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「とにかく、お前の件はアンナさんたち協会の職員に任せる。ま、お前も探索者として登録するのが妥当だろうがな、じゃあ、またな」


そう言い、イエロたち3人は協会を後にした

オウドは振り返らずにじゃあなとそっけなく返すと2階へと上がっていった


「思っていたよりも量が少ないな…」


2階は書庫になっているとのことだったが、あまり量は置いていないようだった

本棚が何個かあり、机と椅子が置いてある

数人の男女が疎らに椅子に座り本を眺めている

何人かがこちらを見て驚いたような顔をしたが直ぐに本に視線を戻した

自分の服装のせいかも知れない、珍しいというか変わった格好のようだし、だが替えの服は持っていないし、替える必要性を感じないため別な服に着替えようとは思わなかった

本棚の中はジャンルごとに整理されて置いてある、協会の職員が整理しているのだろうか

自分もさっそく、本棚から1冊取ってみる


世界の歴史の今昔


銃に関する本よりも、まずはこういった本を見た方が良いだろう

探していた都市、タレリアやセントクルセイド王国についての記述があるはずだ

椅子に座りさっそく読んでみる



かつて世界は、今以上にモンスターの脅威に晒されていた

力無き人々は蹂躙され、そのまま滅びの一途を辿ろうとしていた

人々は神に請うた

何故我々人間には力が無いのかと

我々が何をしたというのだ

何故滅ぼされねばならない、力が欲しい、何物にも負けない力が

人々は諦めた

もうどうすることも出来ないと

所詮モンスターと人間では、そもそも勝負になどなりえないのだと

日々死の恐怖に怯えてひっそりと暮らすくらいならいっそ、と

生きることを諦めた

だが中には

諦めない人がいた

足掻く人がいた

無駄と解りながらも、一矢報いようと必死にもがく人がいた

何か対抗策はないものか

奴らの強靭な皮膚を貫く矛はないか

奴らの鋭利な牙を、爪を防ぐ盾はないかと

一部の人々は必死で探した

このまま滅ぼされてたまるものかと、生き残る術を必死で探した

長い年月、必死に考え、試し、そしてそのことごとくが何の成果も上げなかった

それでも諦めずに、それこそ死に物狂いでも模索し、やがて1人の人間が生み出した

人間の牙を、盾を

それは必至の努力の賜物か、はたまた偶然か

ともかく人は、その瞬間モンスターに抗う力を得た

これを自在に使うことが出来れば、モンスター共とも対等に戦える

人間の尊厳を取り戻せると歓喜し、涙した

のちにこれらの技術はこうよばれる

神の御業―魔法―


この魔法により、人間は形勢を巻き返す

しかし、今までの圧倒的に不利な状況から、全てのモンスターを完全に駆逐することは出来ず、モンスターの数を減らし、追い払うまでに留まった

それから人間たちは急速に活気を取り戻していく

魔法は個人差こそあるが、全ての人間が使うことが出来たのだ

これにより、モンスターに怯えることなく、各場所での交易が行えるようになり、集落が大きくなり、村、街を経て幾つもの国が出来て行った

こうして世界は瞬く間に発展していくことになる


しかし


栄華を極めた文明は一度滅びることになる

何故滅びたのか、今も真相は定かではない

曰く魔王が現れ滅ぼされたと

曰く高度に発達しすぎた文明により自滅したと

曰く1人の人間による裏切りが発端だったと

諸説あるが、どれが真実なのかは、今残っている文献からは断定出来ない

ともかく国は、世界は滅びた、影も形も無く。だがセントクルセイド王国跡地など、大国であった場所は遺跡として残っている

所謂古代都市と呼ばれるものがそれだ

昔は様々な場所に国や都市が存在したが、今ではもう国は無く、各地に都市が点在しているのみである

この本も、古代都市に残っていた数少ない文献を元に作られている


(………)


本を読んでいたオウドは言葉が出なかった

セントクルセイド王国は、都市タレリアはとうの昔に滅んだ古代都市だというではないか

一体どうなっているのか

だが、同時に納得もした

終末の森で、転送装置にタレリアに転送してくれと頼んだとき、転送装置はそのような場所は見つかりませんでしたと言っていた

既に滅び、無くなった都市へ転送してくれと言っても出来ないのは当然だ、何せもう存在していないのだから


(どうするか…本格的に記憶に信憑性がなくなってきたな…そういえば、あの建物を出た後薬草を見つけたな、マジックポーションの材料になる薬草だと、何故覚えているのかと自分でも不思議だったが…今度はそういった図鑑でも見てみるか、何か他にも覚えているかも知れない)


オウドは椅子から立ち上がり、読んでいた本を棚に戻し、今度は図鑑を手に取ってみる

図鑑とだけ書かれたシンプルな表紙だ

全てこの1冊に纏めているのか、随分と分厚くなっている

表紙を捲ってみると、目次になっているようで

動植物編、道具編、武具編、モンスター編などと分類されている


(これは…全てのページを見るのは時間が掛かりすぎるな…少し流し読みして、また今度じっくり見よう)


オウドはそう思い、適当に流し読んでいく

ふと、あるページで既視感を覚えた、どこかで見たことのある形状だ


(これは…そうだ、あの男、イエロが腰に差していた金属の板だ)


玉鋼とある特殊な鉱石を一定の割合で調合し鍛えて作られた片刃の剣

玉鋼はとても希少で加工が難しいが、切れ味は抜群

特殊な鉱石については割愛(乱獲を防ぐため)

鉄刀系の武器では最上位に位置する武器で、刀を扱う者ならだれしも一度は振るってみたいと思う武器である

この刀を打った鍛冶師が名前を付けていないため、固有名は無い


(何だあの板はと思ったが、武器だったのか…)


説明を見ながらオウドは1人納得した


(いやまて、こんなものはどうでもいいんだ、この図鑑には銃に関する情報は載っているのか?)


オウドは武具の欄を捲っていく、すると見つけた

腰のホルスターにある銃とよく似た絵が載っている


古代兵器

文明が滅ぶ前の世界で使われていたと推測される道具の総称

現在の技術では再現不可能という点で見れば、各都市や危険区域、ダンジョンに設置されている転送装置も広義的には古代兵器に分類される

絶対数が少ないのか、どこかに大量にあるのかは不明だが、現在確認されている古代兵器の数は非常に少なく、今のところ銃型の古代兵器しか発見されていない

そのほとんどが、片手で持てる程度の小さな形状にも関わらず、恐るべき威力を誇るものばかりである

古代兵器に関してはいまいち解明されていないことが多く

そもそも銃口から何が射出されているのか、何故壊れたり風化しないのかなど、不明な点が多い


(載っていたには載っていたが…結局ほとんど解っていないのか)


古代兵器に関しては未だ不明な点が多いためか、大した情報は載っていないようで、オウドは落胆した

だが収穫というか、新たな疑問が出てきた

自分が今持っているこの銃はまず間違いなく古代兵器だろう、図鑑の説明と類似する点が多々ある

では何故、こんなものが自分が眠っていたカプセルに置いてあったのだろうか

もう一度、あの建物へ行きよく調べてみた方が良い気がする


(よし、もう一度、あの建物まで行ってみよう、あの森、終末の森はS級危険区域ということらしいが、あの時は危険なモンスターになんて遭遇しなかったし、もし遭遇しても、この銃があれば問題ないだろう。だがまだ魔法に関する本など、気になる本があるからな、それらを読み終えたら行くか)


オウドははそう思い、今一度あの建物へ行こうと考えをまとめた

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