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おはようございますオウド様
本日はどのようなご用件でしょうか
「セントクルセイド王国跡地に転送してくれ」
了解しました
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少々お待ちください
オウドは協会を出て、オウドに付いて行くと言ってきかないアレクとクレアの2人と共に転送装置の場所まで来ていた
新しく作られたオウドのカードを読み込ませると、転送装置はすんなりと動き出した
検索終了しました
セントクルセイド王国跡地へと転送を開始いたします
オウドたちの足元に幾何学模様が浮かび上がり、模様の輝きと共にオウドたちは転送されていった
「………」
ここがセントクルセイド王国跡の王都に当たる場所のようだ
協会で読んだ本には、文明が一度滅び、古代都市などが遺跡として残っていると載っていたので、古びた所を想像していたが、建物や床など、外観はかなり奇麗なまま残っている、誰かが手入れや手直しをしているのだろうか
建物の造りというか材質というかは、終末の森にあったあの建物とどこか似ているように感じる
そうだろうとは思っていたが、やはりこの光景を見ても何も思い出すことは無かった。しかし、オリジナルはやはりここに居る気がする。何の根拠も無いが、なんとなくそう感じた
「へぇ、ここが古代都市か」
「思ってたよりも綺麗な所なんだね」
「その言い方だと、2人共来るのは初めてなのか?」
「あぁ、こういう所に好き好んで来るのは学者共ばかりだからな、過去の生活を知ることでなんたらかんたらってな。ま、俺たち探索者が好き好んで来るような所じゃあないな」
「そもそも、探索者というのは、具体的にどういった事をする者を指すんだ?」
「オウド…そんな初歩的な説明、協会で受けなかったのか?」
「聞かなかったな、そもそも俺は古代都市に来ることが目的だった訳で、探索者になることが目的な訳じゃなかったからな。探索者に登録したのも、今後を考えた時登録しておいた方が良いとクレアに言われたからだ」
「そ、そう…一応大まかに説明しておくと、探索者というのはその名の通り、未開の地を探索する者たちの総称なの。この大陸には、まだまだ人が到達出来ていない未開の地があって、そういった場所を探して調べることが探索者の本来の役割りなんだけど、未開の地を調べるといっても、それはつまり、事前情報が何も無い所を調べるっていうことで、要はリスクが高いわけ。だから最近の探索者は、専ら既に探索されている場所で薬草を取って来たり、モンスターを狩って素材を集めたり、たまに都市に攻め込んでくるモンスターからの防衛なんかが主な作業になってるね」
「なるほど、用事が済んだら、まだ誰も行った事の無い場所へ行ってみるのも良いかもな」
「そういえば訊いてなかったけど、オウドはどうして古代都市に来たんだ?」
「俺は…」
オウドは本来の目的を言っても良いものかと思い、言い淀む
「あ、いや、無理に話してくれとは言わないけどさ」
「いや、話そう…別に隠すような話でも無いしな」
それからオウドは、古代都市に来た理由について話し出した
自身が人間ではなく、ルフィニという人物のレプリカであること、それをスヌゥに教えられたこと、スヌゥもルフィニのレプリカであること、オリジナルであるルフィニに会いにここへ来たことを話した
「「………」」
アレクとクレアの2人は、ただ黙ってオウドの話を聞いていた
俄かには信じられない内容ではあったが、2人にはオウドが嘘を付いているようには見えなかったし、そんな嘘を付く必要性も感じられなかった。なにより、人でないなら、前に協会で話していた、終末の森にある建物の中で目を覚まし、飲まず食わずで一切睡眠を取ることなく森の入口まで歩いてきたという話とも繋がると思い、とりあえずはオウドの話を信じることにした
「しかし…人間じゃない、か…俺には、どこから見てもオウドは人間にしか見えないけどな。あ、いや、今の話を疑ってるとかそういう意味じゃなくな」
「私も、人間にしか見えない。というか、さっき話に出てきたルフィニって人さ、なんか協会長に名前似てるけど、なんか関係あったりするのかな?」
「会長の名前がルヒニ、オウドの話に出てきたのがルフィニ…確かに似てるな。普段皆、名前じゃなくて会長ってしか呼ばないから気が付かなかったけど」
「恐らく同一人物だ、受付のアンナが言っていたな、何で会長は老けないのかと。そしてスヌゥはこうも言っていた、俺たちはルフィニという元人間のレプリカだと」
「会長が、元人間…?」
「元人間か…人間って、何なんだろうな」
人間とは何か
アレクが言った何気ない一言が、オウドの頭の中にやけに響いた
考えようとしたが、考えて分かることでもないと思い、歩みを再開する
なんとも頼りないが、この勘に従って歩いて行けば、不思議とオリジナルに会える気がした
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「申し訳ありません、オウドの記憶の上書きに失敗しました…それに、オウドに自分がレプリカであることを話してしまいました、みすみす逃すつもりはないからと、つい…」
オウドが都市バルフレアでアレクたちと会っている頃、スヌゥも又、セントクルセイド王国跡地へと来ていた
スヌゥは転送されて直ぐにオリジナルの元へ赴いていたため、この後転送されてくるオウドたちと鉢合わせることはなかった
「何落ち込んでるんだよ、間に合わなかった場合お前の判断に任せると言ったのは俺だぞ、別に怒ってなんてないし、そもそも記憶の上書きとかどうでも良かったんだよ、あのタイミングでオウドの元へ行っても間に合わないことなんて分かりきっていた。俺が知りたかったのはさ、スヌゥ、お前が俺から受けた命令…いや、別に命令ではないか、まぁそこはどうでもいい、まぁつまり、間に合わなかった場合お前の判断に任せると言った時、お前ならどういう行動に出るんだろうなぁって思ってさ、わざと間に合わないタイミングでお前に言ったんだよ、それと、目覚めた状態のオウドと会ったお前は、どういう行動に出るのかなって思ってさ。だから、気に病む必要なんて無い」
「…」
ルフィニの手のひらで踊らされていたのだと告げられても、スヌゥは怒る素振りなど微塵も見せない
それは真に、自身の行動、存在全てがオリジナルであるルフィニのためにあると心底思っているからである
「それにしても、お前もそういう行動をするんだなぁ、普段アドリブで行動することが無いもんなぁ」
「それは…そうですね、オウドに会うまでは、冷静でいたつもりだったのですが…」
「同じレプリカであるオウドに、感じる何かがあったのかも知れないな…ふむ、それはそれで興味深いな。まぁ、とりあえず報告ご苦労だったな。お前は、そうだなぁ、これからどうするかな…また前みたいに普通の探索者として動いてもらうか…」
「それなのですが、奴が…オウドが、ここに来るような気がするのです、何故そう思ったのか、自分でも分からないし、何の根拠も無いのですが」
「ほぅ…つまり勘とういうことか」
「はい…俺がここへ来たのは、貴方への報告のためであって、オウドがここへ来ると思ったからではありません。ですが、あいつはここに来るような気がするのです」
「それで、お前はどうするつもりだ?」
「今のオウドは危険な気がします、貴方に害をなす予感がします、俺は、貴方を守るためここでオウドを待ちます」
「…そうか」
言って、ルフィニは口角が歪むのが抑えられなかった
オウドに会うまでのスヌゥは、ほとんど自分から意見を言うような奴ではなかった
オウドと会って、スヌゥの中で何かが変わったのだ、そんな新たな発見に、ルフィニは心が躍る思いだった
「なら、俺もここでオウドを待ってみるとするか」
「…本当なら、あなたにはどこか離れた場所にいてほしいのですが、あなたがそう決めたのなら、俺からは何も言えません」
「あはははっ面白くなってきたなぁ!」
これから少しの後、ルフィニ、スヌゥ、オウドの3人が一堂に会することとなる
その結果は、今はまだ誰にも分からない




