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ノア・アーク ― 神々と人が生きる方舟 ―  作者: ヤノチャン
1章 方舟ノアの行先は…

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バン中佐が頭が痛い①


ー バン中佐は頭が痛い① ー


"ノア"地球7日目


我々、機関運用技術部隊の朝早い。

いつも通りラジオ体操をし今日も仕事が始まる…


「…よし、開けるぞ」


左舷が滑走路後部中央よりNo.3ハッチが、低い振動とともに左右へ開いていく。


ノア艦内ドックは珍しく水が抜かれる。

今回は大きな工事になりそうだ…


ノアの心臓部――

主機関室・上部アクセスシャフト。


そこへ降ろされるのは、6機の整備用ヘリ。

ワイヤーに吊られた巨大な主機カバーを、同時に持ち上げる。


「タイミングを合わせろ!ズレると歪むぞ!」


怒鳴ったのは、機関運用技術部隊・バン中佐。


彼はこの道30年の技術者、

司令になった今も現場にいる、ノアの主機に関しては誰よりもうるさい男だ。


「3番機、テンション上げすぎだ!

 2番機、下げろ下げろ下げろ!」


6機のヘリが微妙に揺れる。

主機カバーがギギギ……と嫌な音を立てた。


「止めろ止めろ止めろ!!」


全機ウインチを停止。


静寂。


整備兵の一人が、震え声で言う。

「報告です、あの、いま、ちょっとだけ擦れました」


バン中佐はゆっくり振り返る。


「“ちょっと”って言ったな?」


「はい」


「それが命取りになるのが主機だ、主機にちょっともクソもねーんだよ!」


整備兵たちは一斉に背筋を伸ばす。


今回の作業は、若手整備兵の初主機整備。

教育訓練も兼ねている。


「いいか、主機はノアの心臓だ。戦闘よりも、外交よりも、まずこれが動かなきゃ全部終わりだ」


そう言いながら、バンは自ら工具を取り、

ヘリのワイヤーバランスを微調整する。


「中佐、工具落としてしまいました。」


「今すぐ拾ってこい!下に落ちたら終わりだ!下の奴らに当たったらどうするつもりだ!」


「吸い込み防止フィールド入れてます!」


「だからって信用するな!!言い訳より早く拾ってこい!」


若手の一人が、緊張でボルトを逆回しする。


「違う逆だ逆!時計回りだ!お前それ三回目だぞ!」


「す、すみません!」


「謝るな、覚えろ!」


バンのこめかみがぴくぴくと動く。


6機のヘリが慎重にカバーを持ち上げ、

ようやく主機上部が姿を現す。


青白い光。

脈打つエネルギー循環路。


若手整備兵の一人が、思わず息を呑む。


「…すげぇ」


その一言で、空気が少し変わった。


バンは腕を組み、低く言う。


「これを触るってことはな。ノアを触るってことだ主機は人間で言う"心臓"だ。」


全員が静かになる。


「ヘマはする。最初は全員する。俺もやった。」


「えっ」


「でもな」


バンは整備兵達を見回す。


「ここでは、2回同じヘマはするな」


若手が力強くうなずく。


―その直後。


"ガシャ、カランカラン…ガシャン!"


バンの頭の中で、何かが切れた。


「はぁ…誰や… 」

いつもは優しい軍曹が鬼のような顔で整備兵を睨みつける。


全員が視線を逸らす。


バンは深く、深く息を吸った。


「今日の1700技術部会議室集合、全員、工具管理の座学だ」


「えええぇ!?」


「ノアは甘くない!」


そう怒鳴りながらも、

バンの目はどこか誇らしかった。


「はぁ、疲れた、色々ありすぎて頭が痛い…」

バンはとうに酸化したブラックコーヒーを一気に飲み干し会議室に向かうのであった。


(続)


今日はノア、主機の整備始めを書いてみました。

実は私は新卒から2年程造船会社で機関据付や調整、運転の仕事を作業員としてしていました。

当日の事を思い出し書いてみました。先輩怖かったな〜


次回も続きを書いていきたいと思います。

次回もよろしくお願い致します。

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