4 真実を知りました
領長さまが言うには、数年前西区域に小さな少女が遊びに来ていたらしい。
それが私。私はなぜか毎日のように遊びに来て、ドラゴンたちは家のものが心配するのではないか、と思っていたらしい。だが、人間とドラゴンは言葉を交わせないのでそれも伝えることできなかった。そして、ドラゴンたちは可愛くて仕方がない少女のためにたくさん遊んでやった。
だがある日、この森の隣の街の王様がドラゴン狩りを始めた。王様が初めに森の視察のために送ったのは魔女だった。魔女は気配消す、何かしらの魔法で森に忍び込み、東西南北それぞれの区域を魔法のホウキで空から見回った。
そして魔女はここにいるはずのない少女を見つけた。魔女は私を見つけるとすぐに地上におり、ドラゴンの気づかぬ内に魔法をかけたらしい。
そして、領長さまが初めて私を見つけたとき、私は倒れていたらしい。私は領長さまに介抱されていて、目が覚め、領長さまと目があった瞬間異変が起こったらしい。
__身体がみるみるうちに人間とはかけ離れたモノになった。それは、ドラゴン。
そうして、領長さまは西区域のみんなと相談して私を育てることにした。
ドラゴンの古いしきたりのせいで名前がないってことになっている、というのは嘘らしい。
元から名前があるのに違う名前をつけるのはホントのことを知ったときに可哀想という意見が多かったからだそうだ。
だからみんなあんなに名前のことを気にしてたのか。別にいいのに。ドラゴンって案外細かい配慮できるんだな。
……あ!ちょっと待って!これもしかしたらチャンスじゃん!もともと人間ってことは私が思い描いてた転生人生だ!
これは早く人間に戻らねば。
『そうだ!どうやって元に戻るんですか!!』
私はさっきとは打って変わって顔を輝かせた。待って、ドラゴンの顔が輝くのは私も見たいわ。
そういう私とは対照に領長さまは顔を渋めた。
『それがなぁ……わからん』
オ・ワ・タ
私の頭はそれでいっぱいです。
もうすぐ人間になります。