9 明日からまた頑張ります
その夜、私は今日の出来事について少し考えた。
そして突き落とされたことはもちろんベルにも話せるはずもないままでいた。
保健室でウィリアムに介抱された今日、もしゲーム内のリリアーナはこういうときにウィリアムのことを好きになったのだろうか。シナリオでは入学直後にウィリアムと初めて接触し、彼の行動に一目惚れしてそこから……悪役化していく。
これがリリアーナがウィリアムを好きになるきっかけだったとすれば私はフラグを見事に折った。だって、何もウィリアムにときめかなかったし、好きだなとか思わなかった。普通ならあんなイケメンに助けられたら一瞬で虜になりそう。私だって乙女だからそんなシチュエーションに憧れない訳ではない。しかし、彼との接触は私の死活問題に関わる。なので彼を好ましくない者としてしか見れない。
しかし1つ不可解な点がある。原作ではウィリアムとは学園に入学したときに出会うが、私たちはそれより前に出会っている。正確には会っていないが、見かけたくらいはしている。存在も認知しているし。
だからこの事がどれだけこれからのシナリオに関わるかは分からない。だから迂闊に動けない。関わらない方がよかったのに。助けられた身として最低なことを思っているのはわかっているが、助けられていない方が嬉しかった。
たかが悪役と王子の出会いが早まるのは何の影響もないと思うのだが……。
それよりも卒業するまでウィリアムと関わらないつもりだったのに!私の計画が……。しかも困ったことがあったら頼ってね的なことも言われたし。確実に彼の目に私は生徒Aとして映っていないだろうなぁ。階段からこけた間抜けなリリアーナというところだろうか。あんな盛大に落ちてきたら印象は濃いよね……。
うじうじしてちゃダメだ!前向きに考えよう!明日からは背後に気を付けよう!それと前方にも!前方とは前から来るウィリアムのことだ。まずはウィリアムを見つけたら逃げよう。今さらだけど前から来るって言い方は酷いかな。
とりあえず!明日からも陰キャ頑張ろう!
あれ、リリアーナって階段から突き落とされるんじゃなくて突き落とす方だったような……?プレイしていないから断定はできないけど。勘違いかもしれないよねっ。頭打ってバカになったかもしれないし。よし、寝よう。




