義手
前回の続きです。
「皆、走って逃げろ!」
北条が叫ぶ。
「でもここで逃げても、いつか追い付かれて皆殺られる!」
そうだ……誰かが囮にならなくちゃいけない……。この状況、誰かが一人『死なないと』いけない。
フロアボスは復活しないはずのイレギュラーだ……。
誰かがこの事を伝えないと……他の人にも危険がある。
「皆、先に行け!」
そう叫んだのは日向だった。
「ここを止めれるのは俺しかいない!」
確かに、結界が効かない清水さんは役立たずだ……。
俺やちーちゃんはなおさら……。
それでも……
「嫌だね……」
「いやだ……」
俺が言ったと同時にちーちゃんも言う。
「「絶対逃げない!」」
……腰が引けながら……。
「ここは任せとけ……。俺のスキル知ってるだろ?」
日向……。
「いや、流石にお前ひとりじゃ無理だろ」
「お前は、シリアス展開ぶち壊しすぎるだろ!」
日向に怒られた。確かに今死ぬかどうかわからない状況だけど……。
「スキル、創造……」
作るものは大きな魔石。
材料はモンスター。
「僕の勝ちだ……〇」
俺はとある天才極悪犯罪者の言葉を借りた。
しかし……。
「カラダガ、カッテニ……」
あ、やべ……。モンスターごと来ちゃってるよ。
あぁ~あ、もうすぐで俺のとこに来るよ……。
ゴブリンキングは俺の前に来ると手を振り上げて。俺を殴った。
『「ひーくん!」「影野くん」』
雑魚敵は全部倒せたと、思う……。
あぁ、やべぇ視界がぼやけてきた……。
「いまだ!雑魚がいないうちにみんな逃げろ!」
俺は薄れる視界の中、精一杯のことを叫んだ。
皆、逃げて……くれ。
「ここは?」
「やっと起きたか……」
俺が目を覚ますとそこには神代先生がいた。
「久しぶり、先生」
「そんな久しぶりじゃないだろ」
「いや~、話数的に……」
「お前は何の話をしているんだ?」
「ははは……」
………。
「っで、皆は大丈夫なのか?」
「皆……、無事だよ」
良かった……。
「あのな……」
神代先生が話を続ける。
「日向がな……」
「日向に何かあったのか!?」
俺はビックリして声を荒げてしまう。
「手が、左手が使えなくなった……。いや、無くなった……」
え……………………………………………………?
「先生、日向に合わせてください」
俺はやっとのことで意識を戻す。
「それはいいが……」
後ろだよな……。
わかっている。わかっていたのだが目を背けたかった……。
二つ、いや、四つの目にずっと見られていたことに……。
「影野くん、体はもう大丈夫ですか?」
「ひーくん、大丈夫……?」
後ろから清水さんが心配そうに聞いてくる。ちーちゃんは俺に飛び込んでくる。
「大丈夫だよ、たぶん……」
俺も自分が大丈夫かはわからない……。
「そうだ、日向のところに行く前にホームセンター寄らなきゃな……」
「あれ?私のことより朝日くんのほうが心配ですか?」
「ひーくん、爆ぜろ……」
うん。ごめんなさい。
「お前たちは大丈夫なのか?」
「うん、大丈夫だよ。ありがとう、心配してくれて」
「遅いし……。ありがと……」
うわ一人はもうすでに手遅れだったらしい。
じゃあ、ホームセンター行くか!
というわけで、俺たちは今ホームセンターにいます。
「何を買うんですか?」
「木材と鉄、アルミとかかな?」
「何でそんなものを?」
「日向、腕脳でにあう義手を作ろうと思ってな」
「スキルですか?」
「あぁあ……」
お会計は以上ですか?〇〇〇円になります。ありがとうございました。などの接客マニュアル、もといコミュ障殺害マニュアルが終わった後、俺たちは日向がいる病院に行った。
「大丈夫か、日向」
「あはは、ごめんな。心配させてしまって……」
「それより日向、腕見せてくれ……」
「あぁ、いいぜ!」
と言いながら、日向は右手を差し出してきた……。
「おい、こら!左手だよ!ひ、だ、り、て!」
「……」
日向が真顔になり、首を横に振った。
「こんなかっこ悪い傷見せられないよ……」
「何照れてんだよ、馬鹿……」
友達に自分の失態を見せたくないらしい……。
「だからその腕に合う完璧な義手を作りに来たんだよ」
「お前が言っている義手ってアニメみたいな義手だよな?」
「それがどうした?」
「お前のスキルならできると思っているよ……」
「任せとけ!」
「スキル、創造」
俺は前に作った大きな魔石を使ってスキルを使う。
作るものは義手。
材料は今さっき買ってきたものと魔石。
イメージを固めていく……。
「出来た……」
「す、スゲー……」
日向の腕はまるで本物のようにそこにあった。
違うところは、裏拳のところに赤い魔石があるところだろうか……。
「ごめんな。俺が調子乗ったばかりに……」
「いや、お前がいなかったら逃げることもできなかったぜ!ありがとな……」
大丈夫だよ。
俺と日向をしばらくお互いを見つめあった……。
まだまだ続きます。
すいませんお付き合い下さい。
そして最後にBLを入れてくるところ……、
我ながらキモイですね……。すいません。




