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【4】

【3】


 迷いながら選んだのは、キャンドルだった。

 一時期、アロマにはまっていた事もあり、自分だけのキャンドルが作れるのなら作ってみたいと思った。その頃に画材屋さんで売っているキットは、溶かした蝋燭を別売りの容器の中に流し入れて作るキャンドルで、精油を数滴溶けた状態のキャンドルに垂らして作った事があるけれど、自分のこねた形がそのままキャンドルの模様として作れるキャンドルは作った事がなかった。

 「行ってみよう」

 そのまま階段をのぼっていく。

 のぼりきった先には、少なくとも、80人は座れるだろう広さで、受付の近くに券売機があり、作る物によって参加料金が違うようだった。

 「あの、作れますか…キャンドル」

 「はい、作れますよ。材料券を購入してきてください」

 「はい」

 お金を入れてから、迷いなく枚数のところで一枚ではなく二枚を選択して材料券を購入する。

 「はい、これ」

 「え?私は見ているだけで」

 「いいから、やってみたかったの。私の我が儘、聞いて欲しいな」

 こういう物作りデートというものにずっと憧れを抱いていた私は、断りそうな雰囲気の彼女を強引に巻き込むべく、年齢も頭の中から追い出してお願いしてみる。

 自分でも可愛げのある口調を意識したもの、いささかやり過ぎた気が言った後にして後悔するが、なかった事にはできない。受付の職員さんは聞こえなかったふりをしてくれているけれど、彼女は見るからに頬が赤くなった気がした。

 「……分かりました」

 『そんな言い方はずるい、反則です』と言いそうな表情で、彼女は材料券を受け取る。

 材料券を渡して、作り方の説明を受けると、材料を選び席に移動する。

「優香さん、迷いがないですね」

「そう?」

材料のろうシートを選ぶ段階で、頭の中でこういうデザインにするというのが浮かび、選ぶ時にはその色を選びとっていたので、あまり悩む事がなかった。材料の場所にはどういうものにしようか考える用紙も一緒に置かれている。

幸来は、選ぶ時にどうしようか構想が固まっていなくて、選ぶのに時間がかかっていた。

「何を選んだらいいのか、分からなくて迷います」

「席でどういうのにしようか考えてからが、作りやすいかも」

「……そうですね。そうします」

「もう、決まっているのですか?」

「うん、ビーズを選ぶ時と同じ。何が作れて作りたいのかの連想ゲームだから」

よく分からないという表情を彼女は浮かべている。私は、材料を手でこねて部品を作っていく。

「感覚の表現は言葉にする事は難しいけど…まず、何が作れての部分は、色から連想する事があるのね。色のもつイメージもそうだし、たとえば、黄色だと黄色の物を連想していくの。バナナ、タンポポ、ライオン、トラ、ヒマワリとか。その中から自分の作りたいモノを一つ選んで、それを作るのに必要な他の色を選択する。あとは、選べる枚数の範囲内で考えるの」

「そんな事を頭の中だけで考えられるの?」

「毎回やっていると、慣れてきて紙が必要じゃない時もある。ぽんっと頭の中に浮かぶ。デザイン画を描く時も頭の中に見えている線の上をなぞっていくだけの作業の時もあるし、浮かばない時は、画像検索で見つかった画像から描く場合もあるかな」

「すごいですね」

「ん?」

「そんな感覚、なった事ないです」


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