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ノア・アーク ― 神々と人が生きる方舟 ―  作者: ヤノチャン
1章 方舟ノアの行先は…

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バン中佐は頭が痛い②


ー バン中佐は頭が痛い② ー


「今日はもう帰って飯食って早く寝ろよ!酒は飲むな!明日も朝8000に滑走路後部ハッチ前に集合、

明日は下に降りる、今日はしっかり休め!解散!」


バン中佐は笑顔で整備兵達に言う。


ー 翌日 後部ハッチ前 ー


今日も仕事はラジオ体操から始まる。


体操の後は安全唱和、ここまでがセットである。


" ひとつ!安全は全てに優先する!

 ひとつ!危険な作業はしないさせない!

 ひとつ!災害要因の先取り!

 ひとつ!ルールは守る、守らせる!

 ひとつ!自ら努力する! 今日も1日ご安全に!"


この後ミーティングが終わり次第作業が始まる。


「今日は下に降りる、気を引き締めていけ」

バン中佐は大声で周知する。


主機整備第二工程。

上部カバーを外した後、次は内部点検整備。


"ここから先は遊びじゃない"


整備兵たちは滑走路下のアクセス区画から

作業用エレベーターに乗り込んだ。


ゆっくりと、下降。


金属音。

振動。

ノアの鼓動が、足元から伝わってくる。


エレベーターはどんどん下っていく…


若手の一人が呟く。


「まだ半分だ」


バンは腕を組んだまま、前を見ている。


エレベーターが停止した。


扉が開く。


そこから先は、

直立梯子300メートル。


下を覗くと、底は見えない。

青白い光が、はるか下で脈打っている。


「降りるぞ。三点支持、焦るな。下は絶対に見るな。落ちたら助からん」


金属製の梯子に足をかける。


一段、また一段。


呼吸が荒くなる。 腕が震える。 汗が背中を伝う。


工具運搬ドローンが颯爽と追い抜いていく。


途中、若手の一人が足を滑らせかけた。


「止まれ!!」


バンの一喝。


全員が静止。


「下を見るなと言っただろ、見ていいのは次の段だけだ」


静かな声だった。

怒鳴らない。


その方が、怖い。


再び、降下。


やがて…


「艦底到達」


床に足がついた瞬間、

思わず全員が息を吐いた。


そこは巨大な空洞。

主機の下部循環炉が、

まるで生き物のように光っている。


エネルギー流路が脈打ち、

低音が骨に響く。


「総員安全帯を外せ」


若手が一瞬戸惑う。


「え?」


「狭所区画に入る。安全帯は引っかかる。巻き込まれたら終わりだ」


ここから先は安全に守られる場所じゃない。


主機内部の冷却フィンの隙間は人が一人通れるかどうか。


「主電は落としているから無いとは思うが安全帯が機構部に引っかかれば、一瞬で体ごと持っていかれる。」


カチリ、と金具を外す音が続く。


命綱なし。


「ここからは自分の判断が命綱だ」


バンや各班の隊長達が先頭に立つ。


「触る前に見る。

 動く前に考える。

 怖いと思ったら止まれ」


若手が震える声で言う。


「中佐…これを毎回やってるんですか」


「いや、ノアでこの規模は初めてだ」


「怖くないんですか」


バンは少しだけ笑った。


「そりゃ…怖いよ」


その一言で、空気が変わる。


怖くない人間の言葉より、

ずっと信じられる。


狭い整備区画へ身体を滑り込ませる。


主機の鼓動がすぐ横を流れる。


若手の1人が、小さく呟いた。


「……ノア、生きてますね」


「当たり前だ」


バンは工具を差し込みながら言う。


「俺たちが生かしてる」


整備開始。


狭い空間。

汗。

振動。

わずかなミスも許されない作業。


その最中、

微かに警告音が鳴った。


全員の動きが止まる。


「冷却制御、機能してません。」


若手の報告。


バンの額に汗が滲む。


「落ち着け班に分かれて原因を探せ。」


バンはタブレットを開き説明書を読み始める。

「はぁ、やる事が多すぎる…」


艦底300メートル。


そこは、

神も神帝もいない場所。


ただ、人間が

巨大な心臓を支えている場所だった。




今回は前回の続きを書いてみました。

主機、ノアの心臓…

その内部に入り作業する機関運用技術部隊…

書いていて楽しかったです。


船のエンジン内に入って油まみれになって働いていた時が懐かしい…


もう1話ぐらい行けたらなと思います。


次回もよろしくお願い致します。

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