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1話目は森の中で

山について書いてますが、私の持論ですので軽くスルーして頂ければと思います。



大の大人が十人くらいでやっと囲めるような巨木が立ち並んでいる。日は差し込んでいるものの、木々によって辺りはほの暗い。そんな中で俺は今、すぐ近くの木の根本に腰を落ち着けている。

噎せ返りそうなほど濃密で生命力に溢れた緑の中で、ともすればパニックになりそうに暴れる心臓を静めようとしていた。



森は怖い。山で育ち、自然と共に生きてきた祖母は何度も俺に言い聞かせてきた。


「迷ったら、絶対に冷静さを失うな」


「心に余裕がなくなったら死ぬと思え」


実際に、まだ幼い頃山で迷子になった時は泣きながら必死に言われたことを繰り返し唱えていた。刷り込みのようなもので暗唱すら出来るようになっていたから、精神安定剤となってくれた。

村の男衆が山狩りして俺を見つけてくれた時もパニックに陥って崖から落ちたり、酷い怪我を負わなかったのも、ひとえに祖母のお陰なのだ。彼女のお陰であの時死なずに済んだしな。


「とにかく、状況を把握しないと」


でかい一人言みたいだけど、声に出してみるってのはすごく大事だ。思考して言葉にしなくちゃいけないから嫌でも冷静になれる。


「学校では特に何もなかったし、帰ってる時もそうだったよな…。じゃあ、やっぱ玄関、か」


ここに来る直前に触ったのが玄関の扉だった。原因なんてそれしかない。

年季の入った引き戸、防犯のために新しく付け替えた鍵、磨りガラスの向こうでぼんやりと白く光る何か…ん?これじゃないか?

俺ん家の玄関の向こう側は三和土になっていて框がある。明かりもあるが、俺とほぼ同じ目線の位置にはない。まず家を出る時はスイッチを入れてないから点いてるはずもないのだが。


気が付いていたら、多分この事態は避けられていた。そう考えると俺の注意が足らなかったと言われてもこれは反論の余地がない。


「うーわぁ…気付けよ俺…」


思わずため息も出てしまう。これからは気を付けることを決意した。



いつまでも自己嫌悪に陥ってるだけじゃ解決しないし、まず自分の荷物を再確認しよう。最悪ここ抜けるのに何度か野宿する必要だってあるかもしれない。


「バッグも一緒に飛ばされたのは不幸中の幸いだな…」


まずバッグの中には世界史と古典の教科書とノート、和英辞典、ルーズリーフ、下敷き、筆箱と業務用カッター、空の弁当箱とお茶、駄菓子類、学生証、学校指定のセーター、あとは祖母に貰った守り刀。

ポケットにはウォー○マンとイヤホンが入っていた。


ノートとかは何かをメモったり記録するのに使えそうだ。お茶も開けてないから水分はある。ただ食べるものは駄菓子しかないから探す必要があるな。



「刀とカッターは…護身用?いざとなったら狩りの方向でいこう」


自分で仕留めたことはないけど、害獣になった猪や鹿を駆除するのは手伝わされた。したくないが、背に腹は変えられない。だって死にたくないしな。

セーターは寝るときに使おう、暖かいけど夜は冷える可能性もある。結構何とかなりそうだ。



元のようにバッグを背負い立ち上がる。今は空の色からして、夕方になりつつある。荷物確認に時間を取りすぎたかもしれない。

何にせよ、少しでも安全な場所で寝たい。地面に直に寝ても汚れたり濡れたりの心配はないようだけど、身を隠せるような所はないだろうか。獣の姿こそ見てないが鳴き声や羽ばたく音、繁みがガサガサ揺れる音は何回かあった。


「よし…とにかく今は寝床を探すか」


右手に刀を持って、俺は深い森を歩き出した。

主人公くんの名前また出ませんでした…oh

次こそは出したいです

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