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姉弟勇者の異世界生活  作者: アジの缶詰
エピソード0 ~異世界転移する前の話~
5/5

旅の終わりと新たな始まり

「姉さんさっきも言ったけど一撃で決める、だから、うん、言わなくても分かるかな」


俺は姉さんの顔をみて、そう思った。


「ええ、もちろん。ゼインが一撃で決めると言った時点で、あんたがやりたいことは察しがついていたわ。 

 前に、やったのは確か20年くらい前かしらね。

 もう、かなり長いことやってないけど、大丈夫かしらね?」


「もうそんな経ってるんだ。

 確かそのときは、世界で最も強いペアを決めるみたいな大会の決勝でやったよね。」


「ええ、手応えのない相手だったのは覚えているわ。 

 さて、お話しは終わりよ、ゼイン。

 今魔法をかけたから、確実に決めてきなさいよ!」


「うん、じゃあ始めよう、姉さん!」

 

 俺の合図で、姉さんはリリスに向かって、


「喰らいなさい! ファイアーエンド!!」


 と言って、デストロイヤルファイアーに似た魔法をリリスに放った。


 始めに俺達の登場に気がついたのは、赤い髪の女だった。彼女はアメリアが魔法を放ったのを見ると、その場からすかさず、離れた。


 リリスはと言うと、少し反応が遅れたため、ファイアーエンドを交わすことはせず、自身の持っている槍で、ファイアーエンドを受け止めた。


 リリスの回りに小規模だが、凄まじい破壊力を持った爆発が起こった。そして辺りは、煙だらけで、なにも見えない状態になった。

 だが、俺だけは、煙の中でもリリスの位置を的確に把握することができた。

 なぜなら、さっき姉さんにかけてもらった魔法は、姉さんの魔法を無効化するものだった。

 当然、爆発に巻き込まれることはないし、煙で回りが見えなくなることもない。

 

 煙の中でリリスの姿を俺は捉えた。

 どうやら、アメリアの魔法だけでやられるやつではないらしい。

 俺は改めて気を引き締めると、煙のなかで、自身の分身体を生み出し、リリスに切りかからせた。

 俺はその間に少しリリスと距離をおき、その時が来るのを待った。

 俺は3体まで自分と同じ能力の持った個体を生み出すことができる。

 分身した個体は2分ほどで消滅するし、使い道がほとんどないため、使用するのは久しいが。


 リリスは煙で辺りを見渡すことが困難だったらしく、唐突に自分に切りかかってきた、おれの分身体の攻撃に一瞬遅れをとった。

 しかし、自身の槍でなんとか防ぎ、攻撃を食らうことはなかった。

 そして、リリスが俺の分身体に攻撃をしようとした瞬間すきが生まれた。

 俺はその隙を見逃さず、背後からリリスに、切りかかった。(勝った!)俺はそう確信した。


 俺は切った感触はした。

 だが、倒せてないのは手応え的に分かった。


 煙が収まってリリスの姿があらわになった。右腕が彼女にはなかった。どうやら、俺が後ろから切りかかって来たことに気ずき、致命傷は与えたものの、やりきれなかったらしい。


「嘘、倒しきれなかった!?

 どうして? あり得ないわ」


 アメリアが俺達の最強の技を受けて、生きているリリスに驚きをあらわにした。


「なかなかいいコンビ技でしたわ、さすがのわたくしも、少々焦りましたわ。

 あら? もしかしてあなた達の名はゼインのアメリアですか?」


「なぜ、私たちの名前を知っているのよ!?

 あなたはいったい何者なのよ!」


 アメリアが焦りからか冷静さをなくし、リリスに向かって叫ぶ。

 それをリリスは笑みを浮かべて見つめていた。


「やはりあなた方がゼインとアメリアでしたか、

 長いこと探していた、と言っても、意味を理解できないですよね。」


「ええ、理解出来ませんね。

 何で僕たちを探しているかも、躊躇いもなく、兵士を虐殺できるのかも、理解できません。」 


 俺はリリスを睨みながら静かな声でそう言った。


「あらあら、そんなに私のことを睨んでどうしたんですか?

 この国の兵士はあなたには関係のない人間でしょう、それに、わたくしと調停者の戦いを邪魔され、右腕を切り落とされたのですから、わたくし腹が立ってきましたわよ」


 そう言ってリリスは俺のことを見つめてきた。

 そのときの表情は穏やかなものだったが、内心では殺気立っているようなオーラを感じた。


「てか、あんな今、調停者って言ったわよね?

 あんたと戦っていた赤い髪の女が調停者ってことでいいのよね?」     


 もう、わざわざ聞かなくてもいいだろうと思っていた質問をご丁寧にアメリアが聞いてくれた。


「あら、あなた達は知らなかったのね。

 私たちは長い付き合いでね、本来なら今日、調停者がこの王国を滅ぼす予定だったんだけど、間違ってわたくしが王国の兵士を皆殺しにしてしまったので、その事にこの子が怒って、戦いになったのよ。」


 俺は耳を疑った。

 赤い髪の女が調停者であることは薄々気づいていたが、リリスと仲間だったとは信じられなかった。

 てっきり味方なのかと思っていたからだ。

 シャーロットの言葉通り、情報が未知数の時は色々な可能性を疑うべきだと、実感した。

 いや、でも今言ったことが、嘘という可能性もある。

 とりあえず、調停者に話を聞く必要がある。


「やっぱり、調停者、あんたは私たちの敵だったのね、

 あんた達、二人まとめて、倒してやるわ!」


 アメリアが今にも戦いを始めそうだったから、止めようと声をかけようとしたそのとき、

 俺より早く調停者が、


「待て、私とお前の戦いは不要だ。

 そもそも、いつ我がこの女と仲間だなんて言った?

 この女が勝手に言い出した戯れ言だろう、全く、

 長く生きているのに、信用に値しない人物からの話をうのみにし、独断に陥るとは愚かだな」


 と、小難しい言葉を使ってアメリアを論破した。


「うぅ、悪かったわね。

 じゃああんたは、敵ではないって認識でいいのね?」


「好きにしろ、我はどうでもいい」

 

 アメリアと調停者が少し打ち解けたように見えた。


「あちゃー、仲間じゃないのばれちゃいましたか。

 でも、もう十分ですわ。わたくしは帰らせていただくわ。ゼインとアメリア、あなた達二人にやられたこの傷忘れませんよ。それと...」


 リリスは俺達にそう言い残し、最後に調停者に愉悦の笑みを浮かべて、何かを話し、俺達の前から姿を消した。

 リリスと、調停者は何を話していたのか分からなかったが、話を聞き終えたあとの調停者は、一瞬だが、絶望したような表情を浮かばているように見えた。



 一連の出来事を地上にいる、ルーカスとシャーロットに伝えに行くと、二人は

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