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初めての転送とやらは妙な感覚だった

さっきまで、確かに森の入口にいたはずなのに一瞬で景色が切り替わる

一体どういった技術で行われているのか


「ここが俺たちが住んでいる都市バルフレア、その出入口だ。モンスター共から守るために、都市は石垣に囲まれているんだ」


そうイエロに言われ周囲を見渡してみる

確かに、出入口だというのに辺りは全て石垣に囲まれている。都市が360度全て囲われているということは、この転送装置を使うか空からしかこの都市には入れないようだ

転送装置の奥に目を向けると、看板が建てられていた

このまま真っ直ぐ進むと道が3つに分かれ、そのまま奥へ行くと生活区、左に行くと商業区、右に行くと工業区とギルド協会の場所となっているらしい


「さて、早速だが協会へ来てもらうぞ」


「銃に関する書物は…「それも協会にあるんだよ、早く行こうぜ」


オウドの発言を遮ってイエロが促す

オウドは無言でイエロたち3人に付いて行く


「ここが探索者ギルド協会だ」


出入り口から少し歩いていくと一行は協会に付いた

協会でクエストを受けてから直ぐに行けるようにと、出入り口、つまり転送装置と協会の場所は近くに配置されている


「ここか…」


そう言い、オウドは協会を見上げる

2階建てのこの建物は基本的に木で出来ており、所々に鉄が使われているようだ


(そういえば自分が眠っていたあの建物は何で出来ていたのだろうか、木でも鉄でもなかったように思う。あの時は建物の材質など気にも留めなかったが、こうして比べるものがあると気になってくるな…まぁ、とり会えず今はいいか)


そうして4人は協会の扉を潜る

一階部分には数人の探索者と思われる人物がボード上の紙を見て唸っている

横には木のデスクを境に、1人の女性が立っている

ここから見える限りでは、書物のようなものは見当たらない

本当にここにあるのだろかとオウドが訝しんでいると、ボードを眺めていた1人の探索者らしき人物が話しかけてきた


「流石はS級探索者様だな、クエストに行ったかと思ったらもう帰ってきやがった、流石じゃねぇか。ところでそこの奇妙な格好した奴は誰だ?見慣れねぇな」


「グレッグか、あぁ、色々あってな、クエストは中止だ。ところでアンナさん、会長は今何処に居るか分かるか?」


皮肉とも取れる物言いをしてきた男はグレッグという

A級探索者で、前から何かと食って掛かる奴であった

自分よりも遅くに探索者登録をしたのに、あっさりと自分のランクを超えた自分たちが気に食わないようだ

グレッグの発言を軽く流し、受付嬢のアンナへと問い掛ける


「すみません、会長は相変わらず何処にいるのか…。というかスヌゥさんじゃないですかお久しぶりです、どうしたんですかその黒髪は」


「おい、今スヌゥと言ったな、スヌゥを知っているのか、詳しく話せ」


オウドはデスクから身を乗り出しアンナの胸倉に掴み掛り問いただす


「な、何を…くっ苦しい…」


「おいオウド!いきなりどうしたんだ、やめろ!」


イエロが間に入り手を引き離すと、アンナが咳き込みながら話し出す


「ゲホッ貴方はスヌゥさんじゃなかったんですね…その黒髪以外とても似ていたので、ゲホッ気に障ったのならすみませんでした」


「いや、俺の方こそ急にすまなかった」


「俺はそのスヌゥって人に会ったことないけど…そんなに似てるのか?」


「ねぇオウド、何で似てるって言われてそんなに怒ったの?何か訳ありだったり?」


アレクとクレアが訊いてくる


「オウド…俺たちはまだ、お前のことをほとんど何も知らない。本当は会長にも同席してもらいたかったがいないんじゃ仕方がない、話してもらうぞ、お前のこと。ここじゃなんだ、個室へ移動しよう」


個室に移動しながらオウドは話してしまって良いものか一瞬考えたが、ここで変に隠す方が怪しいと思い話すことにした



「「…」」


話を聞き終えた皆は沈黙していた

あまりのぶっ飛んだ話に頭が付いて行かないためだ

曰く、自分は記憶喪失で、終末の森にある建物の中で目を覚まし、飲まず食わずで一切睡眠を取ることなく森の入口まで歩いてきたと

目を覚ました場所に服と銃があったから持ってきたのだと

妙なカプセルの中で目を覚ましたことや、隣のカプセルにスヌゥと書かれていたことは伏せて話した

何となく話さない方が良いと思ったためだ


「とにかく…」


沈黙を破ってイエロが話し出す


「その建物を調べてみるのがよさそうだが…本当に終末の森にそんな建物があるのか?確かに、終末の森は全ての場所が踏破され探索されているわけではないが…」


「話せることは話した、俺からも質問をいいか?スヌゥとは、会長とは誰だ?」


「それについては私から…」


先程の件があったばかりなためか、若干怯えた目をしながらアンナが話し出す


「スヌゥさんはとても希少なSS級探索者です、貴方のような…えっと、オウドさんでしたっけ?貴方と同じような服を着ていて、真っ白な髪と素手で戦うことが特徴な人です。普段は各地を飛び回り様々なモンスターを狩っているそうです、私もお会いしたのは数回だけですが。本当に、髪の色以外そっくりだったもので…」


「そして会長ですが、名前の通りこの探索者ギルド協会の会長です。いつもどこで何やってるのかとか仕事してくださいとか何で老けないのかとか色々言われている変わった方です。こちらも普段から留守にしていることが多く、実際は協会の職員だけで運営しているようなものです。会長も貴方やスヌゥさんと同じような、会長はすーつとか言っていましたが、そんな変わった格好の方です。入口の上に肖像画が飾ってありますよ、邪魔なので撤去したいですが」


言われてオウドは振り返り、入ってきた扉の上に視線を向けた


(………)

灰色の髪をした、アンナ曰くスーツと言われる服を着た男が描かれていた

確かに、自分の格好ととても似ている

肖像画を見た瞬間、なぜかそれがひどく懐かしく思えた

ずっとこうして眺めていたくなるような…


「この方は…」


「何だって?声が小さくて聞こえなかったぞ?」


つい口に出ていたらしい

小さく呟く程度だったようで、何て言ったのかまではは分からなかったようだ

自分でも何故こんな感情が湧いてくるのか解らない

何故だ、この人物に会えば何かが解るのだろうか

俺とこの人物の関係は?スヌゥとは?

解らない…


(直接会ってみれば解ることか)


ここであれこれ考えていても無駄だと判断し、悩むことを止めた


「…い、おい、どうしたんだよオウド!肖像画見て急に固まっちまって」


「あ…あぁ、すまない、何でもない」


「何でも無いわけあるかよ、さっきのお前は少し異常だったぞ?呼びかけても全く反応しないで、ずっと肖像画を凝視していたんだからな」


どうやら大分不信に思われてしまったようだ


「いや…自分でも何故だか解らないんだ」


「そうか…お前記憶喪失なんだよな、覚えていないだけで、前に会ったことがあるのかもな」


「まぁとにかくさ、オウドのことは協会の職員に任せて、俺たちはまたクエストやり直そうぜ!」


「先に言っておくが俺はあの森には行かないからな、ここで調べものをする方が先決だ。それに、建物からはかなり適当に歩いてきたから、道案内をしろと言われても出来ないぞ」


「そうか…まぁ、俺たちは俺たちでクエスト行いがてら、その建物があるかどうか少し探ってみるよ、もちろん、危険だから森の奥へは行かないけどな」


「そうか、ならここでお別れだな、アンナと言ったか、この協会には書庫のようなものがあるのか?ここから見える範囲にはそれらしいものは無さそうなんだが」


「書庫は2階になっています、探索者でなくても読めますのでご自由にご利用ください。ただし、持ち出しは厳禁、紛失や傷をつけた場合は罰金ですのでご注意ください」


「本当に短い付き合いになっちゃったね、ま、縁があったらまた会いましょうね」


そうして、オウドと3人は別れて行った

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