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転送装置

一説には探索者ギルドの会長が造ったのではないかといわれているが、詳細は定かではない

今はもう失われた古代の技術で造られているらしく、いかなる攻撃でも壊れることはないという

この装置の解析は未だほとんど進んでおらず、各装置間での行き来、所謂転送が出来るということ以外には未だよく解っていない

その転送すら、どういう原理で行われているのかも解明されていない

各都市や様々な危険区域、ダンジョンの入口に置いてあり、これを設置するのもギルド協会の仕事である


「お前さっき準備はもう出来てるとか言っていたが、本当に全部用意出来てるんだろうな?S級クエストト舐めてると本気で死ぬぞ」


「大丈夫だって、いつも通り携帯糧食と水!後は剥ぎ取り用のナイフくらいか、まぁこんなもんだろ、あんまり持っていきすぎてもかさばって邪魔だからな!」


「はぁ…確認しといて良かったぜこのマヌケめ」


「な、何だよ、いっつもせいぜいこのくらいだろ持っていくものなんて」


「今までみたいなA級クエストまでなら、お前らの実力ならせいぜいそんな程度でも十分だ、だが今回はS級クエストだぞ?いつもみてぇなピクニックに行くような準備だけじゃ駄目なんだよ。てかそもそもいままでそんな程度の用意だけでやってこれてること自体おかしいんだけどな」


「いいか、ライフポーションやマジックポーションは絶対に持って行け、これはまず必要になるだろう、後は念のため逃走用に暗幕玉もだな」


「おいおいそんなもんが何の役に立つってんだよ?マジックポーションなんて使う機会あるか俺たち?それにライフポーションなんて飲んでも自然治癒力がちっと上がって痛覚を多少和らげるだけじゃねぇか、完っ全に名前負けしてると思うね俺は。飲んだ瞬間傷が治るくらいしてみろってんだよ」


「んな奇跡みてぇなことが起こせるもんがあるんなら俺もぜひ欲しいわったく、いいか、マジックポーションはもしも魔力が切れた時のため、ライフポーションは怪我を負ってもその後の戦闘に支障を来さないため、暗幕玉は地帝狼に会っちまった時に少しでも生存率を上げるためだ、そもそもお前には危機感ってものが「わかったわかったよ説教なら後にしてくれよ」


「アレク、イエロは私たちを心配してくれているのよ、言うことを聞きましょうよ」


「へいへいわかったよ、ったく2人とも心配しすぎだってーの…」


「おら、分かったならさっさと道具屋に行くぞ」


そうして3人は道具屋へと歩き出した

道具屋はギルド協会の真向いに建設されている

クエストを受注する前後で速やかに用意を済ませることが出来るようにとの配慮のためである


「おーっす久しぶりに来てやったぜクソ爺、前から思ってたけど道具屋って名前はどうなのよ?センスの欠片も見当たらねぇぜ?」


道具屋に入るや否やアレクが店主に向かって話しかける

店主は妙齢の男性で、立派な髭を生やしており、どこか頑固爺のような印象を与える


「何しに来やがったクソガキ、尻の青いガキが家の名前にケチつけんじゃねぇぼけ」


「久しぶりですドミニクさん、今日はお客として来たんですよ」


「よぉクレアちゃん、ほんとに久しぶりだな、最近はめっきり来てくれなくなっちゃったからな」


「いやぁすみません…」


「おいおい俺と態度が丸っきり違うのはどういうことだクソ爺」


「ドミニク、ライフポーションとマジックポーション、暗幕玉をそれぞれ10個ずつくれ」


「イエロ…お前らがそんなもん欲しがるってことは、やべぇクエストでも受けたのか」


「あぁ、まぁな、こいつら2人がS級に上がったもんだからよ、あの通過儀礼をやるのさ」


「なるほど、それでか…こいつらももうそんなランクか…そういうことなら金は要らねぇ、持ってけ」


「お、おい爺どうしたんだてめぇ頭でも打ったのか?大丈夫か?」


「おいアレクてめぇぶっとばすぞ何真顔で心配してやがる」


「だって爺が突然優しくなるとか…」


「ドミニクさん、本当に良いんですか?」


「あぁ、金は要らないよ、そのかわり…」


そこで一旦言葉を区切りドミニクは顔を逸らし若干顔を赤くしながら


「必ず帰ってこい、そんで今度はクエストの金でまた家に買いに来い」


「…おぅ、俺たちにかかればこの程度楽勝だってーの、また来るよ、こいつはありがたくいただいていくぜ、ドミニク(・・・・)


アレクは茶化すことなくドミニクにそう宣言し、貰ったアイテムを3人で分け、それぞれ腰のポーチへとしまっていく

それを見てドミニクは驚きに目を見開き、俯きながら小さくクソガキが、と呟き顔を綻ばせた

それから3人は道具屋を出て転送装置の所へとやって来た


「さて、じゃあ行くぞ、しっかり気を引き締めろよアレク、クレア」


「おう、何時でも来い!」


「私も何時でも大丈夫よ」


2人の声を聞きイエロは転送装置のモニター横に付いている機材にカードを読み込ませてからボタンを押す


ただ今データの照準中、しばらくお待ちください…照準完了しました

おはようございますイエロ様

本日はどのようなご用件でしょうか


「終末の森まで頼む」


今イエロがこの装置に読み込ませたのは自身の探索者ギルドカードである

協会で探索者登録をすることによって作成されるものだ

転送装置自体の起動にはギルドカードは不要だが、これを読み込ませてから転送装置を使用することによって、転送装置のレスポンス能力の向上、転送記録の保持などが可能になる、転送記録は協会の本部に記録されるがプライバシーの配慮の問題から、転送記録を行うかどうかは転送者が選ぶことが出来る

これにより円滑に目的地への転送が行え、転送先で何らかのトラブルが起こり行方が分からなくなっても、その探索者が何処へ向かったのかが分かるようになっている


終末の森はS級危険区域です

本当に転送を開始しますか?


「ああ、頼む」


了解しました、転送を開始いたします


イエロがそう言うと奇妙な幾何学模様が地面に3人を囲むように浮かび上がる

模様が一瞬光り輝いたかと思うと、模様の上にはもう3人の姿はなかった

転送が終わり3人が終末の森入口に着くと、妙な男がこちらを見ていた

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