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あれからまた少し図鑑を眺めていたが、自分が知っている、覚えていたものはマジックポーションの材料の薬草だけだった

何故こんなどうでもいいことは覚えていて他のことは覚えていないのだろうか

ちなみに、イエロたちが着ていた動物の皮や鱗がくっ付いていた服は、モンスターからはぎ取った皮や鱗を鞣して作った防具なのだそうだ

また、自分が今着ているスーツに関する情報も少し載っていた


探索者ギルド協会会長が着ていることで有名な奇妙な服

材質や製造方法は不明

防御力や耐久力などの実用面がどの程度のものなのかも不明

古代兵器と材質や質感が似ているため、古代兵器の一種ではないかとの見方もあるが今のところ真偽のほどは定かではない

現在は協会の会長とSS級探索者スヌゥが着ている2着しか発見されていない


載っていたには載っていたが、結局不明な点だらけだった

自分が着ているものも合わせても、3着しか発見されていないことになる、とても貴重な代物なのかも知れない

銃に関してもそうだが、何故こんな貴重な物が置いてあったのだろうか

ますますもう一度あの建物へ言ってみた方が良いだろう

これ以上図鑑を見ていても収穫は無いだろうと思い、図鑑を本棚に戻し、今度は魔法概論という本を手に取る



魔法とは、かつて文明が滅びる以前に、ある1人の人間によって発見され、確立された技術である

個人で性能の差はあれど、人間ならば誰にでも使える技術である

文明の崩壊と共に魔法もロストテクノロジーと化していたが、古代都市に残っていた魔法に関する文献を解析し再現されたものが現在の魔法である

魔法とは、大気中に含まれる魔素と呼ばれる物質を体内に取り込み、血中の赤血球と結合し脳へと循環することにより、放つことが出来る

魔法は、理論上脳内に描いたイメージをそのまま現実に再現することが出来ると言われている

が、描くイメージの強さ、つまり魔法の規模と取り込む魔素の量は比例するため、強力な魔法をイメージしても、取り込んだ魔素の量が足りないと魔法は放てない

また、魔素を取り込める量には個人差があり、それがそのまま魔法の出力量に影響するため、魔法の威力には個人差が大きく出る

かつて古代文明期の人は、莫大な魔素を取り込み、自在に魔法を操ったという

だが、今を生きる我々は、大量の魔素を取り込むことが出来ない

何故太古の人々に出来て、現代人に出来ないのかについては、様々な研究や解析が行われているが、未だ解明されていない

また、魔法は人間だけでなく、一部のモンスターも扱うことが出来る

モンスターの中には、高度な知能を有する人型の個体も存在する

そういったモンスターが魔法を使うのだが、明らかに知能など無さそうなモンスターも魔法を使うことがあるため、そもそも魔法を使える条件や基準についても、今一つ解明されていない


(………)


中々に興味深いことが書かれていた

誰にでも使えるということは、自分も魔法が使えるのだろうか

だが、魔素を取り込むということを当たり前のように書いてあるが、はっきりいって何の事だか解らない

そもそも魔素とは何だ?

どうやって体内に取り込むんだ?

そのあたりについて、この本には書かれていない

ふと本から顔を上げて、視線を中空に漂わせてみる

今視界に映っている大気中に、魔素とやらがあるらしいが、まったく知覚することが出来ない

呼吸によって取り入れるのだろうか、それならば、既に体内に魔素は巡っているはずだ

頭の中でイメージしてみる

余り派手でないものを、指先に火が灯るイメージをしてみる

指先をじっと見て念じてみる


(………)


何も起こらなかった

どうやら呼吸によって取り込むものではないようだ

それとも、イメージの仕方が悪いのだろうか、判断材料が足りないため、今の段階では今一つ解らない

適当に、前の席に座っている人に尋ねてみよう


「なぁ、少しいいか」


「あ、あたし?何ですか?」


急に声をかけたからだろうか、声をかけた女性は少し驚いたように返事をした


「あぁ、少し訊きたいことがある、魔法概論という本を読んでいたんだが、魔法とはどうすれば発動するんだ?魔素を取り込むとはどういうことだ?」


「え…?魔法をどう使うかって…」


目の前の女性は困惑の表情を浮かべている

この様子だと、この女性は知らないようだ

訊く相手を間違えたか、魔法は人間なら誰でも使えると書いてあったが、何か特殊な訓練や知識が必要なのかもしれない

そういった訓練や知識を経ると、誰でも使えるということだろうか


「貴方はどうやって呼吸をしているか、どうやって心臓を動かしているのか説明できます?出来ないでしょう?感覚的なことだから、説明の仕様がないといいますか」


「!?」


「というか妙なことを訊いてきますね、まるで魔法を知らないみたいな…」


「い、いや、変な事を訊いたな、何でもないんだ、気にしないでくれ」


オウドはそう言い、足早にその場を後にした


「どういうことだ?あの言い方だと、魔法は特に意識せずとも、それこそ本当に誰でも使えるということだ。だが俺には魔法の使い方がさっぱり解らない、何故だ?俺に記憶が無いせいなのだろうか」


2階から下りてきて、協会から外に出ながら、オウドは考えていた

だが一向に答えは出ない

しかし、魔法が使えないからと言って今のところ困るようなことはないし、今すぐに解決すべき問題でもないので、これについて考えるのは一度止めた

今はあの建物へもう一度行ってみて、その後会長かスヌゥとやらに会ってみようと思い、オウドは転送装置の場所まで歩きだした


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