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第1話.夢の中の現実




 ――真っ白な、雪のような。





 ちらちらと降り落ちるのは花びら。


 赤い液体がまるで血潮を振った後のようにあちらこちらに散っている。


 助けを求めて泣き(わめ)く金髪の女性の傍らで、男が倒れていた。


 白い上着の背中に赤い環のようなシミがいくつも浮き出て、音も無く背中全体に広がっていくのが見えた。


 ひれ伏した男の肩口から白い手袋の先へ先へと、鮮やかな緋色の液体が影のように伸びていく。


 背後で上がる、怒声や絶叫。


 淡くピンクを帯びた霧が視界の脇でまき散らされ、耳を劈くような重火器の騒音の合間を縫って、逃げろと訴えていた声がぱたりと消えた。


 余韻を引きずるように火薬の匂いが鼻をかすめる。


 静寂へと向かう空間の中で、ただ唯一、喉を裂くような悲鳴を上げて男の体に縋りついていた女が、突然何かに気づいたようにびくりと体を跳ねさせてこちらを向いた。


 南洋の海色(パライバブルー)の瞳が恐怖に見開かれる。


「――――!」


 突き出した手の中に冷たい感覚。


 指先一つ。


 続いて、二つ、三つ、四つ。


 金属の軽やかな音が、足元から耳に跳ね返って届く。


 渋れるような感覚が全身に駆け巡る。


 乾いた音が指のその先から聞こえたかと思えば、白い煙が立ち上り、視界から女の顔が消えた。
















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