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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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あの一瞬をもう一度

作者: おぱんつびしゃびしゃ毘沙門天

中村 裕也

これは13年前の出来事だった。

両親が急に離婚した。それまでは愛情のある家庭だった。ご飯もおいしいし、誕生日も祝ってくれる普通の家庭だった。離婚して母親についた僕だったが、ある夜中母親に車で森に連れていかれた。「ここで待っていてね。すぐ戻るから」といったあと、ボソッと「ごめんね…本当に…」母親はそれだけを言い残して車でどこかへ行ってしまった。そして警察に保護されてそのまま孤児院に入った。僕は何が起きたのかその頃は理解ができなかった。今思えば母親は働いていたわけではなかったため、ただ単に捨てられただけだった。孤児院は劣悪な環境で、僕は周りの子たちにいじめられていた。身も心もボロボロで自殺をしたいと願っていた。僕にはそんな勇気ないのだけれど…

しかし、僕は独り、母親が迎えに来ることを待っていた。どうせ迎えに来ないと心の中では思っていたのかもしれない。

10歳のころに僕は、一人の女の人に引き取られた。中村 鈴という名前だった。

鈴さんは、夫と離婚していて息子もいない。そんな中、僕を実の息子のようにかわいがってくれた。

しかし、学校ではいじめられている。小学校も中学でもいじめられていた。僕には勇気がないからだ。いつも心の中では立ち向かっているつもりだけど、言い返すことができない。そんな時、高村 蓮という友達がいつも助けてくれる。蓮はムードメーカーでみんなに好かれているが僕は内気な性格でみんなに嫌われている。蓮が羨ましい、妬ましい。どうしてそんなに笑顔でいられるのか。どうやったら好かれるのか知りたい。どうしても知りたい。

高村 蓮

高村 蓮の家族は荒れている

父は仕事のことにしか興味がない。しかも虐待は普通と考えている。今までまともに学校の行事などには来たことがない。たった一度だけ来た授業参観の日には、俺が発言をしなかっただけで切れられたことがある

母は父のいうことしかきかない屑だ。父は俺の体を少しでも鍛えようとして、母に健康的な飯を息子には出すように指示している。しかし、母に俺達に対する愛情なんてものはない。父の見ていないところで俺の飯にゴミを入れてきやがる。

高村蓮は兄にいいように使われていた。高村蓮の兄は20を超えているがまともに働かずに、毎晩夜遊びをしているような人間だった。家に帰ってくることも少ない。

30分ほど前、自分の服を洗おうとして、洗濯機の前にきた。すると後から兄貴が来て洗濯中のものをとって周りに適当に捨てた。

「俺に逆らってるとつぶすぞ?」と兄に言われた。

そこで、いつもは黙って逃げる蓮だが、日ごろの恨みがたまりすぎて、爆発しそうになっていた蓮は、兄に抵抗してしまった。まともに母親の飯を食べていないせいか、体が細い蓮は、兄に殴られてしまう。腹を焼けるような痛みが一瞬で走る。「次やったらぶっ殺す」と兄はいい蓮はそのまま逃げ去るように家を出て行った。

「いってぇ、なんで俺はあんな屑に…くそッ絶対殺してやる」と思いながらバイト先にいった。蓮のゆういつ落ち着ける場所がバイト先と学校だけだった。みんな単純だからだ。笑っていれば好かれるからだ。コンビニのガラスで自分が作り笑いできているか確かめる。「よしッ今日も俺はいい笑顔。」と自分で言ってて悲しくなってくる。そしてバイト先の店に入る。「よぉ遅かったな」「いやぁわりぃわりぃちょっとシャワー浴びててさ」

蓮は作り笑いが上手。いそのため、親友の裕也と話すときも、作り笑いをしてしてしまう。


7月11日中村 裕也

最近蓮の様子がおかしい、いつもはずっと笑っているのに、バイト中、下を向いて、考え事をしているようだ。「何か悩みでもあるの?」と聞いたことがあるが、「大丈夫大丈夫」と、笑顔で返されてしまう。蓮は学校でもムードメーカーとしてみんなに好かれている。そんな蓮が悩み事なんてあるわけないかぁ、と思い、明日が誕生日の鈴さんのプレゼントを考える。

僕を引き取ってくれたことと、いつも一生懸命育ててくれている感謝の気持ちだ。と思ってさっそうとバイト先を出て、花やに行った。そこで急に電話がかかってきた。

「鈴が倒れて、〇〇病院に運ばれた。」とだけ言われ、すぐに電話を切られた。聞いたことのあるような声だったがこの声が誰の声なのか思い出すことができないほどうろ覚えな声だった。病院に急いで向かった。今までにこんな走ったことないというほどに。病室に入ると眠ったままの鈴さんと鈴さんの弟がいた。泣いていた。裕也は泣いていた。なんでこんなにいい人がこんな目にと思い、泣いていた。なぜ鈴さんが入院したのかというと鈴さん甥に殴られてしまったらしい。裕也はその甥とはあったことがないが、鈴さんの弟とはあったことがある。仕事のことしか考えてない人で、決していい人とは言えない人だった。

8月3日高村 蓮

今日は朝から気分がいい。くそ親父が家にいない。しかもゴミ兄貴まで家にいない。

屑母はどうせ昼間まで寝ている。それにしてもなぜ親父がいないのだろうか。いつもなら休日は家にいるはずだ。そういえば昨日の夕方、バイトから帰ってきてからずっといなかった。そんなことはどうでもいい。せっかくの休日だし、裕也と遊ぼうと思い、裕也に電話をかけた。「もしもし?」「あぁ蓮、ごめん実は昨日の夕方鈴さんが倒れてね。今日は遊べない。」

蓮も鈴さんとは何度かあっている。笑顔がよく似合う優しいひとだった。こんな人が母親だったらなぁと、裕也に嫉妬したことがある。蓮はよく家族の元に帰りたくないときに、裕也に、「家族とけんかしてさ。」と嘘をつき、泊めさせてもらったことがある。恩が鈴さんにもあるため、電話で裕也に、「俺も鈴さんのお見舞い行くよ。」と言う。「ありがとう。」裕也は心地よく感謝をした。それにしてもなんで健康的な鈴さんが倒れたのだろうか。後で裕也に聞いてみよう。そして蓮は、病院の鈴さんの部屋へいく。すると、ありえない奴がいた。そう、くそ親父だ。そういえば、親父には、一人姉がいた。それが鈴さんだった。親父はきれていた。

「なんで倒れたりしやがんだ。くそッ会社に遅れるだろうが。」と、親父は鈴さんをののしっていた。

裕也は親父のことを鋭いめで見ているだけで、鈴さんと親父は血がつながっている以上手出しはできなかった。

俺の親父のせいで、親友までもが、鈴さんまでもが、被害を被っている。許すことができなかった。自分の親父と兄貴に虐待された腕の傷を眺めた時、何かが切れた気がした。

自分でも気づかぬうちに親父の頬を拳で殴っていた。「ふざけんなッお前は俺以外にも、裕也にまで、鈴さんにまで…」そこで言葉が途切れた。親父に殴り返されたからだ。身体に電気が流れたような衝撃がきた。父は蓮の目の前にたち、何度も殴る。

裕也は頭の中で、(助けていいのだろうか、蓮とこの人は家族だし、どうやって止めるべきだろうか)と思い、ただただ傍観しているだけだった。親父はまるでゴキブリでも見るかのような目で俺のことを見ていた。「失敗作だ。」一瞬蓮は何を言われたのかわからなかった。「失敗作?俺が?お前のほうだろ。」と思ったものの、殴られた箇所が痛くて、声が出せない。裕也は、勇気が出せない自分に苛立ち、拳を握りしめていた。蓮の親父はそのまま鈴さんを放って、会社に行ってしまった。その時の怒りはもう頂点に達していた。今までためていた18年分の怒りが爆発しかけていた。蓮は結局鈴さんがなぜ入院したのかその1か月ごの学校で裕也にきいた 。

10月10日 中村 裕也

鈴さんは今日の朝目を覚ました。一か月間いや2か月寝ていたのだ。裕也は学校をさぼって急いで鈴さんのもとへ向かう。鈴さんは優しく「学校は?大丈夫なの?」と聞くが、裕也は学校なんかより鈴さんが大切と答え、ちょっぴり叱られる。叱られているときに、蓮が入ってきた。でもなぜだろう悲しそうな、苦しそうな顔をしている。

すると蓮の兄が病室に入ってきた。蓮の兄は鈴さんの甥にあたる。鈴さんを病院送りにした犯人でもあった。そんなやつが許せなかったへらへら友人と入ってきやがった。殺してやりたいぐらい憎かった。拳を強く握りしめているが震えるだけだ。鈴さんの甥だから手が出せないというのもあったが本当は勇気が出せないだけだった。蓮の兄は図体がでかくて手を出したら今度は自分が入院させられるだけだ。と思ってしまい、怖くて勇気が出せなかった。そんな自分に気づいて鈴さんは優しく手を握りしめて、「本当に強い人は手を出さないの。だからあなたも手を出さないで。」と耳元でささやいてくれた。優しく、落ち着く声で。

10月10日 高村 蓮

朝に裕也から電話があって、蓮も学校をさぼって、鈴さんのもとへ行ってしまった。蓮が鈴さんの病室の扉を開けると、裕也が鈴さんに学校をさぼったことを叱られていた。それを見て、裕也は悲しかった。つらかった。裕也が叱られていて悲しいわけではない。羨ましかったからだ。自分のために怒ってくれている人を初めてみたからだ。親父も自分のことを怒るが蓮を思ってのことではない。自分の息子がそんなやつとは思われたくないからだ。蓮は、その時親友のことも憎いと思ってしまい。そんな自分に嫌気がさしていた。そんな時、病室の前で聞きなれた声が聞こえた。

「あいつバカだよなw」「ほんとそれな」「俺らに逆らってるからだぞw」

と、のんきに話しているやつらがいた。それを聞いたとき気づいた。あれは兄だ。ゴキブリ以下のゴミ人間だ。蓮の精神はとっくに限界だった。兄の声を聴いただけで殺意がわいてくるほどに。兄は部屋に入ってきた。そして兄貴の友人?いやゴミ仲間と、へらへらしている。

なぜ兄貴がいるんだ。と思ったが鈴さんが倒れた原因は兄貴だったらしい。鈴さんはくそ親父と血がつながっている以上兄貴はいとこということになる。鈴さんは面倒見がいいため、ふらふらと遊んでいる兄貴に注意をしたらしい。すると兄貴が鈴さんのことを殴ってけがを負わせ、そのまま救急車でこの病院に運ばれたらしい。裕也は兄貴を見た瞬間手が震えていた。今にも手が出そうなぐらい震えていた。

12月10日 高村 蓮

俺は近頃家に帰ってはいない、町の奥にある山に独りテントを立てて暮らしている。バイトにはほぼ毎日いっているため食事などに困ることはない。その晩蓮が寝泊まりしている山で変な音が鳴っていた。「ザッザッ」「ゴッゴッ」まるで何か殴っているかのような音だった。音のなるほうへ向かってみると黒い人影が何かを掘っていた、その近くに何かがある。「あ、あれはッ」蓮はつばをゴクリと飲み込む。兄貴の死体だった。それを見た瞬間心が高まった。今までの何もかもが解放された気がした。

「ハハッ本当に死んでる」少し引き気味に蓮は声を出してしまった。「!?!?」男はまさか人がいるとは思っていなかったため、びっくりしてしまい、とっさに地面を掘っていたスコップを蓮のほうへ向ける「俺も殺す?」

蓮は平然としていた。なぜならあんな家族の血が流れている自分も死ぬべきと思っていたからだ。しかし男は何をするわけでもなくただただ蓮を見つめて泣いていた。「私は人としてやってはいけないことをやってしまった。」とだけ言った。しかし蓮はただ黙ってそれを見つめていた。見つめすぎて目が乾燥してしまうほどに見つめた後に、「ねぇ神様、それ俺の兄貴なんだよね。その調子で俺の両親も殺してよ。」男は驚いて目をトンボのように開いていた。冬の寒い風が二人の間に吹く。そんな風に二人は凍えてしまう。

二人はファミレスに入った。ファミレスは周りの音がうるさいため暗い話をするには絶好の場所だった。二人は今まであったことのすべてを話した。この男の名前は、広岡孝之(22)というらしい。なぜ兄貴を殺してしまったのかというと孝之さんの彼女が俺の兄貴に暴行を受けていて、話し合いで解決できるような相手ではないため手が出てしまい、もちろん兄貴のような性格の人は殴り返すに決まっている。だから暴れないように殴ったらあたりどころが悪く、死んでしまったらしい。「ねぇ孝之さん食べてくださいよ僕がおごりますから。」

というが孝之は食べれない。正義感の強い人だから自分のやったことが取返しのつかないことを知っている。だから黙ってずっと下を見ている。「ねぇ孝之さん僕本当にあなたのことを神様と思っているんですよ。彼女との思い出も残したいでしょう。兄貴は家族から見放されていて家に帰ることもほぼないんでバレないですよ。ね?両親も殺してくださいよ。僕が全部の罪を背負いますから。」最後の一言に孝之は少し目が動いて蓮のほうを向いた。誰でもそうだろう。つらいときすべてを打開するアイデアがある、それにしがみつきたい気持ちはいくら正義感が強い人でもなくすことができない。それが人間というものだ。ましてや彼女との生活がかかっているんだ。そんな中、蓮は話を続ける「僕は両親や兄貴から虐待を受けているんですね、そんな家族を殺す動機は僕にはあるんですよね。誰も疑わないでしょう。」別に自分が罪を背負っても蓮には関係なかった。みんな死んだら自殺をするつもりだったからだ。その言葉を聞いて孝之はうなずいてしまった。「じゃあ殺すのは1か月後の夜中3時で。」そして二人は解散してしまった。まだ手を付けていないご飯を残して。

12月10日 中村 裕也

今日は待ちに待った鈴さんの退院日。鈴さんのためにサプライズを用意するため、少し都会に出て、買い物をしに行く。大き目の店に入り、買い物をすませて出ると、裏路地から奇妙な声が聞こえた。「ちょっとあっちでお茶しようぜ。」「や、やめてください。触らないで。」男が3人に対しておびえているような声で、同い年ぐらいの女の人が答えている。それを横目に見ながら帰ろうとする。俺には助けることができない。そんな覚悟がない。勇気が出せない。けれど女の人が「助けて…」と眼差しをこっちに向けてくる。見るな。そんな目で俺を見るな。俺には無理だ。しかし、声が勝手に出ていた「おいッ」自分でも驚いた。まさか声が出るとは思わなかった。男の一人が「何見てんだよ。」とこっちを見てくる。じりじりとこちらへ近づいてくる。怖い。すると「兄貴ィあの女どっかいったぞ。」と男の一人がいう。すると兄貴と呼ばれている男が「きっちり見張っておけよ。だからお前はマンモーニなんだよ。お前もいつまでも見てんじゃねえ。おいッ追うぞ」男たちがさっそうと走っていく。助かったのはよかったが、また勇気を出すことができなかった。そして、家に帰るために駅へ向かう、家の近くの駅に着いたときに後ろから「中村君だよね。」と呼ばれる。後ろを向くとクラスのマドンナの鈴原 美紀さんがいた。「さっきはありがとう助けてくれて。中村君って意外と男らしいんだね。」と言われる。「いや僕なんて…」とつい否定的になってしまう。「もっと自信持ちなよ。いじめられてた時もそうだけど言い返したことないじゃん。優しすぎるんだよ。」と少し叱られてしまう。確かにそうだった。言い返したこともないのに、なぜいじめられてしまうのだろうと考えていた。あいつらは言い返してこないやつらをいじめて楽しんでいるんだ。そんなやつらと自分は違う。今回は不器用ではあったが人を助けることができた。もっと自信を持とう。その後のサプライズで鈴さんは喜んでくれた。

1月20日 高村 蓮

「ガチャッ」ゆっくりと家のドアを開ける。孝之さんと一緒に家に入る。時刻は午前3時ぴったり。親父も母親も寝付いている時間。「キィキィ」と音を階段を上っていく。親父の寝室につく。孝之さんはバックからゆっくりとナイフを取り出して、寝室のドアを開ける。そしてついに親父との対面。孝之さんはゆっくりと大きくナイフを上にあげる。そして振り下ろそうとした瞬間ボソッと「無理だ。僕には無理だ。」という。すると下から「誰かいるの?」と屑婆の声がする。驚いてしまい、すぐ蓮の部屋からベランダへ、ベランダから地面へと降りる。そして孝之さんは蓮の手を握りしめて、走り出した。走りすぎて、倒れてしまうほど走った。そして田んぼについた。そこで蓮は気づいた、孝之が怖気づいたことに。蓮は孝之の手を本気ではじき、孝之を田んぼのほうに押し倒す。

「なんで殺さなかったッ‼」「それは、あの人は上司だったからだ。仮にもあの人は僕の上司だった。そして君のお兄さんを殺した時のことを思い出し後悔したからだ。もうあんな思いはしたくない。」「なんでだッ、あそこで殺していればお前の罪は俺が引き受けていたんだぞッ‼卑怯者めッ卑怯者ッ」叫びながら孝之を殴る。「もういい、もう誰も信じねえあとは俺やるッ」決行は卒業式の日にしよう。高校生活をいや孤高生活かもしれないが楽しみたい。

2月20日 中村 裕也

「おっはよぉございま~す。」と陽気に蓮が学校で入ってくる。どうしてそんなにご機嫌なのかと思い、何があったのか聞いてみると親指と人差し指をこすりながら「実は好きなアイドルがライブを無料でyoutubeで配信してたんだ。」と言っている。これは嘘だな。何か隠してる。蓮は嘘をつくときに親指と人差し指をこすりながらしゃべる癖がある。

その後バイトに行った。すると久しぶりバイトに来た蓮がいた。何か悩んでいるのだろうかと思い聞いてみる。「何か隠してることはない?」

2月20日 高村 蓮

「何か隠してることはない?」と聞かれて、ボーっと蓮はしていたが、はッとする。もう明かしてしまったほうが楽なのではないかと思い、少し考えてしまう。しかし蓮はまたも笑顔で、「何も悩んでないよ。むしろいいことばっか。」と答えるそれに対して裕也が「嘘だッ。何か悩んでいるんだろう。もう僕は後悔したくないんだ。」と言われ、家族のことを少し話した。楽になりたい。今までは隠していたことだ。だけど兄が死んだことは話していない。計画がダメになってしまうからだ。このままじゃ終われない。絶対くそ親父と屑婆を殺す。

そしてバイトが終わって山奥に帰ろうとする。蓮は首を掻っ切るにしてももちろん人を殺したことがないのでどうやったら切れるか試すためモルモットを買ったりしていた。バイトの金はまだまだあった。買ったモルモットなどをどんどん殺していった。首を切る感覚。初めての感覚で少しうれしくなった。どんどん大きな動物を買っては殺してを繰り返していったらうさぎを殺したあたりでそれ以上の生き物を殺せなかった。猫や犬は高すぎるため買うことができない。そんな中道端を歩いていたら野良猫が目に入った。すぐにその猫の首をつかむ。しかし猫は暴れて爪で腕をひっかいて逃げた。血が出ている猫なんかが見られたらまずいと思い、ナイフを投げる。猫の脳天にヒットしてあたりに血が飛び散る幸いにも周りには人が見当たらない…たぶんいない。持っていた布で血をすべてふき取り、バッグの中に猫を詰めて、山奥へ向かい、動物の死体を埋めている穴に、猫も捨てる。そこで限界に気づいた蓮はもう少し山の奥へ向かう。少し土が盛り上がっているところを掘る。そこには腐った死体があった。それを蓮は掘り出し、なんども首にナイフを下す。

快感だった。いつもは蓮を殴っているのに殴り返せるのが最高だった。本当は兄貴のことも自分の手で殺したかった。けどかなわなかった。少し悔しい。

2月21日 中村 裕也

あれは嘘だ。昨日見たものは嘘だ。昨日実は裕也はバイトが終わった後蓮のあとを隠れてつけていた。すると蓮が猫を殺しているのを見てしまった。しかもまだ生きているのにナイフを刺していた。その後山の奥に行った蓮は土を掘って死体を出していた。そしてそれを何度も殴ってはナイフを刺してを繰り返していた。裕也は現実から逃げようとしていた。その時に蓮の隠れ家にあったノートをとってきてしまった。そのノートには蓮の苦しみが書きつるしてあった。

4月1日 兄にしょうもないことで暴力をされる

5月3日 父親に成績が悪くてぶん殴られる

6月6日 母の飯のなかにホコリが入っている

7月3日 兄から金をたかられ断ると殴られた

8月8日 もうすべてが憎いすべて殺してやりたい

それからのノートはひどかった

そんな中一つ気になるものがあった

12月10日 兄が死んだ まだ死体は見つかっていない

蓮の兄は死んだ…?殺された…?まさか蓮はッ自分の兄を自分の手で…

裕也の推測は半分あっていて半分間違えていた。

1月20日 父と母の殺害に失敗した やはり殺すのは卒業式の日にしよう

そして裕也は学校をさぼってしまった。怖かったからだ。蓮と会うのが…

家で布団に隠れているとインターホンが鳴った。鈴さんが「裕也ぁ蓮君がお見舞いに来てくれたわよ。」という。裕也は恐る恐る下へ向かう。すると蓮が笑顔で「な~んだ裕也元気そうじゃん心配して損したぜ。」と言っていた。しかし蓮は不器用な笑いをしていて、怖くなってすぐに追い返してしまった。やはり殺してしまったのだろうか…

蓮は本当に父と母を殺そうとしてるのだろうか。だとしたら止めなくてはいけない。

でもどうやって…

3月9日 高村 蓮  卒業式 午前

今日。すべてが終わる。蓮は朝早起きして、両親をどっちも殺そうとしていたため、朝5時に家に山奥から向かう。そして親父の寝室へ向かう。親父はいなかった。「なんでこういう時にいつもいないんだッくそッ」と叫んでしまった。すると後ろの扉が開いた。「蓮!?ひ

ッ」と屑婆がいたその瞬間蓮は手に持っていたナイフで屑婆ののどを掻っ切った。あたりに血が飛び散る。そして蓮は何度も何度もいろんな箇所にナイフを振り下ろす。屑婆はもう一切動かなくなっていた。そして蓮は屑婆と遊んだ。肌に触れた。初めて屑婆に手を触れた。最初で最後の実の母親と触れ合うことができた。うれしかった。何も言わずにはぐをしてくれた。いや、無理やりはぐさせた。それが楽しかった。そして屑婆の部屋に行き、スマホをとってみる。パスワードをかけていなかった。不用心な女だ。父親との連絡を見てみると、父親は病院に向かっていた。今朝またもや鈴さんが倒れてしまったそうだ。その連絡に対して屑婆は「了解しました。」とだけ返事をしていた。まるでロボットのような返事だった。

そのまま蓮は風呂を浴びた。もう何も考えられなかった。頭の中がパンパンで飽和していた。その後ナイフをあらって制服のポケットにしまい、卒業式に向かう。

3月9日 中村 裕也 卒業式 午前

昨日の夜に鈴さんがまたも倒れてしまった。今回は誰のせいとかではなく軽い脳卒中だった。病院から卒業式に登校することになってしまった。一生に一度の晴れ舞台だったが鈴さんにみせれなくて残念だった。しかし後悔はもうしたくない。裕也も頭の中が飽和するぐらいパンパンだった。蓮が猫を殺し、人の死体を土から掘り、今日この日に父親と母親を殺そうとしていることを思い出した。裕也の前には鈴さんの弟である蓮の父親が目の前にいた。その時はッとした。もしかしたらもう間に合わないかもしれないと思ってしまった。

「蓮のお父さんッ警察を呼んでください‼」

「何を言ってるんだお前は急に」

「もう間に合わないかもしれない。すでにあなたの妻は殺されているかもしれない。蓮はあなたたちのことをかなり恨んでいました。だから今日殺すとノートに書いていたんです。」

「そんな突拍子もない話誰が信じるかッ」

「いいから信じてください‼」

「まて、わかった。でも警察は呼べない。息子が人を殺す奴とバレたら俺の社会地位はどうなる?考えたくもない。俺が家に向かう。」

この人はこんな時にも自分の社会的な地位の今年考えていないのか。と思い裕也は拳を握る。そんなことしか考えていないから蓮がああなってしまったのに…

そして二人は高村家へ向かう。

「嘘だったらわかってるだろうな?」と蓮の父親は言っていたがそんなことを無視して裕也は家のドアをあけた。鍵がかかっていなかった。ドアを開けると異臭がしてきた。

廊下には赤いしみが大量にできていた。裕也は靴をぬがずにそのまま口と鼻をふさいで家の中に入っていった「おいッ靴を脱げッ」蓮の父親の声など耳に入ってこなかかった。

血が大量についているドアを開けるとぐちゃぐちゃになった女の人の死体があった。

臭いしむごすぎる。その死体の周りには血で染まった手で触ったとしか思えないようなマークがついていた。

「間に合わなかった。蓮は…また過ちを犯してしまった。」裕也は泣いていた。

裕也はそのまま蓮の部屋へ向かう。蓮の部屋は比較的きれいだった。しかしハンガーに蓮の制服がかかっていなかった。その時裕也は蓮が卒業式に行ったことに気づいた。

裕也は蓮の父親と一緒に学校へ向かう。向かっている車の中で

「すいません。本当に殴るのは蓮ではなく蓮の気持ちにいつまでも気づいてやれなかった僕を殴ってください。」と言っていた。

しかし蓮の父親はそんなこと耳に入っていなかった。怒りたまっていたからだ。蓮が妻を殺したことによって人殺しの親というレッテルが張られてしまったことに対して。

3月9日 卒業式 午後 蓮 裕也

蓮と裕也の通っている高校の卒業式は午後だったため蓮は普通に何食わぬ顔でクラスに入っていった。「こんにちはぁ~」大きな声で蓮は挨拶して、蓮の友達も寄ってくる。「おせぇぞ蓮待ちわびたぞ」みんな最後を楽しむために午前中から集まっていた。

蓮はこいつらともそろそろお別れか…と思ってしまう。

すると大きな音を立てて蓮のクラスに走ってくる奴がいた。裕也だ。裕也はドアを「バンッ」と音を立てて開けると蓮の方向に一直線に走って蓮を殴った。周りは裕也のことを少し怖がる様子で見ていたが、裕也はそんなことを無視して蓮を屋上に連れ出した。蓮は何も抵抗をしないで裕也についていくだけだった。

「馬鹿野郎ッ」怒号が屋外に響く。「なんで僕に話さなかったッ」蓮は黙ってしまう。「僕が君にどれだけ救われたと思っているんだ。次は僕が君を救う番だ。君は僕のヒーローだったんだ。」すると蓮は手をズボンのナイフのもとに伸ばした。

「人間ってのはどこまでやっても限界があるんだな。わかったよ裕也。」と蓮はゆっくりと話し始めた。「でもな裕也…もう戻れないんだァッ」と言いナイフを取り出し裕也の首にナイフを突きつけ、裕也を抑えて蓮は裕也の後ろ側に立つ。羽交い絞めのような形だったもちろん蓮はナイフを持っているため裕也は抵抗することができない。

「もう、やめろ…無駄だこんなこと…」「黙れ次しゃべったら…刺す。」

蓮は父親をおびき出すためにやっていた。父親さえ殺してしまえば蓮はもうどうでもよかった誰が死のうと何があろうと。

「蓮、なんしてるんだよ。やめろよそんなこと…」「そうだよ。らしくないよ。や、やめなよ。」蓮の友人たちも流石に引いたのか遠くから止めようとしている。

「俺に近づいてきた奴がいたらこいつを刺す。」

「蓮君、もうこんなことやめて。こんなバカげたことをしてもあなたは何も変わらない。むしろ事態は悪化するだけよ。」と鈴原 美紀がまるで蓮を憐れむような眼で見ながら近づいてくる。その瞬間蓮はナイフを裕也の腕に刺した。まるで猛毒を持っているサソリか何かに刺されたような痛みが裕也に走る。

その瞬間遠くから大きな怒鳴り声がした。「レェェェェンッッッふざけるなァッなめているのか」蓮の父親の声だった。蓮はナイフを裕也の腕から無理やり引き抜きナイフを声の方向に向け、裕也を壁にドンッとゴミを捨てるかのように放った。

そしてついに裕也と蓮の前に蓮の父親が現れた。

「これでもう終わってもいい。絶対に殺す。」

「くそ親父ィィィッッッッ」叫びながら蓮は自身の父親にナイフをもって走っていった。

ドスッッッ

ナイフから血がポタン、ポタンと零れ落ちる。

「え?」蓮は困惑していた。目の前にあるはずのものは父親ではなかった。

裕也の体だった。裕也は苦しそうにしながら何を言うわけでもなく、蓮のことを抱きしめていた。「ゆ、裕也…血が…」

「よかった。元の目に戻っている。僕は怖かったんだ。どうしても勇気が出せなかった。君が家族にひどいことをされていたことを気づいていたが、君の兄や君の父親のことが怖くて、君をかばったら僕だけじゃなく鈴さんまで被害がいってしまうことを心配していたんだ。だけど僕は最近知ったんだ。蓮は自分を犠牲にしてまでも母を殺し、人の罪もかぶろうとしていた。けどこの傷は犠牲じゃない。進むべき道を教えるための地図だ。君はナイフを突き出してくる、それを止めるのではない。逆に考えるんだ。刺されちゃってもいいさと。同じおように蓮の家族を変えようとするのではなく蓮を変えればすべてが変わる。逆に考えることで何かが変わるかもしれない。君は人として許されないことをした。だけども君は悪くない。僕と鈴さんだけは君の味方だ…」

蓮は警察と救急車のサイレンの中ひとり泣いていた。


裕也へ

俺は前まで間違っていたんだね。現状を打開するにはあのような行動をとって何かを、犠牲を出さなくては変わらないと思っていた。

許可が欲しかったんだ。裕也に助けを求める許可を。昔裕也を俺が助けた。なのに助けを欲してしまったら恥ずかしいと、裕也はどんな気持ちなのだろうか、と周りの人の目を気にしていたんだ。でも今は違う、周りに相談をする。そういえばさ、最近は、鈴原さんとはうまくいってる?鈴さんに聞いたよ。同じ大学で付き合っているんだってね。俺は出所したら

レンではなく、名前を変えて生きていこうと思う。自分は変わったんだと思た目に。最後に。

ありがとう裕也。           蓮より。

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