懐かしき思い出
「ゼイン、どこに行ってもいつになっても私はあなたのお姉さんよ、必ずまた...」
「姉さん!!」俺は必死に姉さんに手を伸ばした、だがやっとのおもいで掴んだと思った姉さんの手はそこにはなく、顔をあげるとさっきまでいたはずの姉さんの姿は消えていた。
そこまできてたところで俺は夢から覚め現実に引き戻された。 気がつくと俺は手を伸ばし涙を流していた。 ―あと日のあと記憶―は俺の人生の終焉であり始まりだった...
今から約半年ほど前、いや、何百年も前の出来事な気もするときもあるが、俺たち姉弟がまだ元の世界の勇者だったときのこと
俺の名前はゼイン、この世界の剣を扱う勇者だ、そして同じ勇者で魔術を扱う俺の姉のアメリア。
俺たちは共に人間だが青年期に不老の呪いをかけられそれから成長が止まってる。
歳をとらない俺たちはこの世界を何百年と旅し、勇者となった。
理由はよく分からないが、旅をしているなかで俺たちの実力をみて、勇者と俺達のことを勝手に名付けた者がいるのだろう。
気づいたら勇者と呼ばれるようになっていた。
何百年間と俺たちは剣術や魔術を磨き、俺たちより強いものはこの世界にはいなかった。
自分達の限界を感じなんのために旅をしているのか分からなくなったときもあったがお互いに支えあって旅をしていた。
永遠ともいえる時間を少しでも楽しいものにしたいと考えた俺たちは、他の冒険者たちと旅をしたりするのを繰り返していた。
俺たちの世界には様々なモンスターやダンジョン、要塞などがあり、そんな世界で冒険や旅、ダンジョンを攻略するものなどいろいろな人がいた。例えば、草原にスライムを狩りにくい人だったり、はたまた、天災と名高いドラゴンを倒す者など様々だった。
もともと俺たちは敵なしの勇者だったり、最強、と評され、一緒に冒険したいと誘ってくれる人もいたが、それよりもアメリアはスタイル抜群の美少女、俺は背の低い可愛い系の美男子(背が低いのは結構に気にしていたからできればやめてほしいが... だってアメリアに身長負けてるんだよ!それに不老の呪いをせいか背が伸びない…)
とか呼ばれててそっち目当てで誘ってくる人も少なくなかった。
でも今思えば、あの時自分達を苦しめていた永遠という孤独に耐えることができたのもいろいろな人が冒険に誘ってくれたからだと思っている。
本当にありがたかった、
そんな日々を繰り返していた俺たちはとある冒険者に出会った名をルーカスとシャーロットといった。
二人はどちらも俺たちより年上な容姿をしていた(実年齢でいったら俺たちの圧勝)。そして二人とも今でもあってきた冒険者の中でも一番強かった、ルーカスは魔術、シャーロットは弓使いで息を飲むような連携で凄い冒険者だった。
その二人は俺たちのことを聞いて一緒に冒険したいと思っていたらしい、
初めて四人であったときシャーロットが
「私とルーカスは世界の終点を目指して旅をしているの、一緒に私たちと冒険しましょう」と言ってきた。
「世界の終点?そんなものがそんなものが存在するのか?」と首をかしげながらアメリアが二人に問う
正直俺も同じ気持ちだった。何百年と旅をしてきたが世界の終点など考えたこともなかったからだ、
「考えてみなよ、この世界だって無限に続いてるわけじゃないだろ!だがら必ず世界の終点が存在するんだ」
とルーカスが力強い声で語った
俺達はその話しをとても興味深く思った。
「確かに面白い話ですね、長い間生きてきたけどそのようなことは考えたこともなかったです。これから僕たちと一緒に世界の終点を目指して旅をしましょう!」
俺がそういうと二人は
「よしきた!これから長い旅の始まりだー」と嬉しがってた。
そんなこんなで俺たち4人は世界の終点への旅が始まった。
最初の方は弱いモンスターやダンジョンを攻略してしていって戦利品を集めたり互いの連携を強めたりした、
おさらいをするが俺たち4人は
アメリアが魔術を扱い攻撃系統の魔法を得意としていた
俺は剣を扱い言わずもがな攻撃系だ
一方シャーロットはというと、アメリアと同じ魔術を使うのだか扱う魔法が主に回復魔法や見方へのバフ、相手へのデバフなどでその効果も絶大なものだった。
ルーカスは弓を扱い接近戦とよりは遠距離戦を得意としていた。
まとめると俺たちの戦いかたは俺とアメリアが先陣をきりルーカスはその後ろから俺たちをサポートするような形で射撃を行い、シャーロットはモンスターを妨害したり俺たちが怪我をしたときに手当てをしてくれたりした。
正直、俺たちは怪我をあまり負うことがなかったし、最初の方は敵も強くなかったからシャーロットの強さに気ずかなかったが、 敵が強くなったときや環境が不利で戦いずらいときシャーロットの魔法にはたくさん助けられた。また、ルーカスとシャーロットは頭も切れるやつだったから、戦いを有利に進めるのもお手のもとだった。
俺たちはとてもいいコンビで旅をしていたときは本当に楽しかった。俺たち姉弟は世界でも最強の勇者であったし、ルーカスとシャーロットも冒険者のなかでは最上級であったため苦労する戦いはほとんどなかったが、それは俺たち姉弟からしたら今に始まったことではなかったから、別に苦ではなかった。
それよりもこうやって仲間と旅をして、同じ目標に向かい、助け合って笑い合いながら、時間を過ごすことが、俺たちにとっては掛け替えのない一時だった。
しかしある時を境に俺たちの旅は過酷なものへと変化するのだった。
俺たちが世界の終点を目指して旅を初めて4年ほどがたった。それまでは普通に冒険をしていたが次第に疑問に思うようになることがあった。
そんなある日
「ねぇなんか最近モンスター強くない?ダンジョンにさっき行ったときもモンスターの強さが前とけた違いだったんだよね」
と狩りを終えて次の目的地へ行こうとしていたときアメリアが言った。
俺もそれについては思うところがあった。
今までに倒してきたどのモンスターも手応えがないくらい弱かったが、最近のモンスターは圧倒できるとは言え前より強くなっているのだ。
「私も最近そう感じます。それに近頃魔物や魔獣が村を襲撃したり、モンスターが強くなった影響で命を落とした冒険者や危険な目にあった冒険者が多くいるそうです。
今世界で何が起こっているか分かりせんが何かよくないことが起こっている気がします。」
真剣な顔付でシャーロットがそう呟く
「その原因を見つけて悪いやつの仕業とかだったらそいつをぶっ倒してやろうぜ!」
と少し暗い雰囲気を吹っ飛ばすようにしてルーカスが叫んだ。残りの三人も力強く相づちした。
その後もモンスターが強くなっていくことにみんな疑問に思いながらも、それまでと変わらずに旅を続けて行った。ただ、今までと変わったことといえば、モンスターが強くなったことで、冒険が今までより危険なものになって冒険者をやめるものが増えていった。
それにより今までなら倒されていたモンスターなどが倒されなくなり次第にモンスターの数が増えていった。さらに、より狂暴になっていったモンスターは村や町を襲撃し、人を襲うことが多くなった。
当然、人々はそれに対抗しようと戦ったが、今まで以上に強くなったモンスターや狂暴な魔獣や魔物なども頻繁に出現するようになり、命を落とすものも多かった。
その頃辺りから、俺たち4人は、自分達の旅よりもモンスターや魔物が村を襲撃するのを防いで村を救うこと優先して行っていた。いくら狂暴になったとはいえ俺たちの手に負えない相手ではなかったから、俺たちは毎日、モンスターによって危機にふんしている村や町を救って回った。
幸運なことにも俺たちは以外にも村や町を魔物から守っている冒険者がいたから、深刻な事態に陥ることは少なかった。
それでも世界の乱れは止まることを知らず倒しても倒しても、次から次へとやってくる。そして、最初は村を守る冒険者が多くいたが怪我で戦えなくなるもの、命を落とすもの、怖くて逃げ出すものなどで冒険者の数か減っていき、いよいよ俺たちだけではどうしようもできない事がでてきた。
そんな深刻な状況に頭を悩ませていた俺たちだが次第にモンスターわ魔物が村を襲うことが少なくなっていった。
理由はよく分からないがこれで危険に遭う人が減ると俺は思ってた。
そこまでは良かったがその変化とときを同じくして、俺たちの回りにある異変が起こっていた。
モンスターや魔物達が俺たちを集中的に襲って来るようになったのだ。 道中に遭遇する魔物の数か増えたり、モンスターや魔物が村を襲ってやってきたときも、俺たちの姿をみるなり、標的を変えたようにして俺たちに襲いかかってくるのだ。
まるで誰かの手によって操られてるかのように…
それだけではない、今までの比にならないくらいモンスターや魔物が強い、それに俺たちへの明らかな殺意を感じるのだ。 通常モンスターや魔物は暴れまわるだけで理性を持っていないのだ。
だが明らかに違う、俺たちを本気で殺しにきてるのだ。
俺たちは今まで6年ほど旅をしてきた。俺とアメリアに関しては何百年も。だがこのような事は初めてであった。
そして俺たちの世界の終点にたどり着くという旅の目標が変更になる出来事が訪れる。
モンスターの異変に気づいて半年ほどが経っていた。
俺たちはとある村に訪れていた、そして当然のようにモンスターや魔物が襲ってくる。あらかじめ村人達は避難されてあるから心配はなかったが、今回はかなり量が多いようにも見えた。
「いくわよゼイン、ルーカスとシャーロットも援護を頼むは!!」
そう言い先陣を切るアメリア
「おう!お前達二人が戦う前に俺が全部撃ち抜いてやるぜ!」と言い弓を引くルーカス
「背中は任してください!二人が快く戦えるために全力援護します!今回は敵が多いで最初からあまり飛ばしすぎないようにしてくださいね!」
慎重そうにシャーロットが注意喚起をする。
「そうだよ、姉さん。姉さんはモンスターが多かったり強かったりすると、すぐに強力な魔法ぶっ放つじゃん、それですぐに体力が切れるなんてこともあるから頼むよ、
それに姉さんの魔法強すぎて、モンスターもろとも辺りを一掃するから、シャーロットとルーカスはともかく、俺、結構やばいときあるからね…
姉さんともう何百年って旅してきたけど、命の危険感じたこと、少なくないよ……」
そうアメリアは魔法の攻撃力でいったら彼女の右にでるものはいないだろう。しかし、魔法の使いかたが大雑把すぎるがゆえに後先考えずに強力な魔法を放つことが多い。
俺もそれには慣れているがそれでも危ないと感じることは多かった。 いつの日かルーカスに「ゼインはよくアメリアと一緒に戦ってて今も生きてるよな!!俺だったら灰になってると思うぞ」
笑いながらルーカスは言うが俺は笑うことができなかった。いつかそうなりそうで……
そんなことを思い返していると隣でアメリアが
「確かに私の魔法でゼインのこと巻き込みそうなことあるけど、避けてちょうだいね、ゼインが剣で魔物を切っていくより私が広範囲魔法で一気に蹴散らした方が早いし楽でしょ!!
それに体力が切れてもシャーロットがすぐに回復させてくれるからそんなに気にしなくて大丈夫!」
俺は苦笑いをしながら話を聞き終え、魔物を倒していった。前方の敵はルーカスとシャーロットが倒してくれていた。俺とアメリアは次々と魔物を倒していく。
相変わらずものすごい殺意で襲ってくるが、単調すぎる攻撃で俺たちが攻撃をくらうはずもなく、
シャーロットのデバフ魔法のお陰で魔物を簡単に切ることができる、
そしてアメリアはというと浮遊魔法を使い宙に浮き上から炎や氷の魔法で魔物を倒していた。
最初は普通の魔法を使い戦っていたアメリアだが、倒しても倒しても沸いてくる魔物にだんだん苛立ちを覚えたのか
「シャーロット、攻撃力上昇の魔法をよろしく」
とシャーロットにお願いする。
俺はその発言を聞くなり戦いを切り上げルーカスのほうへと向かった。俺が避難したことを確認するとシャーロットはアメリアに攻撃力上昇魔法を施した。その効果はとてつもないものでアメリアから感じる闘気が何倍にも上昇していた。
そしてアメリアは自分を見上げる魔物達に向けててを下ろし「くらえ!!デストロイヤルファイアー」
と叫んだ。
サッカーボールほどの大きさの炎が地面に向かって放たれた。そして地面に落ちた瞬間……
ドーーン
物凄い爆発音と眩しい光で辺りが見えなくなった。
だが結果がどうなっているのかは知っている。
煙が収まり回りが見えるようになった、さっきのアメリアの魔法による爆発はいつもよりも威力が強かった。
たぶん本人が張り切っていたのだろう。そしてそれにいち早く気づいたのがシャーロットなった
シャーロットは爆発が起こる前俺たちの回りにだけ、結界を張ってくれた。いわばシールドのようなものだ。
それのおかげで無傷だったが、シャーロットがいなかったら無傷では決してなかったと考えると、シャーロットには頭が上がらない。
それと見方もろとも吹っ飛ばすような魔法を躊躇なく打つアメリアも理解しがたい……魔法のネーミングセンスもどうかと思うし。
そしてさっきまで視界のほとんどを埋め尽くすほどの魔物は塵ひとつなく完全に消滅し、そんなことのできる魔法に地面が耐えられるはずもなく、まるで大きな隕石が落ちたかのようなクレーターを作り、その上空で張本人であるアメリアは満足そうな笑みを浮かべていた。
全く恐ろしい姉を持ったものだ。この光景は見慣れているものだか毎回のようにそう思う……
この戦いが終わり俺たちは村の無事を報告するために村人のところへ向かった。そして、そこで衝撃の事実を知ることになる。