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陰キャを極める悪役令嬢、とは。  作者: 佐納
1年生
38/44

閑話 愛しの我が子

私の娘は本当に可愛い。可愛くて仕方がない。



娘が生まれて私も妻も泣きながら喜んだ。しかし喜んだのも束の間、妻は娘を出産してからというもの体調が悪化していくばかりだった。ろくに娘の世話をする事ができず、毎晩毎晩泣いていた。



なにか私にできることはないか。妻のため、娘のためにも私にできることは。 



ずっとそのことで頭がいっぱいだった。気がつくと私は仕事ばかりしていた。私はの仕事は外交貿易なこともあり、仕事柄外泊も多く家にいることも少なかった。私は自分がすべき行動を考えながらも、実際していたことは全く正反対のことだった。妻と娘のためにはなっていなかった。



そしてそんな日々が何年も続いた。何度もやり直そうとは思うものの、身体が言うことを利かない。どうやら私はなかなか素直になれないらしい。



遂に最悪の日が訪れた。娘が姿を消した。



私はその事実を受け入れられなかった。私のせいで娘はいなくなった。拐われたにしろ、自発的にいなくなったにしろ、私の責任だ。妻の分も私が愛情を注がなかったからだ。幼い娘に愛想をつかされるくらい私は落ちこぼれていた。


私は必死に娘がいなくなった日の屋敷の周辺のことについて調べた。しかし、誘拐の可能性はほとんどない。と、なると娘が自分からいなくなったとしか考えられない。


これは捜索すべきだろうか。もし、見つけ出したとして娘がそれを望まなかったら?家にいるのが嫌だから失踪したのでは?……そして私は娘が家出をしたということを隠したいあまり、世間には娘は亡くなってしまったと嘘を言ってしまった。


定期的に使用人に撮らせている娘の写真の中から最新のものを毎日持ち歩き、私は娘をひとりで捜し続けた。



■          ■          ■



神様は私を見放してはいなかった。



小さい子供が突然屋敷に訪問してきたという侍女の話を聞き、もしかすると、という淡い期待があった。



最後に見た娘よりも身長は高く、顔つきもしっかりして大人びている。しかし私は直感的に屋敷に入ってきた子が私の娘だとすぐにわかった。私の娘センサーは本当に素晴らしいだろう?いくら7年経とうとも、あの子は娘に違いない。


そして私は念願の娘と抱擁ができたのだ。長年、素直になれずもう叶わないと思っていたが、今こうして娘が無事に生きていて本当に嬉しい。




しばらくして養子をもらい受け、家族が増えた。


娘も弟ができたと喜んでいたので、譲り受けて本当に良かったと思っている。


それに私としてもこの養子息子が来てくれて本当に嬉しい。なぜなら……余計な虫を追い払ってくれるからだ。



この家に来て間もない頃はなかなか馴染めずどうしたものかと思ったが、可愛い娘が率先して息子を引っ張っていってくれた。なんて良い子なんだろうか。


そのお陰で息子は娘を慕うようになり、いつしか私と手を組んで娘の害虫を追い払うようになった。


いや、提案してきたのは息子なのだからまだ大人としてはセーフだと信じたい。妻にはバレないようにするのが大変だった。


まあ、私の娘は見ての通り可愛すぎるのだから茶会に行けば恋文の1つや2つ貰うわけだが……そこから恋が芽生えては父親としては面白くない。娘の婿となるものは私よりも強いものでなくては。


だからまず息子に郵便受け係りになってもらい、棄てるべきものは棄てさせてから家族のもとへ届けるようにした。なんと完璧な手段だろうか。グライアス家より格下の家の息子であればだいたい棄ててあとは息子の好みで良し悪しを判断した。

ほとんど息子に任せっきりなのだが。しっかり息子は阻止しているみたいで物凄く助かった。これで娘がずっと家にいれば良いのだが。


■          ■          ■


遂に娘も学園に行ってしまい、夏期休暇には帰ってこず、冬期休暇に一瞬だけ帰省しただけだった。


向こうに想い人でもいるのだろうか。口では生徒会が忙しいと言うが実際は……。色々と聞きたいことはあるが、年頃の娘にそんなことを聞いては駄目だと妻に注意された。少しくらい良いではないか。もし、変な男に引っかかっていたとすれば一大事ではないか。


妻の視線が痛いのでこの話題はあまりしないが、今度少しくらい聞いてみようか。


害虫払いの息子が入学することだし、新学期は安心できそうだ。


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