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陰キャを極める悪役令嬢、とは。  作者: 佐納
2年生
39/44

1 帰省できました

実家に着くとすぐに私はテラクトに会いに行った。前の帰省では会えなかったこともあり、1年ぶりの再開だ。可愛い可愛い私の弟はこの1年でどれ程成長しただろうか。1年だからそんなに変わっていないだろうか。


私は後者への期待を膨らませながら両親への挨拶は済ませてテラクトの部屋へ向かった。



コンコン。


「__テラクト!入るわよ」



「はい?……え、ちょっ、お姉様!?」



「私のテラクトっ!会いたかったわよー!!」



むぎゅ。扉を開くやすぐに私はテラクトに突進……ではなく抱きついた。久々の対面で嬉しい半分、テラクトの成長が前者よりだったことに少し残念な気持ちでもあった。


そして改めて彼は美男子なのだなとも再確認した。……以前は私よりほんの少しだけ高いだけだった身長も、今では私と目の高さがまるで違う。頭1つ分、否、それ以上の差がある。この1年でここまで成長しなくて良かったのに。顔つきも前より男らしくなって……。中性的な可愛い顔つきはどこへ。



そして今、そのテラクト(イケメン)に呆れ顔で溜め息を疲れている。ほんとにもう、イケメンなんだから!



「お姉様、その抱きつく癖はいつになったら治るのですか。全く、こっちの気にもなってくれよ……」


「あら?いつも喜んでくれるじゃないの。まさか反抗期というものなのかしら。ついにあなたにも反抗期が……」


「これを反抗期と言いますか……はぁ」



さっきからテラクトは溜め息しかついていない。余程私に呆れているのだろう。反抗期というものは悲しい。



「とりあえず!久しぶりに会えて嬉しいわ。少し……いえ、かなり成長したみたいで良かったわね……」


「僕もお姉様に会えて嬉しいです。それと言葉と表情が一致してません。全く良かったという顔してませんね」


「だって……テラクトは私の可愛いテラクトなのにっ。身長も伸びちゃって、雰囲気が……1年でこんなに変わる!?」



私は思い切り背伸びをして以前の身長差を再現しようとしたが、いくら私が伸びてもテラクトの目線まで届くことはなかった。

そして悔しいことにテラクトは笑いながら私の頭をぽんと叩き、宥めてくる。



「まあ僕は男ですからね。逆にずっとお姉様と同じ目線では格好がつかないでしょう?」


「いや全然構わないわよ。寧ろその方が私は嬉しいわ」


「えいっ」


「いたっ!」



先程まではぽんぽんという表現に相応しい叩き方だったが、急にドンッと力強く頭を下に押された。めちゃくちゃ痛い。いつからこんな暴力を振るうように……?これも反抗期なのだろうか。



■          ■          ■



「遂にテラクトも入学か。寂しくなるな」



日が沈み、一頻り荷物の整理も終わって1年ぶりの家族揃っての夕食。メニューは私の大好きなローストビーフ。この日のために料理長が用意してくれたのだとか。



「そうねぇ。ふたりとも、手紙は書いてね?じゃないとお母様、寂しすぎて泣いちゃうわ」


「僕は寂しい反面、お姉様と毎日会えるようになることがとても嬉しいです。それに学園での生活も」


「テラクト、学園でやるべきことはわかっているな……」


「もちろんですお父様。すでに資料には目を通してあります」


「あら、そんなにセントファル学園が楽しみなのね」



そういうとお父様もテラクトもひきつった笑いを浮かべながら何か濁したような相づちを打ってきた。楽しみならば笑顔で返事した方が可愛いのに。

お母様も怪訝そうな顔をしてお父様の方を睨んでいる。



「こほん。そういえばリリィは入学式に合わせて学園に帰るのだったな。今回は仕事の都合で私たちは出席できなくてテラクトには本当にすまないと思っている」


「気にしないでください。仕事なら仕方ないし、お姉様がいてくれるので大丈夫です」


「私もぜひテラクトの晴れ姿を見たかったのだけど。そうだわ、リリィちゃん。写真お願いできるかしら?」


「ええ構いませんわ。折角の入学式ですし、焼いたらすぐに手紙を添えて送りますわ」

  


入学式、と言えば去年は皆来てくれた。しかし今回はお父様の仕事の関係で東の国まで行かないと行けないらしく、それにお母様も同行することになった。実のところテラクトはどう思っているのか心配だが私は両親がいない分、私はしっかりとテラクトを見守るつもりだ。

入学式には半々の割合で親が来ている。なので両親が来ていないからといって浮くことはない。



それと先程までお父様が言ったように私はテラクトと共に学園に戻る予定だ。だからテラクトのサポートはできる限りしているつもりだ。先輩として彼にアドバイスもできるし。



「まあリリィちゃんと一緒なら大丈夫よね。夏期休暇には帰れそう?」


「……その節は申し訳ありませんでした……。今年は今年で仕事の量によりますわね……あと色々と」 



ロイアウトとか特に。生徒会のメンバーと過ごすのも嫌ではないのだけど、慣れたのだけれど……不本意である。当初の予定ではこんなはずではなかった。どこへ行った陰キャ計画。



「大変ならば僕が手伝いますよ。夏には僕もお姉様と帰省したいですし」


「そうだな。テラクトがついていれば大丈夫だ」


「あなた、テラクトに変な入れ知恵をしないでくださいな。リリィちゃんのためにならないでしょう」


「なっ、何を言っている!入れ知恵などしていないっ」


「はいはい、わかりましたわ」



……たぶんこのツンデレお父様は何か企んでいる。とお母様からこっそりと忠告をもらった。溺愛しすぎだ。



■          ■          ■



実家で過ごすのもあとわずかとなり、また学園での生活が始まると思うと頭が痛い。色々と悩むことは多いが、今年はテラクトという身内が入学するから少し心強い。他にも新入生が多く入ってきて、誰か生徒会に入りたいという真面目で誠実な子はいないものか。

そうすればあのブラック企業での仕事も楽になるはずなのに。



新入生___待てよ。新入生、ということは……。



()()()も入学してくるではないか。



私が避けるべき人。__このゲームの攻略者。ロメオトス・ケイト。



なぜだろう。絶対私と関わるだろうと思うのは。


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