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それは青春なりけり

駄文注意。評価していただけると励みになります。

【屋上】

ユアンは上着を天高く放り上げると首をゴキッと鳴らす。

「さて、アンブロシアが来てくれたんだし、ここ青春ドラマやっちゃいません?」

バキリと指を鳴らしながら微笑むユアン。

一方アンブロシアはこの状況について行けずにいた。

「おい、待て。なんでお前は戦闘態勢なんだ?」

「んとね...アンブロシアと仲直りするためだよ?ずっと、どうやったら本当に仲良くなれるか考えてたんだけど...分かんなくて。そしたらアイリーンが教えてくれたんだ屋上で殴り合えば万事うまくいくってね」

おい待て!それは嘘だ!とアンブロシアが言う前に、ユアンの拳が彼を貫く。

そしてひどくカッコつけた口調でこう言うのだ。

「始めようぜ?俺たちの青春を」

。。。。。。。。。。。。。。。。

【教室】

現代社会学の授業終了後、アイリーンは堪えられないと言う風に笑い出す。

「どうした。毒キノコでも食したか?」

眉を潜めるレックスにアイリーンは事情を説明する。

「中々、粋なことをするじゃねぇか」

普通ならば学級委員長として止めるべき局面なのだが、レックス自身屋上で殴り合えば友情が芽生えると信じてやまない青春バカであった。

「レックスはどっちが勝つと思いますか?」

「そうだなぁ...一見、圧倒的有利に見えるのはユアンだが、持久戦となったら勝つのは間違いなくアンブロシアだろうな」

「まぁつまり、見に行けば分かるって事ですね」

アイリーンの言葉にレックスのしばし逡巡し後、鷹揚に頷くのだった。

。。。。。。。。。。。。。。。。

【屋上】

戦いはまさに死闘と呼ばざるえない状況であった。

優勢なのは素人目に見てもユアンなのだが、傷が多いのもユアンである。

一方戦闘能力で劣るアンブロシアは逃げ回り、持久戦に持ち込もうとする。

真っ向からやっても勝てないが、このままユアンの体力を削れば勝機を見い出せると確信していた。

勝てる!勝てる!勝てる!

それは努力が才能に勝つという希望。

そして勝利への焦り。

ユアンの左の頬を捉えて伸びたアンブロシアの右が止められる。

防御か...なら、すぐに左の脇腹に...。

本来ならそのまま、後ろに跳び再び逃走を図るべきであった。

だが、アンブロシアは追撃を選択する。

それがアンブロシアの焦りであり、大きな隙となった。

ユアンが踏み込む。先程までアンブロシアの右を止めていたはずの右手が折れ曲がり肘鉄の形で顔面に叩き込まれる。

砲弾が掠めたような衝撃。

っっっ?!...回復魔法を...。

仰け反るアンブロシアの腹に一種の発勁の様なものが撃ち込まれる。

そのまま下段足刀、下段回し蹴り、踏み砕きによって膝、足関節、足の甲の骨を砕かれたのが自分でもわかった。

急いで回復魔法を下半身に集中させるがそれが新たに上半身の隙を生む。

鉤突き、手刀、貫手、上段足刀、膝蹴り、肘打ち、中段回し蹴り、鼓膜破り、張り手。

そして猛攻の末、金的、腎臓、肝臓、胸骨、みぞおち、喉頭隆起に撃ち込まれる発勁。

そこでアンブロシアの意識は闇に落ちる。

「な...なんだよ。あれ」

興奮のせいか上擦った声を絞り出すレックス。

「蟻地獄...に六戒...」

一方アイリーンには思い当たる節があったようで、掠れた声で呟く。

どちらも幼少の頃、彼の父を超えるために彼が開発した技だった。

相手の下半身から上半身にかけての骨を砕く蟻地獄。

人体の六つの急所に撃ち込まれる発勁。

彼、デヴィッド.Z.ユアンの武術の究極であり限界。

それを持ってもしてでも越えられないデヴィッド.L.ジェンの壁はアイリーンが思っていたよりも遥かに高いことを示していた。

「貴方は...まだそこに...いたの?」

奇しくもアイリーンは彼女の父と同じ言葉を口にした。


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