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陰キャを極める悪役令嬢、とは。  作者: 佐納
1年生
33/44

18 まさかの再会

「ローズ様が犯人なはずありません。私は信じませんから」



そんなことがあってたまるか。あんな愛くるしい少女が私を狙っているなんて。



「うーん、あくまで可能性が高いってだけだから。まあ、リリアーナ嬢が気を付けないなら僕が頑張って護衛することにしようか」



ロイアウトは忠告を聞かない私を特に咎める様子もなく、何かまた対策を考えているようだ。


というか、どうして彼はここまで私を気にかけるのか。私は彼に何かしてあげたことがあるのか。


私が生徒会室へ行く目的を思い出した。ロイアウトに私と彼との関係や、ロイアウト自信のことを聞きたかったのだ。



「どうしてここまで私に尽くすのです?私はそれが不思議で仕方ないのですけど」



やっと質問したいことができた。それを聞かれたロイアウトはよくぞ聞いてくれたと言わんばかりにとても生き生きと語りだした。



「リリアーナ嬢、いや、お嬢。僕のことを本当に覚えていないのかい?」



何を言っているんだこいつは。前も言ったように覚えてないに決まっている。覚えてないというか初めましてでしょ。ロイアウトなんて名前は入学して初めて知ったし。


しかし、急に彼が〝お嬢〞という呼び方に直したのが気になる。だって、その呼び方をするのは__。



動揺しながらも私が頷くとロイアウトは意外な名前を出した。それはとても懐かしく、愛しい名前だった。



「ヴァールス。と言えばわかってもらえるか」



「えっ__」



久しぶりに〝ヴァールス〞という名前を聞いた。私の知っているヴァールスは、私がドラゴンだったころに仲の良かったドラゴンだ。そんな、まさか。ヴァールスがロイアウトと何か関係あるはずがない。


だって、ヴァールスは__ドラゴン狩りで捕らえられたのだから。



「予想通りの反応だね。僕の本当の名前はロバート・ヴァールス。君の知っているヴァールスだ」



私は何も考えられなくなった。意味がわからない。どうして、ヴァールスは人間に?いや、もしかすると嘘かもしれない。私が知っているのはヴァールスだ。けっしてロバート・ヴァールスではないと言い聞かせる。ロバートさんは存じ上げないわ!



「ふざけるのも大概にしてくださいまし。私の知っているヴァールスは人間ではありませんしロバートではありません。勘違いなさっているのでは?」



「__僕とグラシーはあのとき、ドラゴン狩りで捕らえられたとき、王族の元へではなく魔女たちのところで保護されたんだ」



〝ドラゴン狩り〞や〝グラシー〞という単語が彼から出てくるとは思わなかった。本当にロイアウトはヴァールスなのだろうか。でも、どうやって人間に__?まあ、私の言えたことではないが。


それに魔女に保護された、とは一体どういうことなのだろうか。確かに、ドラゴン狩りをするのは王国から派遣された魔女や兵士たちだ。ドラゴンを捕まえて保護するなんて聞いたことがない。奴隷にするに決まっている。


それにグラシーは無事なのか。あの子のことも心配だ。私が弟のように可愛がっていた子供のドラゴン。



「色々と疑問に思うことが多すぎて……。まず、あなたのことは本当にヴァールスと思っていてよろしいのかしら」


「あぁ。お嬢のことは昔から知っているし、今さら敬語じゃなくていい。変に気を使ってしまうしね」



どうやらロイアウトはヴァールスらしい。そう解釈すると色々と彼の行動に合点がいく。……昔からヴァールスは私を溺愛していたことも踏まえて。


あの頃はただ面倒見が良いなくらいしか思ってなかったが、よくよく思い出すととても甘やかされていた。



「ヴァールスに気を使うのも気持ち悪いし、そこはお言葉に甘えるわ……。あっ、今は名前があるから〝お嬢〞ではないわよ。リリィと呼んで」



私が彼のことをヴァールスと認めたのが嬉しいのかなんなのか知らないが、彼は気持ち悪いほど笑顔で私の手を握りしめた。



「リリィって、本当の名前を僕が君の知っている僕としてちゃんと認識されて呼ぶことが夢だったんだ。でも、学園内では僕のことはエニック・ロイアウトと覚えておいて。事情を話すと長くなるから省略するけど、普段のときはヴァールスと呼んではいけない」



「どうしてと尋ねても……答える気は無さそうね」



「よくわかってるね。でも追い追い話すよ。僕のことも、君のことも」



聞いてもとても長くなりそうなので今は聞かないでおく。私も今は頭の中がキャパオーバーしていて話されたら頭が爆発しそうだ。


でも、生徒会長であるロイアウトがヴァールスか。今でも信じられない。……いや、彼が法螺を吹いているようには見えないから信じているけど。


そうだ、ヴァールスには私の陰キャ計画を伝えておいても良さそうだ。ヴァールスなら信頼できるし。前まで変人だと思っていた人が一番信頼できる存在になって嬉しくもびっくりしている。



「まあ、リリィが僕のことを思い出してくれただけで満足だ。……会いたかったよ」



そう言ってヴァールスであるロイアウトは私を両手でふわりと抱き締めた。彼の口は弧を描いていた。身長差もあり私は彼の胸辺りに顔をすぼめる形になる。すると、急に恥ずかしくなり顔が熱くなった。



「ちょっ、き、急になにするの!?」


「昔はこうやってよくしてたじゃないか?何を今更恥ずかしがることじゃないだろう?」



楽しんでやがる……!あの頃はお互いドラゴンだったから雄雌関係なく戯れたけど、今は人間の男と女。しかも今のヴァールスは美形だから余計に恥ずかしくなる。


やっとのことで私はヴァールスの抱擁から抜け出した。そうするとヴァールスは「可愛いなぁ」と良いながら私の頭をぽんぽんと叩いた。彼がずっとにやにやしているのが気にくわない。




「こほんっ。ヴァールスにだけ話しておきたいことがあるの。……聞いてくれる?」



いつまでも遊ばれる気もないので私は咳払いをして話題を変えることにした。彼なら大丈夫、とそう思ったからだ。



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