ミュージアムへようこそ!①
ー ミュージアムへようこそ!① ー
火星周辺での宙帝艦隊と宇宙戦より2日…
静かな鐘の音が鳴る。
宇宙空母"ノア"中央保存区画―
ノア・ミュージアム。
透明結晶ドームの向こうには、星々がゆっくり流れている。
だがこの空間だけは、時間が凍っているかのように静かだった。
戦車、航空機、潜水艦、絵画や大仏…
名もなき職人が打った刀、焼け残った書物。
「ようこそ、ノア・ミュージアムへ!」
柔らかな声が響く。
白と紺の司令服をまとった女性が、一歩前へ出る。
ノア副司令―
チョウカ・ナツキ中将。
彼女は神帝タカヤの従兄弟であり、同い年。
戦場を知る者でありながら、
今はこの艦と宇宙の“記憶”を守る責任者でもある。
「ここにあるのは兵器でも遺物でもありません。」
彼女は展示潜水艦の前で立ち止まる。
「これは“選択”の証です。」
訪問者たちは静かに耳を傾ける。
遠くで主砲の充填振動が微かに伝わる。
「人類は幾度も争い、幾度も立ち上がりました。
ここにあるものは、その過ちと希望の両方です。」
巨大な大仏の足元へと歩みを進める。
「戦うためにノアはある。
ですが――」
彼女は星空を見上げる。
「守るために、このミュージアムは存在します。」
ナツキは振り返り、静かに微笑んだ。
「ご安心を。ノアは沈みません。」
彼女は再び来館者へ向き直る。
「さあ、次は刀剣保存区画へ。
人が“守る”と決めた時、何を手に取ったのか。
その歴史をご案内します。」
その時…
重厚な扉がゆっくりと開いた。
入ってきたのは三人。
神帝タカヤ、神帝付秘書官ウォン、大神官ノノカ
「久しぶりに来たわ…」
タカヤの声が、広い空間に落ちる。
ナツキが言う
「タカヤが来るなんて…珍しいわね。」
二人は視線を合わせる。
従兄弟であるが違う役目を背負った者同士。
「自由に観てね…」
ナツキはそう言いその場を立ち去る。
⸻
最初に立ち止まったのは、Uボートの前。
ウォンが小さな声で呟く。
「巨大ですね…だが、時代に埋もれた兵器です。」
タカヤが静かに言う。
「ああ、でも、“挑戦”は残った。」
ノノカが潜水艦の解説パネルを読みながら呟く。
「水中から空へ……境界を越えた最初期の発想。」
ウォンは何も言わず、ただ艦体を見つめていた。
⸻
次は刀剣保存区画。
ガラスケースの中に、一本の刀。
「これは?」
ウォンが尋ねる。
「無名の刀匠の作。」
ノノカは答える。
「戦のために打たれた。でも、
守ると決めた人間が握った。」
タカヤが静かに言う。
「武器は、使う者の意思を映す。」
ノノカはわずかに微笑む。
「私の剣もいつかは…」
⸻
大仏の前。
三人は自然と足を止める。
星空と重なる巨大な仏像。
ウォンが小さく息をのむ。
「戦艦の中心に祈りがあるなんて……皮肉ですね。」
タカヤは空を見上げる。
「違う。」
静かな声。
「これは祈りじゃない。記憶だ。」
ノノカが横に並ぶ。
「忘れないための場所よ。」
タカヤはもう一度、ミュージアム全体を見渡す。
戦車。
航空機。
潜水艦。
刀。
そして、子どもたちが残していった小さなメモ。
“守るって、かっこいい。”
やっぱりいいね…
「俺たちの記憶や記録もいつかここに展示してもらう…」
タカヤ達は一言残してミュージアムを立ち去る…
ノアの内部では、文明が、静かに未来へ受け継がれていた。
モノレール、"中央保存区画駅"では子供達の声が聞こえる。
「ミュージアムだ!楽しみだね!」
(続)
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公開情報
・チョウカ・ナツキ 25歳 女性
ノア副司令 ミュージアム責任者 中将
神帝タカヤの従兄弟 ギフト"?"
・ノア・ミュージアム
誰でも閲覧可能なミュージアム
人類の歴史が詰まる
・中央保存区画駅
モノレールの駅 ミュージアム横
今回も読んでいただきありがとうございます。
ノア・ミュージアムにはいろんな物が展示されています。もう少し深掘りしていきたいです。
次回もよろしくお願い致します。




