プロローグは玄関の先で
その日はいつも通りの一日だった。何も特別なことが起こった訳でもない。
普段と同じように勉強をしたり、食事をとったり、友達と笑い合っていた。ただ、それだけだったんだ。
だからこそ。
学校から帰宅し、玄関の扉を開けた向こうの景色に思わず絶句してしまったのも、仕方ないだろう?
さて唐突だが、トリップをする方法として大きく三つあると思う。
まず一つ目は召喚型トリップ。異世界の勇者や聖女…多くは救世主という立場での場合だが、一番よくあるものだろう。
稀に魔族の長、魔王やモンスターのゴブリンやドラゴンとして招かれることもある。召喚された人物の近くにいたり接触していた、まぁ不運というべきか巻き込まれ型もこれに当てはまる。
次に転生型トリップ。大体は何らかの方法で死んだあとに異世界にて産まれ変わるか、生前のまま放り出されるかのニつだ。因みに一度死を体験してから、と勝手に思っている
生き方は正に十人十色、凄腕ハンターとして名を馳せたり国一番の魔術師として崇められたり。はたまた平々凡々な農民として極平和に暮らしたりである。
最後の三つ目は、瞬きをしたら、朝目覚めたら、扉を開けたら、など死を挟まないトリップだ。何がきっかけになるかは分からない。
上げた三つの中でも一番の自由さと不便さがあると思う。
召喚・転生はともかくも言語や文化レベルで異世界に送られることが大多数だからだ。その替わりのように国や世界を救う使命や義務などに縛られずに生きられる。
何故こんなに長々と説明したのか、それは自分がその一つ目をたった今、体験したからだった。
「……何で俺、森ん中いんだよ」
玄関を開けた先。そこは見たことも聞いたこともないほど巨大な木が無数に立った、森の中でした。
処女作にして初連載、ちょっとした矛盾などには目を瞑って頂ければ幸いです。