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陰キャを極める悪役令嬢、とは。  作者: 佐納
はじまり
3/44

3 情報量多すぎです

目の前の光景は想像以上のものだった。


西区域は南区域ほど植物の数や種類は多くはないが、ブナやケヤキなど落葉広葉樹林が多く、涼しく、妖精がいそうな神聖な雰囲気だった。そんな西区域が私は好きだった。__しかし、その影はひとつもない。


木々は倒れ、芝生だった地面も何かが引きずられたあとのような痕跡があった。しかも、所々に赤黒く生々しい液体が散っていた。これは年齢制限かかるレベルにグロい……。

あの神聖な西区域の面影は何一つなく、私の周りは戦争に負けた戦場のようだった。


私は血の気が引くような感じがした。悠々と昼寝していた自分が物凄く情けなく感じた。



『……だれ、か……っ!』


涙を堪えて叫ぼうとしたが、残念ながら自分が思っているより精神的ダメージは大きいらしく思い通りに叫べない。頑張れよ!わたしっ!



『お嬢。……南区域にいてくれて良かった。お嬢が生きていてくれただけで皆、喜ぶ』



ふと声をした方を見るとそこには西区域の領長さまがいた。

領長さまはどこか儚げでいつもより弱々しく感じた。私はすぐに西区域のみんなのことを聞いた。すると領長さまはゆっくりと丁寧に状況を教えてくれた。


犠牲となって連れていかれたのは2体。今まで西区域の襲撃はあったものの、みんなで反撃して負傷したりはしたけど、なんとか犠牲者なしだった。

西区域には全員いたわけでもなく、私のように他の区域にいたドラゴンもいるようだった。


その犠牲となったドラゴンの内、1体はグラシーというまだ小さいドラゴン。もう1体はヴァールスというドラゴン。

グラシーが狙われて、助けにいく形でヴァールスもやられたらしい。ヴァールスとは毎日遊んでいた仲なので悲しくないわけがない。グラシーはヴァールスの弟だ。ヴァールスいいやつだったなぁ。グラシーは前世の私の弟より可愛かったなぁ。


私が2体に思い馳せていると、領長さまは急に何かを決意したように私の方をじっと見つめた。



『もう良い頃だと思って、お嬢にはもう1つ言っておかなければならぬことがある。実は、お嬢は、ドラゴンではなくニンゲンだ。今まで黙ってて悪かった』



うんうん、ニンゲンね。

__ん?ニンゲンってなに。人間のこと?待って、領長さま何言ってるの。

ドラゴン狩りのこともあって、頭いっぱいなのに人間てか。こりゃ、脳内キャパオーバーですな!……ちょっとキャラ取り乱したな。


『り、領長さま!ニンゲンってあの人間?直立二足歩行するやつ?祖先がホモサピエンスのやつ?どういうこと!?』



ホモサピエンスと言ったとき、領長さまは明らかに頭の上にハテナを浮かべていた。ごめん。




どうやら私は人間らしいです。



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