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陰キャを極める悪役令嬢、とは。  作者: 佐納
1年生
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19 ヴァールスの提案

「と、言うわけでもしかすると近々私死ぬの」


「そっか。で、リリィはその運命に従うのか?」



思っていたよりもヴァールスの反応が薄くて少しガッカリした。もっと驚いてくれても良いのに。自分の幼なじみが死ぬんだぞ。でもまあ、それがヴァールスらしくもあり生徒会長らしい。


「そんなはずないじゃない。そこで私は陰気キャラ……つまり陰キャを目指して()()のよ」


「どうして過去形?現在進行形じゃないの?」



つい最近、というか一昨日まではそうだった。しかしだ。新入生歓迎パーティーであんな目立っておいて今さら陰キャに戻れるはずがない。ウィリアムと目の前にいるヴァールスことロイアウトに踊りの誘いを受けた私は昨日からすっごいいろんな人から話しかけられる。



「誰かさんのせいで私の計画は台無し。絶賛私はクラスの人気者です」


「リリィが僕以外のやつと初めに踊る姿が見たくなくて。……ダメだった?」


「~~っ!!ダメというかなんというか」



その顔で言われたら反則だ。前にも言ったと思うがロイアウトつまり人間のヴァールスはすごく美形である。そんなしゅんとされたら許さない女なんていない。



「で、でも、まさかウィリアム様まで私をお誘いしてくださるなんて思ってなかったわ」


「ああ。ウィリアムは来ると思ってたよ。僕の一番の警戒すべき相手だ」


「?なぜウィリアムを警戒する必要があるのよ」


さっきまで私にローズンを警戒しろと言ったのに。ウィリアムまで私を危ない目に遭わせた犯人なのか。



「それは__。……リリィって鈍感だよね。それともわざとか?」


「はぁ?私が鈍いわけないでしょ!侮らないでっ」


「……これは長期戦覚悟しておくよ」



私の肩にぽんと手を置いてヴァールスは少しいじけた感じだった。一体、ヴァールスは何と戦っているんだか。彼の発言は時々意味がわからない。


と、脱線はここくらいにして。現状、私が陰キャになれていないのは深刻な問題だ。本当に今は休み時間になると我先にと私のもとへやってくる生徒が絶えない。もしかしたら今私は陽キャ化していっているのではないだろうか。


お陰でアッサムハルトにはからかわれるし、ジェニーとの時間は減るし良いことなんてない。



「で、私はどうすれば良いのだと思う?」


「んー、要は死にたくないんだよね。誰にも危害を加えずに幸せに暮らす方法、か」



そうそう。その結果私は陰キャになるという答えに辿り着いたのだが。今はそれが使えない。バリバリ目立って、攻略キャラとヒロインにも深く関わり始めてて、正直取り返しのつかないことをしてしまったと深く反省をしている反面、ヴァールスのことも恨んでいる。


ヴァールスがそもそも目立つポジションにいるからいけないんだよなぁ。ヴァールスに会いたかったのは私も同じだし、舞踏会で踊れたのも良いけど、これが生徒会長だからなぁ。みんなの憧れ生徒会長様様だしなぁ。



「……こうなったのもヴァールスが陽キャポジにいるのが悪い。もしヴァールスが生徒Bだったならこんなに悩まなくて済んだのに」


「僕のせいにしてきたか。……じゃあ、僕が責任とるよ。よし、今日からリリィは僕の婚約者だ」



ぱーどぅん。今なんとおっしゃいました?全くその思考に至った経緯が理解できない。



「だから、リリィがロイアウトの婚約者ってことにすればローズン嬢と揉め事を起こす心配はなくなるだろう?それに僕が用心棒となってリリィをローズン嬢とその他害虫から守れる」


「んーと、つまり私はロイアウト様の婚約者のフリをするってこと?それと害虫って、私ハエくらいなら自分で退治できますわよっ」


「リリィが思っている害虫と少し違うんだけどな……。どう?良いと思わない?」



これで、いいのか?もしここで頷けば私は生徒会長の婚約者ということになり、今よりずっと話しかけられる数は増える。しかし一切誰とも踊らない生徒会長と私が踊った説明がつく。それにローズンと攻略キャラたちとのいざこざの心配はなくなるだろう。だって、私がローズンをいじめる動機がなくなるのだから。

しかしそうすれば陰キャの路線から大きく外れる。


また婚約者としない場合は、現状維持だろう。現状維持が良いのか悪いのか……果たしてどっちだかはわからない。でも、現在困っていることは……あるな。実は今日私の下駄箱には大量の嫌がらせだろうと思われる『ブス』や『尻軽』や『地味』、『◯ね』などと書かれた紙が入ってた。ちなみに『地味』は最高の褒め言葉だった。その程度で落ち込んだのではなく、後処理が大変だった。


それと今日は何回も足をかけられた。もちろん全部回避したのだが、これだと毎日気を張らないといけないから疲れる。


と、まあ女の嫌がらせの数々をこれからも繰り広げられるだろう。



毎日ごみステーションに行くのもめんどくさいし、女の恨みをご令嬢買いたくないので私はヴァールスの提案を肯定することにした。



「わかったわ。私、頑張って婚約者のフリをするわねっ」



そう私が意気込んでいると、ヴァールスは肩をすくめて言った。



「それはよかった。……でもフリじゃなくても本当に僕の婚約者になってくれても良いんだけど」


「何を言っているの。本当になったらヴァールスの未来のお嫁さんに申し訳ないじゃない。こういうことは本命の相手にだけ言いなさいよ」


「いや、言ったところで伝わってないからなぁ」


やる前に諦めてちゃダメじゃない。男気がないわね。ヴァールスはため息をつきながら私をじっと見つめてきた。


「な、なによっ」


「いいや。よろしくね、()()()婚約者さん」



偽装、という部分を強調したのは謎だったが、こうしてヴァールスの婚約者のフリをする生活は始まった。

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