【13】
【12】
「ね、もう一回やらない?」
「ダメです」
ダメだと言われる事を前提で、やり直しを口にすると当然のように却下された。
「うん、そうだよね」
「二言は認めません」
きっぱりと強い口調で言われてしまい、視線をそらす。
対戦モード等ない太鼓の形をしたゲームで同じ曲の同じコースで点数で勝負をするという方法をとっていた。結果は、私の一回のミスの差で負けてしまった。
「本当に勝てるとは思わなかったけど、美空と練習していてよかった」
「え?」
「時々、賭け事ありの音楽ゲームやるって美空に聞いていて、練習していたんです」
「……なるほどね」
美空が音楽ゲームを誘ったのは理由は、想像がつく。
きっと、幸来と遊びたかったからだ。
美空ができるゲームと言えば、楽器を演奏するようなアーケードゲームしかない。
ドラムみたい形なのを叩くのと、DJっぽいのと、太鼓みたいな形をしたのと、リズムにあわせてボタンを叩くのと、一回も遊んだ事のない相手だと、理由がなければ遊びに誘いづらいからと、上手いこと理由のこじつけに使われた気がしたけど、言わないでおこう。
「勝負は、勝負です」
「そうだよね。んー…逃げるわけじゃないけど、今度にしない?」
時刻はちょうど遅めのお茶の時間くらいなわけで、慌ただしいのもなんか嫌だし、部屋の中で散らかったままの部分を見られたくないなと言い訳が三つくらい出てきたところで、ばっさりきられる。
「今日は泊まりになるかもしれないと言っているし、さっき親に連絡はしたので時間なら大丈夫です」
「……」
少しずつ私の扱い方を分かられてきている気がして、このほどよい感じの強引さも好きだけど、嫌なわけではないけれど、どうして賭け事ゲームなんてしてしまったのか後悔がうずまく。
「分かった。部屋の中散らかっているけど、気にしないで」
「はい」
嬉しそうに頷く彼女を見ながら、気が変わるかもしれないしと思っていた。
自宅の玄関の鍵を開けて、そのままリビングまで行く。
背後でトサッと荷物が床に落ちる音がした。
コツンと背中に彼女の額が触れる感触がする。
心臓が切なく高鳴るのを感じた。
「……ごめんね」
「何が、です?」
「きっかけがないと前に進めなくて」
「いいんです」
「本当に、いいの? 私で。たぶん、いろいろと迷惑もかけるよ。ほら、もっといい条件なら他にいい人がこれから…」
「優香さんだけが欲しい」
小声で言われたその声に、しばらくの間眠っていた誰かを欲しいと感じる獣が、ゆっくりと首をもたげるのを感じた。
「そんな事、言ったらだめだよ」
後ろに振り向き、言うのが照れくさくてはにかむ。
「幸来が好き」
お読みいただきありがとうございます。
今のところ、来週には完結できそうです。
ゲームセンターの場面で、ギターみたいな形のゲームが出てこないのは、単純に作者が初心者
コースも達成できなかったからです(苦笑)




