶよう。以上!」


神代先生、物凄い気合が入ってるなぁ……

……ちょっと引くわ。


「それじゃあ、ホームルームを終わる。次の授業の準備をしておくようにな」

「「「「「「はい!」」」」」」


皆、ダンジョン学に気を引き締めているようだ。ダンジョン学恐るべし…

そして皆大好きダンジョン学の時間になった。

ちなみに座学だった。

当たり前のことだが、目に見えて皆がっかりしていた。


「今日はダンジョンについて学びたいと思います」


ダンジョン学の先生が授業を進める。


まとめると、ダンジョンは3年前、スキルと一緒に突如発生した自然現象であり、その中にはモンスターが住む。ダンジョンには断層があり、今なお何層まであるかわかっていない。

ダンジョンはとても広く、まだ人類は4層までしか行けてないらしい……。

今日は一層のモンスターについて学んだ。

一層にはゴブリンや、兎の様なモンスターがいるらしい。

弱点や戦闘方法、剥ぎ取りかたを学んだ。


「じゃあ、今日はこれまで。明日一層で倒したモンスターの死体を持ってくるから今日教えた解体の実技をやってもらいます」

「「「「「「うぅぅぉおおおおお!」」」」」」


沈んでいたクラスの雰囲気が一気に盛り上がった。

でもこいつら、死体が兎だった時はいいが、ゴブリンのような人型だった場合はどうするんだろうか?


その他の授業は普通に数学やら国語やら英語やら普通の教科だった。


放課後はクラブ活動の場となるのだが、俺には関係ないのでさっさと帰ることにする。


「影野くん、今帰るの?」


帰り際、清水さんが話しかけてきた。嫌な予感が…


「もしよかったら一緒に帰らない?」


やっぱりか……でも俺には……


「ごめんな、今日も妹と一緒に……」

「それなら大丈夫。ちゃんと妹さんには確認とりました。今日は一緒に帰るということになりましたよ」

「え?そうなの?……あ、そうだ!でも今日、日向と寄り……」

「確認とりました」


隙がない!?


「でも、俺となんて……」

「帰ろう」

「……はい」


クソッ、どうしようもないか……。


「じゃあ、行こうか」


満面の笑みで俺を見てくる清水さん。それと同時に俺に死の呪いをかけているように見る男子クラスメイト。清水さんの笑顔は、まるで俺を殺しに来る悪魔のように見えた。


「もう、お兄ちゃん遅いよ」


学校を出たすぐの校門で美聖が待っていた。


「げっ……、清水さん」


妹から清水さんを批判する言葉が聞こえた。


「珍しいな。お前が人に苦手意識覚えるなんて」


美聖は結構人に懐き易いのだが……。


それからの帰り道、話が一切ないという恐怖体験をした俺達は清水さんと別れるまで一切話さなかった。しかし清水さんは終始笑顔だった。


清水さんと別れた後、妹から


「お兄ちゃん、あの女は危険だから近づかないほうがいいよ……」


と、かなり気になることを言われあまり寝れなかった。


「というか、清水さんの下の名前聞いてないや……」


結局、夜遅くまで起きた結果次の日遅刻したことは言うまでもない。


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