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ノア・アーク ― 神々と人が生きる方舟 ―  作者: ヤノチャン
4章 神格境界(しんかくきょうかい)

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堕天、乗艦


ー 堕天、乗艦 ー


海王星神域。


戦いの余波がようやく鎮まり、円卓は解体され始めていた。

三十柱の神々は、それぞれの神域へ帰還していく。


だが今回は、ただの別れではない。


“時代の分岐点”を越えた後の解散だった。


別れ際"ポセイドン"が豪快に笑う。


「神帝達よ…また遊びに来い。次は潮が荒れる前にな。」


キングが苦笑する。


雷光が瞬く。


"ゼウス"がタカヤを見下ろす。


「面白い神帝だ。我が弟子が迷惑をかけた。」


場が静まる。


「ダヴィンチは我が育てた。知を授け、力を伸ばした。だが…」


雷がわずかに震える。


「道を選んだのはあやつ自身だ。」


タカヤは静かに答える。


「次は止めます。」


ゼウスは小さく笑う。


「止められるならな。」


雷鳴と共に消えた。


"天照大御神"が穏やかに言う。


「焦るでない。

夜が長いほど、夜明けは眩しい。」


菅原道真はタカヤの目を見て笑いかける。


言葉は無い。


タカヤは軽く頭を下げる。


神々は光となり、それぞれの神域へ散っていった。


最後に残ったのはパンドラ。


彼女は迷わずノアから降りてきたヒメナの元へ歩いてくる。


ヒメナは少しだけ口元を緩めた。


「久しぶりですね。」


パンドラは笑う。


「相変わらず堅いわね、ヒメちゃん。」


キングが小声で。


「ヒメちゃん……?」


ヒメナは軽く咳払いする。


「昔、少し縁がありまして。」


パンドラはヒメナの肩に触れる。


「ノア、また立派になったじゃない。

この調子で頼んだよ…」


ヒメナは静かに答える。


「私だけではありません…ノアの乗組員かぞく皆んなのおかげです…」


パンドラはくすっと笑う。


「そうね…」


少し真顔になる。


「ヒメちゃん。

これからはもっと揺れるわ。」


「覚悟はできています。」


パンドラは神帝達を見てから、ヒメナにだけ小さく囁く。


「彼等を支えてあげなさい。」


ヒメナは迷いなく頷く。


「分かっています。」


二人の間には、戦友のような空気があった。


パンドラは後ろへ下がる。


「また遊びに来るわ。次はちゃんとお茶くらい出してね、ヒメちゃん。」


「特等席をご用意します。」


パンドラは満足げに笑い、光の粒子となって消えた。


ルシファーが遠くで退屈そうに呟く。


「女神同士は話が長いのう。」


キングが笑う。


タカヤは宇宙を見上げる。


神々は去った。


だが、物語は終わっていない。


神格再編機関。

覚醒したダヴィンチ。

そして、ノア。


ヒメナは小さく呟く。


「……行きましょう。」


ー 堕天使の同行 ー


神々の集いが解散し、神殿外縁はようやく静けさを取り戻していた。


戦いの余波で砕けた結界の残滓が、まだ宙に漂っている。


その中心に立つのは、黒翼を畳んだ

ルシファー。


タカヤ達神帝は、無言で彼を見つめていた。


カイオオが口を開く。


「……さっきのは助かった。我が星をお守りいただきありがとうございます。」


ルシファーは鼻で笑う。


「勘違いするな。面白そうだっただけだ。」


タカヤが一歩前へ出る。


「ダヴィンチを止められなかった。」


「止める必要はない。」


その言葉に、全員が顔を上げる。


ルシファーはタカヤを見る。


「お前達は弱くはない。」


一瞬の沈黙。


「ただ…戦いを変えていかないとな。」


タカヤの瞳が揺れる。


「……どういう意味だ。」


「神格再編機関は“正面から潰す相手”ではない。

思想だ。構造だ。流れだ。」


黒翼がわずかに広がる。


「力比べでは勝てぬ。戦場そのものを変えよ。」


その時。


ルシファーはふっと笑った。


「そーじゃ。」


全員が嫌な予感を覚える。


「我がノアに同行してやる。」


「はぁ!?」


アイズが素で声を上げる。


モックが絶句し、メインが頭を抱える。


タカヤも珍しく固まった。


「……本気か。」


「退屈だからな。」


さらりと言う。


「それに、お前達はまだ“未完成”だ。

完成するまで見届けてやる。」



その後 ー ノア会議室。


ヒメナを中心に幹部達が集められる。


ヒメナが額を押さえる。


「……堕天使が乗艦?」


副司令シャルルが真顔で言う。


「戦力としては宇宙規模だがな……」


艦長オダイが小声で。


「問題は船が持つかどうか。」


ノアの乗組員達は少しワクワクしている。


「面白そうじゃん。」


ルシファーは椅子に深く腰掛け、足を組む。


「歓迎せぬのか?」


ヒメナはじっと見つめる。


「目的は?」


「暇つぶし。堕天使はやる事がない…暇じゃ」


全員が同時にため息をつく。


だがヒメナはすぐに切り替えた。


「条件があります。」


ルシファーの目が光る。


「言ってみよ。」


「ノアの指揮系統には干渉しないこと。

 勝手な戦闘行為は禁止。

 艦内破壊も当然禁止。

 最後に貴方はノアの最終防衛ラインとしてノアを  守護する事…」


「つまらぬ縛りだな。」


「守れないならお断りです。」


数秒の沈黙。


そして――


「よかろう。」


あっさり承諾。


ヒメナは小さく息を吐く。


「……では暫定的に、特別顧問という形で。」


誰かがぼそりと。


「特別“災厄”顧問の間違いだろ。」


ルシファーは笑う。


タカヤはその様子を見ながら思う。


神格再編機関。

覚醒したダヴィンチ。

そして堕天使の同行。


戦いは確実に、次の段階へ進んだ。


ルシファーが最後に呟く。


「さて…

 戦いを変えるとしようか。」


ノアは、新たな運命を乗せて動き出す


(続)



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