異世界にて…… 故郷を味わう
「見事に一突きね…… ゴブリンの首もきれいに落ちてる」
『マスター、お見事』
「まあ…… ハンナの刃物の切れ味のおかげだけどね」
ボアを回収する為に、馬車を止めて降りると……
「間近で見ると…… グロいね」
転がるゴブリンの首を見て、少し退きながら……
「確か…… 討伐の証に右耳を冒険者ギルドに持って行くと、討伐報酬が貰えたはずだな」
ハンナがナイフで、ゴブリンの耳を削ぐ。
「ゴブリンは…… あたいとロボに任せて、マスターは肉の回収を頼むよ」
「了解……」
ボアの元に行くと…… 眉間に刺さった刃物を空間魔法で回収して、ちょっと考える。
「このまま収納して…… 良いのか？」
「あるじ…… 任せて……」
「お糸？」
「こうすると…… 良いよ……」
お糸が指から〝糸〟を出し、ボアを逆さに吊り上げた。
「後は…… 首を切って血を抜くの……」
土魔法で真下に穴を開け…… お糸の指示に従いながら、ボアの首に切れ目を入れて血を抜く。
「血が抜けたら…… 私が毛皮を削ぐ…… あるじは…… 収納して……」
お糸が器用に糸を使って、血抜きが終ったボアの解体を始める。
「はいはい…… お糸は凄いね。色々と知っていて」
「魔物だから…… 昔は狩りをして食べていたから……」
蜘蛛の魔物のお糸には、ボアは昔からの食料だった様だ。
手際よく解体するお糸の横で、解体されたボアを回収するを繰り返して……
「これで終わりかな？」
『そうですね』
「じゃあ、改めて出発しよう！」
後片付けをして、馬車に乗り込み出発した……
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・
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「魔物…… 多くない？」
疲れを知らないゴーレムの馬に魔導具の馬車なのに……
「魔物の遭遇率が…… おかしい……」
「ゴブリンが大量発生したのか？」
次々に現れる魔物達に…… 思う様に進む事が出来ずにいた。
「夜になってしまったね……」
魔物達の襲撃に時間を取られる内に…… すっかり辺りは暗くなっていた。
『マスター、進みますか？』
「いや…… 野営の準備して、食事にしよう。夜に移動するのは…… 今の俺には無理」
「何時もならば…… あと数時間で…… 寝てる時間……」
「そう…… だから、空間魔法で結界を張って、夜は寝る事にしよう……（見張りには、ロボがいるし）」
空間魔法で結界を張った後、同じく空間魔法で収納していたボアのバラ肉を取り出して……
「ミルア、これを一口くらいに薄く切って、軽く焼いてくれない？」
「わかりました」
ミルアに肉の用意を頼み、俺は鍋二つにお湯を沸かした。
「沸騰して来たね…… ロボ、うどんを茹でるから１０分計って～」
『了解しました』
乾燥麺のうどん茹でて、その間に器を用意し…… レトルトタイプのけんちん汁の元を入れた。
「（ミルアの支給品は、食料系で助かる）ミルア、焼いた肉を入れて」
「はい」
『マスター、もうすぐ１０分です』
「ロボありがとう。ミルア、器にお湯を入れて！ スープしてから…… 麺を入れたら完成♪」
即席の豚汁ならぬボア汁うどんを作り、並べると……
「はぁ…… 味噌のにおいだぁ…… いただきます♪」
一口…… 約３年ぶりのうどんは…… 泣ける程に旨かった。
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後……
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