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「なぁ、本当に行くのか?」


「何だよ、イエロ様ともあろうお方がブルってんのかよ?」


「よしてめぇ表に出やがれ」


「怒んなよ、禿げるぜ?」


「このクソガキ…俺はてめぇを心配してやってんだよアレク」


「2人ともやめてよみっともない、皆見てるよ?」


「「…」」


言われて2人が後ろを振り返ると、建物内にいる他の探索者が呆れた顔でこちらを眺めていた


「よし…ここは一旦休戦といこうじゃねぇか禿げ」


「おいアレクてめぇほんとにぶっとばすぞ?後俺は禿げじゃねぇどこ見りゃ俺が禿げに見えんだバカ」


「いい加減にしてよ2人とも!」


「わかった、わかったってそう怒鳴るなよクレア、カルシウム足りないんじゃないの?」


「あんたねぇ…」


3人のやり取りを傍から見ていた他の探索者たちは

あぁ、またいつものやり取りが始まったな…と特に止めようともせずに眺めているだけだった

そもそもこの3人を止められる者が何人いるだろうか

軽口を叩いている男の名はアレク

そのアレクに散々禿げと言われていた男はイエロ

2人の仲裁をしていた女はクレアという

アレクとクレアは双子の姉弟で、イエロはそんな2人の親代わりのようなものである、とってもそこまで歳が離れているわけでもないのだが

そんな3人とも、若くして数少ないS級探索者に上り詰めた実力者である

もっとも、アレクとクレアは数日前にS級に上がったばかりであるが


探索者ギルド協会という組織がある

創始者であり会長であるルヒニという男が作り上げたこの組織は、協会がクライアントからの依頼を各探索者に斡旋する施設である

協会は依頼料の数パーセントを依頼料から徴収するが、代わりに依頼の安全性や各種保険を保障するのだ

探索者はその実力によりランク別けがされており、下から順にF E D C B A S SSと上がっていく

大抵の探索者はせいぜいがC止まりで、このラインが一般探索者と一流探索者を別ける壁になっている

その他、AからS、SからSSにもそれ以上に分厚い壁が存在するのだが、一般の探索者には縁のない話である


「なぁ、協会の職員としてこの命知らずのバカを止めてやってくれよアンナさん」


「私からは何とも…適正ランクには達していますので」


受付嬢のアンナは私に振るなよ、という顔で苦笑いしている


「おい、あんまバカバカ言うな禿げ、アンナさん困ってんじゃねぇか」


「じゃあてめぇは禿げ禿げ言うのを止めろぼけ」


「てかこんなくだらない言い争いしてないでさっさと行こうぜ、俺たちなら悪魔の樹(イビルトレント)憤怒の猿(ラースエイプ)程度楽勝だって」


「アホめ終末の森には地帝狼がいるんだぞ、奥に行かなければ会うことはないとは言われているが絶対に遭遇しないという保証はどこにもない、俺たち3人だけではまず勝負にならない、逃げられるかも微妙なラインだ」


「だからこその通過儀礼になってるんだろ、S級に上がったら最初に終末の森のクエストを受けるって。イエロだって行ったことあるんだろ?」


「行ったことがあるからこそだよ、お前らを止めたくなるのは」


「アレクに関しては今更言う必要もねぇが、クレアも自分では常識人ぶってるが割とお前もぶっ飛んでるからな?」


「そんなことないわよ、私しっかりしてるもん」


「自覚が無いのが問題なんだよ、1人で火竜に突っ込んでいくような命知らずが何がしっかりしてるだ」


「あ、あれは…その…あの時は仕方なく…」


「おい俺は言う必要もないってどういう意味だコラ」


「そのままの意味だマヌケ、お前は見ていて危なっかしいんだよ」


「あの…窓口で言い争いをするのは、そろそろ…」


言い辛そうに受付嬢のアンナが申し訳なさそうに言ってくる


「あ、あぁ、そうだな、すまない」


「おし、じゃあクエスト受けるぜ、【週末の森固有モンスター1種の討伐】」


「一応確認だが、固有種なら何でもいいんだよな?」


「はい、悪魔の樹や憤怒の猿、狂性大鬼(ベルセルクオーガ)など、終末の森の固有種であれば何でも構いません」


「今回はS級クエストのため、期限は特に指定されていません、道中お気を付けて」


「よーしじゃあさっそく行こうぜ!」


「ったく…命知らずのバカ野郎が」


「でも、なんだかんだ言って一緒に来てくれる辺り、イエロは優しいよね」


「…そんなんじゃねぇよ、俺はお前らが危なっかしくて見ていられねぇだけだ」


「そんなに赤くなって言っても説得力無いよ、照れなくてもいいのに…」


3人は入ってきたときと同じく、ぎゃあぎゃあと騒ぎながらギルド協会を退出していった

それを見ていた他の探索者たちは皆一様に、やっと終わったかとでもいうような表情を浮かべていた

賑やかな3人が出て行った後には、協会内はまたいつもの雰囲気に戻り、各探索者が各々にあったクエスを探し、依頼の貼ってあるボードと睨めっこを開始していた


「さて、準備はもうしてあるからな、とっとと終末の森へ行こうぜ!」


「準備の良いこった…普段から別なところもしっかりしてりゃ問題ねぇのになぁ」


「んだとぉ?」


「はいはい2人とも、早く転送装置のところまでいきましょ」


協会を出てからも3人は言い争いをしながら、都市の入口にある転送装置の所へと歩いて行った

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