286-290
286雲の心
白い雲が浮かんでいる青空に
エメラルドグリーンの雲がひとつ
浮いている
場違いなそれは
空に居場所のない出来損ないで
雲であるかどうかもわからない雲
雲の概念から外れた雲
雲の心にエメラルドグリーンの空が広がり
じぶんは白い雲で
鎖に繋がれた人たちが写す感情の景色
人の考える世界の境界の壁を蹴って
その向こう側にある現実の非現実
287春夏秋冬
秋といえば
昼寝の秋である
そんな秋はないと
人は言うけれど
秋に固定概念を求めること自体が
おかしい
昼寝したって構わない
秋はどういう季節か
冬でもなければ
春でもなければ
夏でもなければ
秋である
秋は秋らしいことを
すれば良いというのは
気分でしかない
季節に5番目がある
それは春夏秋冬にはない
心の季節
288金魚掬い
金魚掬いで
金魚は救われない
むしろ弄ばれ虐待されている
それを祭りの風物詩として
みなからは愛される
金魚迷惑な話である
そんなわたしは
出目金狙い
289インド人は頭が良い
インド人は頭が良い
ゼロの概念を発明したからだ
そして日本のインドカレーは
インドには存在しない
実在しない実在は
頭が良いのか悪いのかは不明だが
受け入れられている
インド人からしたら
日本のカレーは辛いそうだが
インドカレーはもっと辛い
カレーは辛いものだという
先入観をインド人に押し付けて
インド人も辛くて食べられない
インドカレーは
もはやカレーではなく
インドである
290白キムチの話
キムチは体に良い
白キムチの話である
韓国人が一般的に食べる
赤キムチは胃袋を傷つけて
癌化することがある
健康に良いわけではない
白キムチが断然日本人向きだが
韓国人は当たり前のように
赤キムチを勧める
白キムチを食べたことがない韓国人
老舗キムチを謳ったキムチ企業も
赤キムチばかりを売っている
虚構の上に虚構が重なり合って
事実と不実の区別がつかなくなったのが
今のキムチである
キムチな人間も数しれず
この世はキムチだらけで構成されている