14 悪夢の舞踏会
そんなこんなでパーティーでの催し物は次々と行われた。例えば、風紀委員会による学校のおすすめスポット紹介や行事の紹介、図書委員会による弁論大会、有志の人たちによるセントファル学園クイズ、等々。
で、とりを飾るのは生徒会。彼らは舞踏会を予定している。
舞踏会を開くにはテーブルを片付けたり、演奏楽団の人々を準備させたり大がかりになる。
ちなみに生徒会の催し物まであと2つほど別の部活が何かをする。だからそれまではジェニーとなぜかアッサムハルトと一緒にご馳走を頬張りながら催し物を楽しんでいた。
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「それでは!最後は我らが生徒会による毎年恒例!舞踏会!!準備をしている間に意中の相手や仲の良いご友人を誘っておいても良いですよ~!」
ざわざわと周りが騒ぎ始める。皆、誰と組もうかとそわそわしている。女子のほとんどは生徒会長やウィリアムやナイツハイルなどと組みたいって淡い恋心を抱くものや、今年こそが私が!と虎のような目つきになるほど過激な恋心を抱くものもいた。
女子だけでなく男子も同様に可愛い子を狙っている。上級生のことはあまりよく知らないが、私と同じ学年での人気はもちろんローズン。これはヒロインだから当然のことだと思った。可愛いし。
ここはローズンとウィリアムが組むのが妥当だろう。それかローズンと他の攻略者か……。どちらにしろ私は彼女に何も危害を加えずにこの行事を滞りなく終わらせるのが最善。
ウィリアムと組めないからといって権力を振るって同年代の女子を痛めつけるほど幼稚ではない。……以前のリリアーナは幼稚だったが。
さてさて私は誰と組もう、同じクラスの顔も名前もぱっとしないモブである理想の相手を誘おうか。それとも誰とも踊らないでおこうか。そういえばジェニーは誰と組むのだろう。など色々と考え込んでいたとき。……私は数秒後に悪夢を見ることになった。
「リリアーナ嬢。ぜひ僕と踊ってくれないかい?」
名前を呼ばれて振り返ると、そこには床に片足をひざまずいた憧れのモブキャラ王子__ではなく、生徒会長であるエニック・ロイアウトがいた。
私は今にも逃げ出したかった。いや、実際逃げ出した。
しかし、ロイアウトがすかさず私の右腕を掴み「踊るよね」と言っているように微笑みながら無言の圧力をかけてくる。
もちろん、大人気!我らの生徒会長!が誰かを誘っているだなんて他の生徒にとっては一大事だ。だから多くの生徒は私に目線を向けている。女子生徒の目は私を殺しにかかってきてるのでとても突き刺さって痛い。絶対明日からいじめられるわ。私のスクールライフ、オワタ。
この状況でNOとも言えるはずなく、私はこの世の終わりかという具合のひきつった顔をして差し伸べられたロイアウトの手を取った。
私のOKの返事を得た瞬間のロイアウトの顔といったら周りにお花が咲いているかのようにパアッと無邪気な笑顔だった。あの生徒会長もこんな可愛い顔をするんだなっと少し意外だった。
「……どうして私なんですか。いじめてるんですか」
しばらくして楽団による生演奏が始まった。それとともに私はロイアウトに一番聞きたかった疑問点を問いかけた。
「うーん、君が僕の〝運命の人〞だからかな」
彼は本当に嬉しそうに答えたくれた。私的には答えになっていないのだけど。
いや、運命の人って何よ。前の世界での文化祭の催し物的なあれ?運命の人ゲームみたいな?番号が同じだったらその人が運命の人ってやつ?ねぇ、あれ私3年間見つかってねぇわ!そういや恋もまともにしたないね!つらっ!
……ちょっと取り乱したけど、とりあえずロイアウトの言うことが理解不能だ。
「私たち番号が同じでは……こほん。……人違いじゃないのですか?私なんかとロイアウト様は釣り合いませんし」
お願いだから人違いであってくれ。じゃないと色々と面倒なことになる。明日から地味に楽しく学校生活が送れないかもしれない。お願い、お願い……。
「釣り合う、釣り合わないとかの問題じゃないんだよ?それに僕はね、好きになった子を間違えたりしない。だからこうしてずっと想っていた君とダンスできて物凄く幸せだ」
__ずっと想ってた?それってどういうこと?私はこの人とどこかで会ったの?いや、会ってないはず。私の記憶にはエニック・ロイアウトなんて人はつい最近までなかった。
「私とロイアウト様ってどういう関係なのですか?その、以前から私に対する対応が気になって」
「幼なじみというところかな?実は……。おっともう1曲目が終わったのか。もう1曲、といきたいところだけど、どうやらリリアーナは悲しいことにモテモテらしい」
ちょっと!実は、の続きは!?そこで焦らすか!?物凄く不満に思いつつもロイアウトは微笑みながら、でも少し寂しそうに私の手を放す。最後に「話の続きは明日、生徒会室に来てくれれば」と言い残して去っていった。
やっと悪夢から解放されると思ったのもつかの間、私の悪夢は続くらしい。さらにヒートアップをして。
その場に立ち尽くす私のもとにやって来たのは、なぜお前が来たと突っ込みたくなる相手。ローズンとずっと踊っててほしかったウィリアム。
しかし先ほど彼がローズンと踊るところは見かけなかった。




