念願の生活保護…… しかし、それは……
「あう!?」
甥っ子が生まれた時に見た〝赤ちゃんの小さな手〟に驚きの声を上げたが、〝ウソだろ!?〟と上げたはずの声は…… 言葉にならなかった。
(何で、何で…… 赤ん坊に!?)
ハロワに向かう途中で倒れた俺が…… 赤ん坊になってる……
(どうなってる? 此処は…… 何処だ?)
困惑しながらも自分の状況を知ろうと…… 見えにくい赤ん坊の目で周囲を見て……
(あれは…… 何だ!)
信じられない生き物を見た! 緑色の肌をした子供…… いや、違う! ファンタジー物でよく見る……〝ゴブリン〟だ。
(どっちだ…… 妖精、それとも…… 小鬼か?)
「ギ…… シャアー!」
(終わった…… 小鬼の方だわ…… 赤ん坊にゴブリンは無理!)
見ず知らずの場所で赤ん坊になり…… 化物に襲われる…… ただ…… ちょっとだけ…… 助けて欲しいと、国のルールに従い願っただけで……
二度目の終わりが目の前に迫る中…… 色々な事が頭を過る。
(どうやら…… 俺は…… 意外に…… 諦めが悪い人間の様だな)
死を悟ったはずなのに…… まだ良く動かない手が……〝何か〟を必死に掴み取ろうとしていた。
自分を〝終わらせない〟為に……
(うん?〝何か〟を…… 掴んだ!)
「ギギャア!」
(何も起きないかもな…… でもな! 無駄な抵抗って奴をやってやるぜ!)
溺れる者は藁をも掴む…… その言葉の通りに〝何か〟を掴み引っ張った!
「「ギャア!」」
大雨で地盤が弛んでいたのか? 大木が俺とゴブリンの上に倒れて来た……
(俺が掴んだのは…… 藁では無く…… 大木の根だったのだろうか? ああ…… 結局、終わりか……)
ゴブリンの頭を押し潰して大木が迫るのが見えた……
『Lvが上がりました』
何処からか…… 電子的な声がしたような気がした。
・
・
・
オギャ~!オギャ~!
(うるさいな…… 赤ん坊の泣き声がする……って、俺か? 生きてる…… が、ヤバイな…… すげぇ痛い)
奇跡的に助かった様だが、身体の何処かを負傷したのか? 赤ん坊の身体を激痛が走る。
(泣くのが、止まらん…… このままだと…… 怪我か新たな魔物に襲われて…… 死ぬな…… 結局…… 結果は変わらなかったか……)
『スキル保有者の危機を感知…… スキル〝生活保護〟が発動…… 最適な〝保護者〟と〝守護者〟を支給します』
(な!? 誰だ! 誰かいるなら助けてくれよ!)
激痛に耐えて、なんとか言葉にならない声を上げた時!
「大丈夫…… 直ぐに痛いのは無くなるからね」
大木が持ち上がると、赤ん坊の俺を優しく持ち上げる手が現れた。
その手の持ち主を見ると…… 巨乳なおっとり系の美女がいた。
(えっ…… 牛?)
その頭には…… 牛系の角と耳が生えていた。
『スキル生活保護による〝保護者〟と〝守護者〟の支給に成功しました…… これより、スキル生活保護保有者の〝生活〟の〝保護〟を開始します』
(スキル…… 生活保護……)
どうやら…… 俺は異世界に転生した事で…… 念願の生活保護を受けれるらしい……
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後……
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