シンギュラリティAI と ハヤト
ブラック企業
じいやは、年明け風邪をこじらせた。近隣エリアの村に住む、娘夫婦が同居する為、じいやとコタロを迎えに来たとき、ジーナは大反対をする。「フン!コタロは、塩屋の後継ぎだよ、じーさんだけ連れていきな!」仁王立ちして、立ち塞がる。じいやの娘マリラは、村長を帯同しており、「塩屋夫婦が、突然行方不明になった後、ジーナ!お前が家族を連れて、コタロを家から叩き出したのは、有名な話しさ!ジーナ!お前は、1回でもコタロに 何か食べさせたかい?」村長も口を出す。「ジーナさん、この都市近隣エリアでは、じいやさんとコタロ殿の 苦労している姿は有名です。例えコタロ殿の、ご両親が亡くなっていても、本当なら、遺産でコタロ殿は、何不自由なく暮らせているはず」ジーナは、少したじろぐ…「何を言っているのさ、知らないね!」その言葉に、マリラは「コタロはまだ小さい、一人では生きられない。財産はジーナ達がうばったんだ!コタロの命はウチラが護る!何なら、衛兵も呼ぶよ!村長達も皆こっちの味方なんだ!」と、ジーナを押し退け、じいやとコタロは、マリラ家族の元へ、引き取られた。じいやの時間も残り少ない。マリラの夫と長男は、湖で漁師をしている、逞しく豪快だ。末っ子のナルルは、オシャマで、よく笑う。そして、8歳のロンは、コタロと草原や森で、食べられる草や木の実を探す。早春の森には、芽吹だ柔らかく 美味しい草や木の芽が、沢山採れる。コタロはロンに、次からはロン一人でも、採取に来れるよう、薬草や木の種類、生えそうな場所を教える。ウサギを弓で獲り、竹細工や蔦細工を、じいやと3人で造る。ロンは不思議に思い「コタロは、何で普通なら、秘密にする、獲物の在り処を教えてくれるんだ?」と。「一人より、二人の方が獲物は沢山採れるし、危険も少ない」コタロは、何でもないことのように言った。ロンは、コタロはいいヤツだ!と思わずハグしてしまう。はっとして「今のハグは、忘れろ!恥ずい」コロコロとコタロは、笑った。夏には、ロンとコタロは、泥だらけになって、大きな落とし穴を掘り、大猪を落とし込んだ。流石に大人達を呼んで大騒ぎをし、その夜は村の広場で、猪の串焼きやモツ煮込みで、大騒ぎをして楽しんだ。その事を一番喜んでいたじいやは、本当に弱っていった。しかし、夜や雨の日には、マリラ家族は、じいやの側に集まり、みんなで大陸中の英雄伝説や、貴族達のおかしな暮しや面倒なしきたり、ダンジョンの話しなどを聞いて過ごした。海に棲むタコは、グニャグニャでその両目の幅があれば、ヌルリとすり抜けると話すと、ナルルは、父親の逞しい腕に、思わずひっつく。じいやは、イキノいいタコは、捌かれても動き、ウマいし口の中でも、吸盤は吸い付くと聞くと、ナルルは大急ぎで、父親に抱きついた。その仕草は本当に可愛らしく、家族皆て笑った。そんな夜には、じいやのまわりに、よく乾いたわらを置き、じいやの編んだ、サラサラ気持ちいい青い草の敷物の上でざこ寝した。そして満月の夜、じいやはコタロを、枕元に呼ぶと「能ある鷹は爪を隠す、まわりは敵だらけですぞ」と、念をおした。「じいや大好きだよ。もっともっと、コタロのそばにいて!」と、しわくちゃで チクチクする髭にもめげず、じいやの顔に 自分の頬をこすりつける。ポロポロ涙を流し、鼻水だらけだ。マリラは、二人ともを、柔らかく清潔な布で拭いた。家族みんな、涙と鼻水だらけになった。みんなで じいやが眠るまで見守った。じいやは、とても安らかなで、誇らしげな寝顔にみえた。コタロが朝覚醒めた時、じいやの顔には、マリラ家族やコタロが、皆で美しく刺繍した布が かけられていた。そして、森近くの大岩の村側に眠った。翌日、ロンと二人で、じいやの側で、お弁当を食べていたら、あの小さな小鳥が、肩に止まった。ロンはそっと視線を逸らす。暫くして、小さな羽音がして、ロンは飛んで行く小鳥を眺めた。その日は、今年最後の、栗広いが大量だった。
緊急指令2
サザンクロス皇帝からの指令は、
ウィントクーフ第11王子を、3日以内に始末せよ!結果を出せ!期日以以内に、王子の始末が出来なかった場合、連帯責任で、間諜は全員懲戒解雇する!
以上
コタロは、【此方、特別異常なし】と、いつもの報告書を返した。父親もじいやも、見たこともない、サザンクロス帝国より、穏やかに暮している国の方が大事だ!と話し、コタロは 間諜はしなくていいと話していた。辞する方法が解らず、定期的に、同じ報告を繰り返していたが、向こうから、一方的に解雇してくれた。ラッキーだ。
報告した3日後の朝、コタロは、冒険者として旅立つ。ロンは、泣いて引き止めたが、暫くしてアキラメル。「絶対帰って来い!」と、送り出してくれた。コタロは前夜、マリラのエプロンのポケットに、金貨50枚入りの、皮袋を忍ばせた。じいやが、アイテムボックスをくれた時、「大切に使いなされ、ご主人様が隠してくださっていた、先祖代々の隠し財産です。」と教えてくれた。ジーナ達が、どんなに探しても、絶対見つからないはずだった。コタロは、ロンが王都の、魔法学院に行けるよう、宝石も入れた。マリラ家族とじいやと暮らせて、本当に良かった。コタロは、スッキリした顔で、出立した。一番目の目的地は、湖側の露天風呂。そこで、冒険者の服に着換えるのだ。しかしコタロは、じいやと思い出多い露天風呂で、気持ち良すぎてウトウト眠ってしまった。