2021問題F
「今でも思うが、アホな話なんだぞ」
当時、ネット通販の配送は
『何よりも早く!!何より早く!!お客様の元へ届けるのだ!!』
そーいう考えであった。これが前々から書いているAMAZON当日便の話に繋がるのだが、夜間再配にもそれが影響していた。
「1日でとにかく配り切れって話。再配以外にも荷物来るだろ?」
「翌日に回さず、夜に配達をしろって考えだったんだ」
”平日に荷物を届けても不在なんだ!!”
という考えは正しいが、このような意見が出てくる方は1人暮らしの方が多い。専業主婦やら高齢者、あるいは帰宅してきた子供達などがいたりと、いるところはいる。
で、
「金曜日の夜に配るのと、土曜日の朝配るの、どっちが在宅してると思う?」
「……土曜日じゃないですか?仕事や学校は休みになる事も多いですし」
「うん」
そう思っている事が多いながら、今日届いた荷物は今日届けるという体制だった。
そして、ここまで愚痴っているように夜勤の再配の負担があるように、こんなの明日でもいいよって思うような荷物ですら配りに行く。何が性質悪いってさ。
「受け取るお客様は届けばいいくらいにしか思ってないからな。いない事も多いんだよ」
「あらら……」
こーいう荷物は差出人の意向であり、受取人の意向は無視であった。(ポストインもあるけど)
夜勤帯なら帰って来てるとかはあったが、不在票を入れにいく。あるいは、ただ1件のために寄る。それなら昼間の業務の時に配った方が面倒ないじゃん。
おまけに
「夜勤しかできない人間が嫌われる理由って、こーいう荷物に弱いんだよ」
「それって?」
「再配依頼の荷物じゃないから、電話番号とか載ってないし、誰かが一度届けてたら、その配達員に場所とか教えてもらえるからな。表札がない家って昔多かったんだよ」
そーいう雑事もあったが、こーいう荷物までも当日に配るという考え。再配達もこなす。当たり前じゃないかと、お客様も思うのだが。現場の夜勤者の悲鳴はあがる。
『今日も回り切れないから助けてぇぇぇ~~』
再配達でもヒーコラ言っているのに、今日配らなくても良いモノまで届けるため、仕事が終わらないと日勤の方に泣きつくのが常なのだ。そして、日勤は必ず毎日、夜勤をサポートできるよう一人の負担を軽くしてあげている。
「夜勤しかできない奴が嫌われるのはな」
「日勤からそのまま夜勤の手伝いまでこなせないからなんだよ」
「…………き、気を付けます」
それが毎日続けば、そりゃ……。残業代は膨大であり、利益もなく、人件費は高騰。しかも、この場合。受取人は特に求めていない事もムダ過ぎる要素であった。
ポストインの話であるが、夜に届けても翌日の昼までポストの中に荷物が入っていたら、なんのために届けに行った?という気持ちになる。実際、帰宅してからポストにある荷物をとりに行くなんて、部屋に入ったら滅多にないだろう。マンションの方ならなおさら。
「冗談抜きで言うが、22時半に夜の管理者まで仕事が終われば、早い方だったからな」
「悪天候の時なんか総動員で、仲良く日勤者みんなで20時とかまでやってましたよね」
「……そーいえば昔って、台風の日とかどうしてたんですか?今は中止とかしてましたけど」
「「普通に雨対策して、再配達に行ってる!」」
よっぽどの災害でない限り、『気を付けて届けに行けー』で、再配達に行く。
ちなみに夜の台風時の再配達の在宅率は、そんなに高くない。お客様も帰宅途中で台風に足を止められ、家に帰れない事が多い。
色んな事に言えるのだが、当時の配達環境というより考え方は
「とにかく荷物を届けにいけ!客がいるとかいないとかは、どーでもいい!!」
「あー、そうそう!そんな感じ!それがお客様第一だーって、上やお客様だけど差出人が言っている感じなんだよな!」