神々の集い①
ー 神々の集い① ー
開催地:海王星・蒼天神殿
太陽系最外縁、蒼く輝く氷の巨星――海王星。
その大気圏上層、重力を制御した浮遊神殿「蒼天神殿」にて、不定期で行われるの神々の会合が開かれようとしていた。
濃紺の嵐を背に、黄金の光が差す。
最初に姿を現したのは、宇宙連合の主神"絶対神"パンドラ。
その後方から、灼熱の光柱とともに降臨する太陽の王ラー。
白き神衣をまとい、静かに空間を開いて現れたのは天照大神。
深海色の神威を纏い、水の槍を従えて現界したのはポセイドン。
そして学問と雷の気配を宿す知の神、菅原道真。
八百万の神々が、光の円卓を囲む。
だが今回は祝宴ではない。
議題はただ一つ。
「宙皇帝エルド・ノヴァの動向」
神々の沈黙を破ったのはラーだった。
「太陽系に帝神が侵入している。
もはや人類だけの問題ではない。」
天照が静かに頷く。
「星々の均衡が乱れております。」
「その話は皆が揃った時にしましょう…」
パンドラは言う。
その瞬間、神殿外縁に艦影が現れる。
ひと月前まで宙帝と交戦していた宇宙母艦ノア、漆黒の高速ミサイル艇部隊、無人護衛艦隊。
非公式輸送艇スレイプニルを含む複数の艦が、神殿周囲に展開。
統合司令キドウ・ヒメナはが低く告げる。
「戦争の次は神様方の警護か…」
「ノア、護衛配置完了。神域空間、異常なし。」
さらに空間の歪みが三つ。
海王星の王 神帝カイオオ。
黄金の艦隊、金星の王 神帝キング。
そして冷徹な知性を宿す男、パンドラ神の側近
神帝ダヴィンチ。
神帝キングが神々へ一礼する。
「神々の会合、我らが命に代えて守る。」
「お久しぶりですね、皆さん…」
そこへやって来たのは神帝タカヤとメイン
「おぉー!タカヤとメインではないか!」
キングは笑顔で歩み寄るがダヴィンチは険しい顔をしていた…
ー 蒼天神殿・控えの間。
まだ他の神々は到着していない。
広い空間に差し込む青白い惑星光。
そこにいるのは二柱だけ。
天照大神は椅子の背にもたれ、足を軽く組んでいる。
堅苦しい雰囲気はない。光も少し柔らかい。
向かいに座る菅原道真は、きちんと正座に近い姿勢。
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「ねぇ道真。」
「はっ。」
「固いって。まだ会議始まってないよ?」
「いえ、いついかなる時も礼節は…」
「相変わらず真面目だねぇ。」
天照はくすっと笑う。
「天照様は日本の神の頂点でございますから…」
道真の表情がわずかに引き締まる。
「神帝のタカヤ、影響力は、日に日に強まっておりますね…」
「強いよねぇ、あの子。道真の土地の子でしょ?大出世だね。」
天照は天井の宇宙を見上げる。
「この前さ、宙帝の帝神を倒したって聞いたよ。」
「事実にございます。
しかし、力そのものより問題なのは“求心力”です。」
「人気者なんだ?」
「若き神々、そして一部の人類からも支持を得ております。」
天照は少し楽しそうに笑う。
「へぇー。カリスマってやつ?」
「恐れながら、そう言えるかと。」
沈黙。
海王星の光がゆらめく。
「ねぇ道真。」
「はい。」
「あなた、あの子のことどう思ってるの?」
一瞬の間。
「我が土地の子…」
「だけ?」
「眩しき存在でもございます。」
天照は目を細める。
「正直だね。」
「嘘は申せません。」
「怖い?」
「いえ、全く…ですが…」
「てすが?」
「期待はしております。」
天照は少しだけ驚く。
「へぇ。」
道真は視線を落とす。
「ただ、タカヤ達には真に神にはならず人間のまま生きてほしい…」
天照は立ち上がり、道真の前に歩み寄る。
金色の光がふわりと広がる。
「いいこと言うじゃん。」
「もったいなきお言葉……」
会議の時間が近い。
天照は深呼吸する。
「さて、そろそろ始まるね。」
道真は深く一礼。
「はい。神々の集いが。」
天照は最後にぽつりと言う。
「タカヤ、来るかな?」
神官がドアをノックし言う。
「天照様、菅原様、そろそろ開始致します。席にお座りください!」
ー 円卓 ー
「一席空いているがまぁいい…時期来るであろう。
そろそろ始めようか…」
パンドラの一声はその場を静寂にかえた。
(続)
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公開情報
・天照大御神
太陽を司る最高位の女神
・蒼天神殿
海王星にある神殿




