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【2】


 【1】


 待ち合わせの場所に向かっている途中、ふいに、甘い物が食べたくなった。


 肌寒い季節になっているので、冷やされて出されるような甘い物は食べたくない。最近、仕事も知らない間に頭を使っているから、無意識のうちに普段は飲まないような甘さのある珈琲を選んでしまっている。

 いつもは聞かないような曲も、選んでしまっているのに気づいて苦笑を浮かべた。

 心地良い風が吹いて、紅葉した葉が遊ばれて連れ去れていく。綺麗だと感じるよりも、何かに気を使わなくていい、考えなくていい、どこか遠くに連れ去られたくなる。


 風が吹いた先に視線を向けると、彼女が待ち合わせ場所に立っているのを見つけた。待ち合わせの時間よりもだいぶ早い。私が声をかけるよりも早く、彼女が視線をこちらに向けてくる。

 「あ、早かったですね。優香さん」

 「幸来もね。まだ15分前だよ」

 「家に居ても落ち着かなくて、早めに出てしまいました」

 「そっか、私と同じだ」 

 「え?」

 「それで、何処に行こうか」

 「まず、駅に行って…そこからバスで。入園料が少しかかります」

 「公園、だよね。行くの」

 「はい、公園です。到着してみてのお楽しみで♪夏美から教えてもらった場所です」

 そう言って、彼女は悪戯を考えた子供のような笑みを浮かべた。公園というからには、公園なのだろうが、それ以外がどうなっているのか、調べてきていない私にとっては緑がある広場以外の想像がまったくつかずに不思議だった。


 電車とバスで公園に到着する。

 公園なのに、ゲートと券売機があり、券売機で入園チケットを購入できるようになっているようだが、彼女はあらかじめ、コンビニで入園チケットを購入してあったようで渡された。

 一時間以内で来る事ができるという事を考えると、こんなに近場にこういう公園がある事を知らずにいた事が不思議だ。

全く知らない場所に来て、これから何が起こるのかというドキドキワクワクが子供の頃に戻ったかのようにとまらない。高揚した気分のまま ゲートに入り、まず目の前に飛び込んできたのは、人の形をした大きな像だった。

 平日の昼間だというのに、像の前で記念写真を撮影している子供たちが居る。

 「…ここって、ただの公園、だよね?」

 公園に観光バスで来ていて、記念写真を撮影しているのを見て自分の目を疑った。

 まさか、ここまでは人が多く来ている事を予想していなかったのか、幸来に視線を向けても苦笑しか浮かべていない。

 「そのはず、ですね。地元の人だけが知っているような、ただの公園です」

 「ごめん、そのただの公園って言葉が、すでに信じられない」

 「私も同じです」

 入園した瞬間から、ただの公園じゃないという事を感じ取った後、ゆっくり緑を見るとよく手入れのされた花壇に視線がとまる。

 花の事は詳しく知らないけれど、見た瞬間に綺麗だと感じたのには、枯れてしまっている部分等を常にまめに手入れしていていなければここまで心に響く風景を作り出す事はできないだろう。

 普段はあまりしない深呼吸をしてみる。あまり空気は変わらないはずなのに、空気が美味しく感じた。

 「なんか、いい場所だね」

 「そうだね」

「来た事はないの?」

 「ないです」

 アスレチックが視界の中に入り、ふと、こういう場所は美空が好きそうだと思った。

 「好きそうですよね、こういう場所、美空は」

 苦笑を浮かべて、幸来は言った。


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