2021問題N
ガララララララ
「木下様のご到着だ~」
後輩共が、先輩に夜勤業務を放り投げ、飲むに行っている。なんて態度の悪い連中だ。
木下は駆け足で店に入って、彼等が飲んでいる席に飛び込んだ。
「おーっ、お疲れ様でーす!」
「サンキューっす、木下さん!」
「少しは敬え!!」
あーっ、疲れたぜーって、表情をしながら。木下は指定された席にご着席。ビールを一杯注文。
「朝から夜まで働かせやがって!」
「まーまー」
「それで落ち着くか!」
ホントに夜の業務を任せる人間を寄越せこらぁーって、思っている。
今のご時世、ゆとりやらコンプライアンスとか言いながら。こーいう仕事はいつまで経っても、人手不足!ゆとりもできねぇー。
「……中々、厳しい業界ですからね」
物流業界は求職サイトさんでも空いている事は多く、ほとんどの人が望んでいない事が多い。給与と待遇が悪すぎるんだーって、それ良く言われるが。
「腕が良い人にとっては、暇してるお仕事でもあるんですよね」
「3年以上の実務経験は必要だけどな。基本」
例外的に、驚異的なスピードで業務をこなせる人間もいるものであるが……。ほとんどはどの仕事も一定の”平凡”ってレベルに落ち着く。その”平凡”を少し超えられるというのなら、この業界は比較的にホワイトな業界である。
やっている事はほとんど毎日同じことの繰り返し。いつでも刺激を求めたいという、フレッシュな人達……主に若い人達には受けが悪い仕事内容。そして、年寄りや中年達には、重労働扱い。
車の免許でだいたいできるし、なんなら電動自転車もあるので、それなしで業務をしている人もいる。
「なんて言うかね」
この業界って資格は特にないのだが。求めるのは、忍耐能力と根性の方がある。
「車好きの若い子なんて、減ってるでしょ。……それは少し良いんだけどさ」
「”物流業界で車が好き”って……偏見かもしれんが。珍しいぞ」
ここまで散々愚痴ってはいるが。お客様とのやり取りが入るタイプの、配達業の場合。車やバイクで任される範囲は決まっているし、苦労するのは家やお客様、荷物の取り扱いなどだ。
配達の速さに関しては、車の運転が上手いとかはぶっちゃけ意味をなさない。正確な配達・業務だけが速さに繋がると思っている(作者の経験から)。
「好き好んで渋滞になる道路にいったり、小道をトラックで走るのもしんどい。夏の夜はいいが、冬の夜や嵐の夜とかキツイからな」
狭いところを通った時の達成感も分からなくもないが、車というのは事故一つで面倒になってしまう。慣れない道の走行は、神経も酷く使う。楽しい車の運転を思い浮かべたら……遠い土地や知らない土地。そこにある大自然なり、施設などを巡る事なんじゃないだろうか?
根本的に。
酷く。
惨く。
一言。
『”仕事ってまったく楽しくない!”』
笑顔を作るって、無料なのが辛いものだね。
飲食店の方々が頑張っている姿が眩し過ぎる。
◇ ◇
そこに回せる人間がいれば……。あーいう業務をやってくれる人間がいれば……。
そーいう風に思えるのは、給与にしたら笑われるほどの額だ。雑用の必要性はそんな時に感じる。
配達業の良いところをあげれば、年齢に関しては、特に関係がないところだ。正確に配ってくれれば、特定のお客様以外はなんとかなる。他の業務にも似たような事はあるだろう。
「え?また辞めるの?」
「はぇ~、4日でギブか~」
物凄く高速で辞めていくのも珍しくない。1週間持てば、すげぇーじゃん。というのが現場の実情で、改善する気がまったくない。口々に言ってしまうが、こーいうところは。
「ホントに生きるのを諦めたら、ここに来な!」
夢も希望はない。しかし、仕事がある。
誰かがやらなきゃいけない仕事はある。
「自殺するならこの仕事ほど簡単なところはない。生き殺しと変わらねぇぞ」
しかし、別に誰でもできる仕事だから、特別なことはない。その上、辞めて欲しいと言われる人材は早々いないし、挽回は結構しやすい、事故を除けば……ただ、
「会社だからな。しがみ付く努力はしろよ。ないならすぐに辞めてると思うがな」
こうしてはこんな仕事をする人達は減っていく。
なんとなくで初めたので、オチも特に考えてませんでしたが……。
愚痴愚痴言っている人は情けないと思いますが、ここの業界は愚痴愚痴言ってる人間じゃないと務まりませんね。逆にそんな人間達にでも仕事はあって、死ぬのはまだまだ早いかと。
生き殺しという表現ですが、……ホントに代わり映えのない仕事です。
夜勤業務に関してはこれからも縮小されるか分かりませんが、近年は駐車場が住宅地やマンションに変わったりで、配達の難易度が上がり、人は増えないと来て困っています。特にこの仕事には資格はないんですが、素人が配達の仕事をしたら、速攻で辞めたり倒れたりするのも無理ないなーって感じる事は多々あります。覚える事って意外と多いんです。若い内はパッパッ覚えられますが、歳をとると記憶の衰えもキツイ……。
給与は良くないですが、クリエイターやエンタメ職と違い、競争があるほど人がいないためか、争わず、安定しているのは大きいです。辞めてくれって言われる事よりも、自分から辞めていくのが大半な業界です。
ウーバーイーツなどの宅配業も新興されていて、その方達とすれ違うとき。だいたい、同じ顔や同じバイクなど。仕方なくやっている感が8割ほどいる感じです。最初こそ楽しく思っていても、台風の日とか想像してたのと違うって顔してますね。ウチ等は慣れてるんですけどね。
試しに始めた方もいますが、すぐに消えてますね。続けるほど、割に合ってないと思うんですよね。改善しろとは言いたいですが、中々難しいですね。健康的な運動+お金が入るという考えで、頑張るしかないのでは?
こうして振り返ると、昔はムダな仕事が多かった分、ムダに人を雇えたというのもあります。それだけ雑だったんだな。
いずれ、このメンバーを使って、配送奮闘期的な話しを書いてみたいので、自分自身もこれは参考にしようとは思っております。AMAZON当日便の話をここで書かなかったのは、その時のとっておきにしたいからです。ホントにあれはエグイ……。色々とエグイ仕事はありましたけど。あれは人としての仕事じゃねぇもん。




